市長コラム(過去ログ)|2005年

第48回 平成17(2005)年4月3日公開

「出会いから学ぶ日々」
歌人の宮英子さんと清原市長
歌人の宮英子さんと清原市長

 4月を迎えました。3月の定例議会で可決された新年度の予算執行にあたり、市民のみなさんの立場に立った市政運営に努めます。
 さて、私は、毎日たくさんの市民のみなさんと出会うことで、成長する機会を得ています。
 たとえば、毎月、88歳、99歳、100歳以上になられる市民のみなさんを、誕生月に訪問してお祝いしています。先日も88歳のお祝いに伺って出会ったのが、歌人の宮英子さん(写真右)です。宮さんは亡夫の歌人宮柊二さんの後を引き継いで、4月で通巻631号となる短歌同人誌「コスモス」の編集兼発行人をされています。米寿を記念して、八十八首の歌を編んだ『八十八夜詠』も刊行されました。宮さんは、歌を詠むことで生を尊び、歌を通じたつながりで文芸の力を、時と地域を越えて広げています。

絵本と紙芝居作家のまついのりこさんと清原市長
絵本と紙芝居作家のまついのりこさんと清原市長

 また、最近、図書館で市民のみなさんに向けて講演をしてくださった市内在住の絵本と紙芝居作家であるまついのりこさん(写真左)ともお話しする機会を得ました。まついさんは、絵本や紙芝居作りとその普及を通して、大人が今を生きる子どもたちとふれあい、相互に心を耕し合う実践をされています。近く市が刊行する『土地利用総合計画(都市マスタープラン)』の表紙の絵にも協力をしてくださいました。
 こうした出会いから、私はいつもさまざまな見識だけでなく、「生き方」を学んでいます。これからも市民のみなさんとの出会いを大切にしていきたいと思います。

第49回 平成17(2005)年4月17日公開

『サツキとメイの家』を三鷹市へ~誘致の実現を~
三鷹駅南口駅前広場での署名活動の様子
三鷹駅南口駅前広場での署名活動の様子

 三鷹市立アニメーション美術館(三鷹の森ジブリ美術館)の入り口では、いつも「となりのトトロ」のぬいぐるみが出迎えてくれています。中でも子どもたちに大人気なのは、子どもしか乗れない「ねこバス」の展示です。
 3月には、宮崎吾朗館長が、開館以来の美術館の展示や事業の開拓性と独自性が評価されて、芸術選奨文部科学大臣新人賞(芸術振興部門)を受賞されました。
 平和と地球環境を守ること、人間の自立と愛を基調にしたスタジオジブリの作品が、この三鷹の地にある美術館に展示されていることは、本当に誇らしいことです。
 さて、現在開催中の「愛・地球博」で展示されている、ジブリ作品「となりのトトロ」ゆかりの「サツキとメイの家」を三鷹市に誘致しようという実行委員会のメンバーが、4月6日来訪されました。三鷹青年会議所、三鷹商工会青年部、JA東京むさし三鷹地区青壮年部、三鷹連合青年団の代表が、集めた5千人以上の誘致希望の署名を私に手渡してくれました。
 美術館を愛し、三鷹市に「サツキとメイの家」を誘致することに結集した若い世代の熱意と行動力に私も共鳴し、署名して下さった皆さんの願いを受けとめて、三鷹市としてもその活動を支援するとともに、関係機関との折衝も先頭にたって行うことにしました。
 そして、私も9日に三鷹駅前で署名活動に参加し、約2時間で1千人以上の皆さんの署名をいただきました。課題は多いですが、実現をめざして努力する決意です。

第50回 平成17(2005)年5月1日公開

今年も春の三鷹を自転車に乗って
山本有三記念館の前にて
山本有三記念館の前にて

 自転車をこぐ私の頬を、さわやかな春風がやさしくなでて、緑の息吹が体を包み込んでくれます。
 三鷹市の多くの市民の皆さんは、通勤・通学や日常のくらしに自転車を利用しています。私は、折に触れ、市民の皆さんの視点や立場を強く実感するために、自転車や徒歩で三鷹のまちを回ります。先日も、今年度の事業に関わる市内の各地域を、助役や職員と共に自転車で回りました。
 葉桜が美しい井の頭公園内のハイテク交番では、警察官OBの交番相談員に近況を聞きました。公園近くの旧東京女子大学用地も確認しましたが、ここは法政大学が付属中学校・高等学校用地として取得し、三鷹市と協定書を交わして、協議を重ねながら特別文教地区としての整備を進めます。
 新緑に包まれる三鷹の森ジブリ美術館を経て、風の散歩道を行くと、山本有三記念館のたたずまいが美しい景観を示しています。
 昨年度から耐震補強工事を始めている上連雀の堀合地下道は、JR線路の南北を結ぶ市民の皆さんにとって不可欠のものですが、さらに安全に利用していただけるような改善が課題です。
 三鷹市内を、自転車で走ると、視覚、聴覚、触覚、嗅覚といった感受性がいつもより研ぎ澄まされるような気がします。そして、まちづくりの課題がさらに鮮やかに考えられるように思います。
 私は、市民の皆さんの声に耳を傾け実感として感じる鋭敏な感性と、政策化する冷静な洞察力、何よりそれを実現する力を求められていることを痛感しています。

第51回 平成17(2005)年5月15日公開

謙虚に学習する職員組織でありつづけたい
市役所正面玄関の前にて
市役所正面玄関の前にて

 市民の皆さんとの「協働」の基礎は、何よりもコミュニケーションですが、同時に、共に働く市役所の職員とのコミュニケーションも大切です。
 さまざまなプロジェクトや業務を行う際の日々の話し合いだけでなく、私は市長になってから少人数の職員との対話型の交流研修を毎月2回実施しています。
 また、「職員提案制度」を業務改善や新しい政策づくりに活用するとともに、各課の優れた実践を表彰し奨励する趣旨で、各課の年間の取組みを表彰する「市長賞ベストプラクティス表彰」を新設しました。職場訪問や実態調査なども随時行っています。
 他方、職員が市民の皆さんに信頼されて活躍するために、三鷹市では行財政改革計画に即して、これまでも職員の給与や退職金などについて、削減の改革も進めてきています。今後も、市民の皆さんの実感にかなう見直しを進めます。
 先日、旅行補助などの福利厚生事業のあり方についての新聞報道がありましたが、この制度についてもすでに見直しを進めてきており、今年度中にさらに抜本的な見直しを進めてまいります。
 議員の皆さん、市民の皆さんからの問題提起に、謙虚に耳を傾け、それを解決する政策形成能力をさらに向上させて、政策や事業を具体化し、実現していく、意欲ある職員を増やす環境づくりが、市長には求められています。
 市役所は常に「謙虚に学習する組織」でありつづけたいと思います。

第52回 平成17(2005)年6月5日公開

環境月間に考えるごみ減量とリサイクルの意義
啓発用のティッシュを小学生と配布する清原市長
啓発用のティッシュを小学生と配布する清原市長

 6月は地球温暖化の防止をはじめ、環境問題を考える環境月間です。地球の温暖化を防ぐには、大量のエネルギーを使い、多くの生活用品を工業に依存している私たちのくらしを見直していく必要があります。特に、私たちが消費生活の中で生み出すごみの処理は、環境問題の観点からも考えていく必要があるのです。
 さて、三鷹市では、ごみ減量等推進員の皆さんが140名、各地域で活動してくださっています。毎年5月30日を「ごみゼロ」の日として、ごみ減量等推進員の皆さんと協働して、三鷹駅周辺及び三鷹台駅周辺で、ごみの減量・リサイクル活動の推進、ポイ捨ての禁止などをPRし、実際にポイ捨てごみの清掃などをしています。
 このゴミゼロキャンペーンは、1982年より行われている市民の皆さんとの協働による貴重な活動です。
 今年は、5月29日の午前中に実施しましたが、初めて小学生、中学生の有志が参加してくれました。当日は、私も小学生と一緒に啓発用のティッシュペーパーを駅前で配布しました。(写真)
 速報ですが、2月からの更なる分別収集により、3カ月間で、可燃ごみは約1千300トン、不燃ごみは約1千100トン減量されました。代わりに、資源化を進めているプラスチックと雑紙はそれぞれ約900トン増えました。
 地球環境保全にも貢献するごみの減量化と資源化の両輪が、市民の皆さんのご協力により、着実に進められていることが伺えます。まだ3カ月という短期間ではありますが、減量化・資源化に向けた市民の皆さんのパワーを感じます。

第53回 平成17(2005)年6月19日公開

赤ちゃんの笑顔が持つ力
「赤ちゃんと遊ぼう」会場の様子
「赤ちゃんと遊ぼう」会場の様子

 赤ちゃんのはじけるような頬、きらめく瞳、そして、何より輝く笑顔は、私たちに生命の尊さと強さを感じさせてくれます。
 6月1日、厚生労働省より「人口動態統計」が発表され、合計特殊出生率が過去最低の1・289となりました。一般に合計特殊出生率が2を少し超えないと現状の人口数を維持できないと言われます。三鷹市の場合は、平成15年0・99で、全国平均を下回っています。市内でも少子化は進み、赤ちゃんと出会う機会が減る傾向と言えます。
 このような状況のなか、三鷹市では最重点としている子育て支援施策の中で、乳幼児医療費助成制度の拡充などを進めてきています。新生児訪問の実施期間を延長したり、3歳児までの保護者を対象とした子育てワークショップを、各コミュニティセンターで開催しています。また、0歳から3歳までのお子さんと保護者を対象とする子ども家庭支援センターすくすくひろばでは、年齢別の遊びや親子遊びの事業を実施し、相談事業もしています。公立私立保育園は園庭開放や離乳食試食会等の地域開放事業を実施しています。
 また、新生児訪問など三鷹市の乳児保健事業に協力していただいている三鷹市助産師会の皆さんは、毎月2回「赤ちゃんと遊ぼう」事業を実施しています(写真)。現役ママの協力を得て作成した「三鷹おでかけマップ」も好評です。
  赤ちゃんの笑顔が増えるように、今後も子育て支援施策の充実に努めたいと考えています。

第54回 平成17(2005)年7月3日公開

三鷹駅・三鷹電車区 開業75周年を迎えて
清水一正三鷹駅長と共に
清水一正三鷹駅長と共に

 三鷹駅は、市民の皆さんにとって通勤・通学やくらしのさまざまな用事で市外に出るための、そして、市外の皆さんを三鷹市にお迎えするための玄関でもあります。
 6月25日、三鷹駅と三鷹電車区開業75周年記念式典が3、4番線ホームで行われ、私は地元を代表して祝辞を述べました。午前9時51分、三鷹駅開業と同年に誕生された公募の75歳の「一日駅長」さんの合図で、高尾駅行きの記念特別電車が運行されました。
 特別公開の電車区や車両検査場には、懐かしい電車から最新の試験車まで多数が展示され、近隣の市民の皆さんはじめ多数の鉄道ファンが見学されました。
 また、三鷹市内の多数の小学生が描いた三鷹駅の絵画が新型の展望型電車「四季彩号」の車内に展示されて、8月まで青梅線で運行されるそうです。
 三鷹市は、「安全・安心のまちづくり」「バリアフリーのまちづくり」を最重点課題としています。これまでも市内の駅の安全については、鉄道事業者の方と協力して改善を図ってきています。三鷹駅南口デッキは来年3月末には完成予定ですが、三鷹駅は玉川上水の上にあるという地形のため工事上の困難等があり、バリアフリー化については未だ改善途上です。
 私は、今後も駅の安全安心度とバリアフリー度の向上を、鉄道事業者の方との協働によって、さらにしっかりと進めていかなければならないとの想いを新たにしています。

第55回 平成17(2005)年7月17日公開

三鷹産の野菜を食べられる幸せ
三鷹市野菜生産組合の皆さんと清原市長
三鷹市野菜生産組合の皆さんと清原市長

 7月9日、市内の畑で、29組70人を超す親子の皆さんが、ナスやトマトの収穫を体験しました。その後、農業公園内にある緑化センターの研修室で、市内で栽培された花などによるフラワーアレンジメントの実習をしました。
 これらは、三鷹市、三鷹市農業委員会、東京むさし農業協同組合、三鷹市都市農政推進協議会が共催する「都市農業を育てる市民のつどい」で行われたもので、今回で24回目となります。
 お昼は、農協女性部の皆さん手作りのお赤飯や市内産野菜の漬物やゆでた市内産卵やジャガイモを私もご一緒にいただきました。
「ナスは紫色がきらきら光っていたよ」といった感想を、参加した小学生の皆さんから聞きました。その傍らで、保護者の皆さんもにこやかに、市内産野菜を味わっていました。
 また、私は三鷹市野菜生産組合の皆さんと懇談する機会を持ちました。三鷹のような住宅都市で、農地を維持し農業を継続していくことは、国の相続税制等の事情や後継者育成の課題などから、なかなか困難があるということです。三鷹市内の農業者の皆さんは地価が高い農地を守り、安全で質の高い作物を生産し、適切な収益を上げるために技術と経営力を高める努力をしています。
 市民の皆さんが、生産者の顔と名前がわかる市内産野菜を購入し、食べられる幸せを守っていくために、私もしっかりと都市農業を守る取り組みを強化していかなければならないと思います。

第56回 平成17(2005)年8月7日公開

三鷹の「協働」についての発信
フォーラムのコーディネーターを努める清原市長
フォーラムのコーディネーターを努める清原市長

 三鷹市は7月の1カ月間「愛・地球博」会場で、「スローライフなIT都市・みたか」のテーマで、市の取り組みを紹介する展示をしました。22日の午後には、NPOスローライフ・ジャパンと共催のフォーラムを開催しました。市内の子育てコンビニ、シニアSOHO普及サロン・三鷹、むさしのみたか市民テレビ局、三鷹SOHO倶楽部の各代表4人をパネリストに、私がコーディネーターを務めました(写真右側)。
  会場には、金井議長、岩田副議長を初め、市議会議員の皆さんも多数参加、当日パンフレットは1千200部以上も配布され、約200人の皆さんが「一日市民」として参加してくださいました。

右から棚橋IT担当大臣、小泉首相、清原市長
右から棚橋IT担当大臣、小泉首相、清原市長

  8月1日午後、私は、棚橋IT担当大臣とご一緒に、官邸に小泉首相を訪ね、6月「インテリジェント・コミュニティ」の世界一を受賞したことなど三鷹市の協働の取り組み、愛・地球博参加などについて報告し懇談しました(写真左側)。
  その夕刻、私が5月から有識者本部員を務めている「政府IT戦略本部」の場で、小泉首相は、三鷹市が世界一に選出されたことにも触れて、国民・利用者本位で、機器の使い勝手も含め、人々に利用しやすいIT社会を実現していくことの必要性を話されました。
  三鷹市の市民力に支えられた協働の取り組みが、国の方針に影響を与えていくことを嬉しく思いました。

第57回 平成17(2005)年8月21日公開

戦後60年、地域から平和への発信を
広島平和祈念公園式典会場にて
広島平和祈念公園式典会場にて

 私は8月6日、広島市よりお招きを受け、「被爆60周年、広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」に参列しました(写真右)。
 式典では、広島市長が「平和宣言」を、総理大臣をはじめ、「三権の長」がそれぞれあいさつをし、国連のアナン事務総長のメッセージを事務次長が代読しました。これらあいさつに共通したのは、唯一の被爆国である日本が、核兵器の廃絶を強く、全世界に呼びかける意義が大きいということでした。
  私は市民の皆さんを代表して慰霊碑に花を捧げることができ、責任の重大さを改めて痛感しました。

三鷹市公会堂式典会場にて
三鷹市公会堂式典会場にて

 60年の節目にあたり、三鷹市では非核・平和事業の一環として、ビデオ「そして60年~三鷹のまちは戦場だった」を制作し、市内の戦跡と当時についての証言を収録しました。また、市民の戦争に関する証言集「今語り伝えたいこと」を復刻しました。
 三鷹市遺族会は記念誌「平和への想い」を発行し、三鷹市原爆被爆者の会は被爆体験記「きのこ雲の消える日」の刊行をしました(写真左:中山和政遺族会会長、出島艶子原爆被爆者の会会長と)。
 私は、戦後60年を記念したこれらの取り組みによる三鷹の市民の皆さんからの発信が、非核・平和活動に大きな前進をもたらすことを願っています。

第58回 平成17(2005)年9月4日公開

三鷹阿波踊りがつなぐ心と心
むつみ連の皆さんと清原市長
むつみ連の皆さんと清原市長

 今年で38回目を数える阿波踊り振興会主催の「三鷹阿波踊り」が、8月20、21日の夜、三鷹駅前通りでにぎわい豊かに開催されました。
 阿波踊りではお囃子や鳴り物を含む踊りの団体を「連」と呼んでいます。今年はその連が、「飛入り連」を含めて初日は24連、2日目は21連が参加しました。
 大人ばかりでなく、小学生や中高生を中心とした連もあります。また、商工会、商店会、企業関係、郵便局、JRの連など、さまざまな連が参加しています。昨年は三鷹シルバー人材センターの連が加わり、今年は市内の井之頭病院の連が初参加しました。
 初日、私は「みたか市役所連」の一員として市役所やジブリ美術館の職員と一緒に参加しました。連のメンバーは6月から毎週2回ずつの練習を重ねてきていましたが、私は公務のため、直前にたった1回しか練習ができずに本番を迎えました。けれども、沿道の皆さんの応援に支えられ、どうにか3時間踊り通すことができました。
 沿道の声援の中には、日ごろの感謝を込めてご招待した、三鷹市のごみの最終処分場がある日の出町の住民の皆さんもいらっしゃいました。
 2日目、阿波踊り振興会の選考で今年の「市長賞」に選ばれたのは「むつみ連」です。この連は吉田幸雄連長ほか30名で、メンバーは聴覚障がい者の皆さんを中心としています。元気のよい演奏と踊りはもちろん、何より「笑顔」が輝く連で、私も感動しました。

第59回 平成17(2005)年9月18日公開

防災訓練とその夜の水害
西部地区メイン会場の井口特設グラウンドにて
西部地区メイン会場の井口特設グラウンドにて

 9月4日(日曜日)午前10時から、西部地区をメイン会場として総合防災訓練が実施されました。
 会場では、震度6強の地震発生を想定して、初期消火、放水訓練などの実働訓練を中心に、市立第二中学校の全校生徒や教職員を含む市民の皆さん、医師会、歯科医師会、薬剤師会、日赤奉仕団、都保健所、建設業協会、管工事業協同組合、自動車整備振興会、東京電力、東京ガス、NTT東日本、防火防災協会など各防災機関が、市と警察署、消防署、消防団と一体となった訓練を行いました。
 また、高齢者センターけやき苑のご協力で、車椅子などの災害時要支援者援助を実践しました。
 最近大きな地震が発生しているので、メイン会場のみならず、各地域での訓練にも市民の皆さんの熱心度が増しています。
 その日の夜、三鷹市は1時間に100ミリ以上を記録する集中豪雨の襲来を受けました。市は水防本部を設置し、私も急ぎ登庁して、警察署、消防署、消防団、建設業協会等の皆さんと連携協力して、徹夜で被害対応を行いました。
 想定外の集中豪雨で、床上浸水、床下浸水、地下浸水など8日時点で150件以上の被害と、がけ崩れも発生するなど、都市型水害の被害を重く受け止めています。
 今後も、被害を最小限にとどめるために市の体制を強化するとともに、関係機関などの連携を一層強固にしていきます。市民の皆さんも、いざという時のための準備に、ぜひ心配りをお願いします。

第60回 平成17(2005)年10月2日公開

敬老のつどいと中学生の笑顔
市内の中学生の皆さんと清原市長
市内の中学生の皆さんと清原市長

 9月17日、18日の2日間、3回に分けて、市の公会堂を中心に「敬老のつどい」を開催しました。両日は、3千人を超える77歳以上の市民の皆さんが参加されました。
  記念式典に引き続いて、民生委員関係の皆さんがメンバーの白ばらコーラスの歌、三鷹市出身の方も含めたイリュージョン・マジック、参加者と同世代の歌手三浦洸一さんの歌謡曲を楽しまれました。
  公会堂の席へのご案内やロビーでの茶道連盟のご協力による抹茶の接待、そして、中庭での麦茶のサービスなどには、市内の7つの中学校の生徒の皆さんがボランティアで参加してくれました。
  ご長寿の市民の皆さんと10代の中学生の出逢いが、敬老のつどいに「やさしさ」と「なごやかさ」を増してくれます。つえや車椅子を利用する高齢者の方に、そっと手を差し伸べる中学生の笑顔は、会場までの移動のご苦労をいやしてくれるように見えました。
  そして、参加者の笑顔には、中学生が運ぶ和菓子と抹茶、そして麦茶の味は格別であるとの思いが反映しているように見えました。
  今の平和と繁栄を築くために、若い頃に大変苦労されたご長寿の皆さんに感謝し、敬意を表するこの事業に、若い世代の皆さんにも参加していただきながら行うことの意義を、参加者と中学生の皆さんの笑顔の中に再確認しました。

第61回 平成17(2005)年10月16日公開

秋たけなわ、政策会議もたけなわ
秋たけなわ、政策会議もたけなわ
秋たけなわ、政策会議もたけなわ

 秋たけなわのこの頃、学校、幼稚園、保育園、住民協議会、町会の運動会や地域のお祭りなどに私も参加して、元気をいただいています。
  さて、私は日々、重要な事業や政策課題について、担当職員と個別の協議をしています。そして、この秋には、連日、助役、収入役、教育長らと一緒に、市役所の各部別に、部長はじめ課長らと「政策会議」を重ねています(右の写真)。
「政策会議」は、私が市長に就任後、毎年10月に開いているもので、今年は延べ7日間かけて実施しました。ちょうど年度の真ん中の時期に、今年度前半の事業の進ちょく状況を確認するとともに、来年度に向けたさまざまな提案を各部長から受けます。
  三鷹市には、企画部、総務部、市民部、生活環境部、健康福祉部、都市整備部、水道部、教育部の8つの部があります。それぞれの部長がグラフや表などを駆使して説明し、その後、質疑や意見交換に入ります。
 「政策会議」の場は、各部の職員からの提案の場であるとともに、市長としての私の考えを職員に理解してもらう絶好の場ともなります。その意味で、真剣な意見交換のできる充実した時間です。課題解決に向けて意欲的な提案もたくさんあり、こうした自由な議論を大切にする風土が三鷹市政を開かれたものにしていると思います。
  私は市民の皆さんの立場に立つ市役所であり続けるために、こうした取り組みを続けていきたいと思います。

第62回 平成17(2005)年11月6日公開

市制施行55周年を迎えて
三鷹市旗の前で
三鷹市旗の前で

 三鷹市は、昭和25年(1950年)11月3日に三鷹町から三鷹市になりましたので、今年で市制施行55周年を迎えました。
  同時に、(財)三鷹市芸術文化振興財団が創立10周年を迎えており、3日の「文化の日」に、合同の記念式典を行いました。当日は、日本画壇の重鎮としてわが国の美術界の発展に大きく貢献され、昨年、文化勲章を受章された市内在住の日本画家、福王寺法林さんに「三鷹市名誉市民」の称号をお贈りいたしました。まさに文化の薫り高い日となりました。
  私は数えて6代目の市長で、市民の皆さんが、歴代市長と市議会の皆さんとともに進めてきた「高環境・高福祉のまちづくり」を引き継ぎ、さらに安全に安心して暮らせる、信頼し合える三鷹市の実現をめざして、市民の皆さんとご一緒に歩みを進めてきています。
  市長としての責務を果たす上で、折に触れて、これまでの三鷹市民の皆さんのたゆまぬご努力の積み重ねの豊かさと有り難さに触れ、感謝の想いで一杯になります。
  私は、市民の皆さんとともに、55周年を一つの大切な節目として、「三鷹市民憲章」に記されているように、「郷土三鷹を愛し、平和な、みどり豊かなまちをつくることを願って」、「互いに助け合い、ともに生きるよろこびを分かち合うまち」をつくるために、さらなる努力を続けたいと、決意を新たにしています。

第63回 平成17(2005)年11月20日公開

文化の秋、実りの秋
青壮年部の皆さんと「宝船」の前で
青壮年部の皆さんと「宝船」の前で

 三鷹市内では、11月末まで各所で「市民文化祭」が、芸術文化協会所属の各団体の発表活動を中心に展開されています。
  老人クラブ連合会やシルバー人材センターの作品展示会も開かれました。三鷹市管弦楽団やジュニア・オーケストラなどによる音楽活動も盛んです。このように、世代を超えた三鷹の芸術文化活動の活発化が目立つ秋となりました。
  秋は「実りの秋」でもあります。12、13日は、「農業祭」が開催されました。JA東京むさし三鷹青壮年部の皆さんが毎年市民センター入り口に作って飾る、市内産野菜などによる「宝船」が、今年も私たちを歓迎し、圧倒してくれました。まさに、野菜と花で創る芸術作品です。(写真:青壮年部の皆さんと)農産物の恵みと共に、その心のこもった美しさも堪能できることは私たち三鷹市民の幸せです。
  11月2日に、私は「第17回市長と語り合う会」で、「三鷹の芸術文化」について19歳から60歳代までの市民の皆さんと語り合いました。三鷹市は太宰治や山本有三が多くの作品を生み出し、このたび名誉市民に推挙させていただいた福王寺法林さんをはじめ、多くの画家の皆さんも創作活動をされています。そうした芸術文化の息吹があることを生かして、子どもたちに創作や鑑賞の体験を提供することを通して、芸術文化のメッセージを伝えていくことの大切さを話し合いました。
  少子長寿社会を迎えて、芸術文化がつなぐ世代を超えた「心と心」を、これからも大切にしていきたいと思います。

第64回 平成17(2005)年12月4日公開

イルミネーションのきらめき
イルミネーションの前で
イルミネーションの前で

 街角のポインセチアやシクラメンの花が、朝夕の冷え込みが増すこの頃、さりげなく心を和ませてくれます。
  また、11月26日から、JR三鷹駅前の大けやきの木と、駅前の商店会の沿道の木には、クリスマスイルミネーションが点灯しました(写真)。
  これは今年で12回目を数えますが、駅前の5つの商店会が市民の皆さんに季節感を贈ると共に、地域の活性化をはかるために取り組んでいるもので、それに地元企業も協力して行われてきました。
  寒い季節に、イルミネーションのあかりは、歩く人々の心も体も暖めてくれるように感じます。
  さて、現在JR三鷹駅のデッキでは改修工事を実施しています。これはデッキの面積を拡大し、エレベーター、エスカレーターや視覚障がい者用誘導ブロック、表示サインを新設整備するなど、バリアフリー度の向上をはかるものです。
  工事は来年3月の完成に向けて「安全第一」をモットーに進めていますが、しばらくの間ですが、一部の歩行空間が狭くなり、タクシー乗り場が移動するなど、特に通勤通学時間の混雑時には、大変ご不便をおかけしています。バリアフリー度を向上させる工事とはいえ、一時期一部で段差が生じていることなどを心苦しく思います。
  市民の皆さんの一層のご理解とご協力をいただきますように心からお願いいたします。
  年の瀬は、何かとあわただしさが増しますが、笑顔に心がけて、おだやかに、落ち着いて、思い出深く過ごしたいものですね。

第65回 平成17(2005)年12月18日公開

子どもの笑顔が見えるまち
地域安全マップシールを手に地域安全マップの前で
地域安全マップシールを手に地域安全マップの前で

 年末に近づくにつれて、国内では小学生が被害者となる事件が相次いで発生しました。未来を担う社会の宝である子どもたちを守るのは大人の責任です。
  三鷹市では、昨年「三鷹市地域安全マップ」を作成し、市内の小中学校の児童・生徒に配布し好評をいただきました。でも、作成し配布するだけでは十分ではありません。そこで、今年は子ども自身による地域のまち診断を実施してもらうために「三鷹市地域安全マップシール」を作成しました。このシールを貼ることで、子ども一人ひとりが、自分専用の地域安全マップを作ることができます。
  一昨年12月に開始した職員による安全安心パトロール、昨年度に開始した「安全安心・市民協働パトロール」をはじめ、地域での自発的な市民の皆さんによる見守りの活動が強化されています。
  三鷹消防署や消防団の皆さん、地域のいくつかの事業者の皆さんも、市との協定により安全安心パトロールにご協力をいただいています。
  子どもたちが家に引きこもるのではなく、校庭開放や地域子どもクラブの活動、児童館活動に参加したり、公園で遊んでもらったりすることが大事です。
  子どもたちと行き交う大人が、名前と顔が一致する中で、笑顔で、自然に挨拶をし合える信頼が求められています。
  歳末は何かとあわただしいとは言え、冬休みで子どもたちが家庭と地域にいる時期です。ふれあいを大切にできるまちにしたいですね。

第66回 平成18(2006)年1月1日公開

「安全安心」と「信頼」

 新年おめでとうございます。
昨年、市制施行55周年を迎えた三鷹市では、9月に市議会で、市民参加と協働のまちづくりのさらなる発展をめざすための「三鷹市自治基本条例」が可決され、今年の4月1日から施行されます。
 1970年代から、コミュニティ活動など幅広く「市民参加」に取り組んできた三鷹市は、「高環境・高福祉」のまちづくりを、市民の皆さんとともに「協働」で進めてきました。
 私は市長に就任してから3回目の新年を迎えていますが、「高環境・高福祉」に加えて取り組みを強化してきたのは、「安全安心」のまちづくりに関わる政策です。
 今、電話を利用した詐欺や青少年を巻き込む犯罪などの多発による不安、大地震・都市型水害などの発生や建築物に関するアスベスト・耐震度などへの不安、長寿化によって長くなった老後への不安など、解決すべき多くの課題があります。
 市は関係機関との連携をより密接にしながら、こうした課題解決に積極的に取り組んでまいりますが、何よりも市民の皆さんと行政との信頼、市民の皆さん同士の信頼が不可欠です。今年も、着実に信頼を深め、安全安心度の向上に全力を尽くしてまいります。

第67回 平成18(2006)年1月15日公開

未来を担う 新成人の輝き
成人式実行委員会の皆さんと清原市長
成人式実行委員会の皆さんと清原市長

 1月には、新春を迎えたすがすがしい空気の中で、市にとって大切な行事が多くあります。
 9日には、「成人を祝福するつどい」を市と教育委員会、選挙管理委員会の主催で、新成人を中心とした実行委員会の企画運営で開催しました。当日は、900人を超す新成人が参加され、会場の公会堂ホールは熱気に包まれました。
 私は成人を迎えられたことを祝福し、この20年間の社会変動や技術革新の大きさの中で、新成人の皆さんの尊い命がご両親の「愛情」から生まれ、育まれてきたことの大切さ、これまでの人生が学校の先生や友人、地域や職場の皆さんによって支えられていることに「感謝する」ことの意義、そして、新成人として社会の中でそれぞれが投票をはじめとする社会的「責任」を果たしていくことの重要性についてお話をしました。
 会場の皆さんは熱心に耳を傾けて聴いてくださり、大きな拍手をいただいて感激しました。
 最後に、新成人の皆さんの中学生時代の合唱課題曲であった「大地讃頌(さんしょう)」を、新成人のピアノ演奏で、私が指揮をして全員で合唱しました。
 新成人の皆さんの、力強い歌声は笑顔の輝きと共に会場いっぱいに響き渡り、感動が胸を打ちました。未来を担う若い世代の意欲と希望、そして提案が反映され、その活躍が具体的に見える三鷹市にしていきたいと強く思いました。

第68回 平成18(2006)年1月22日公開

信頼と安心の三鷹市の福祉計画を策定するために

 市民の皆さんと市の、そして市民の皆さん同士の信頼と安心を深め、それを実現するためには、市民の皆さんの声を反映した計画づくりが欠かせません。このたび、三鷹市の「健康・福祉総合計画2010(改定)」「第3期介護保険事業計画」の素案がまとまりました。この計画は、第3次三鷹市基本計画の改定や介護保険法等の改正などを踏まえて策定するものです。
 それぞれの計画案の策定にあたり、福祉施策についての市の考えを簡潔に申し上げ、市民の皆さんから多くのご意見をいただきたいと思います。

地域ケアの推進 ~安心とふれあいの福祉をめざして~

 団塊の世代が高齢期を迎える2015年を見据えて、年金、医療、介護など福祉のさまざまな分野で国の制度が大きく変わろうとしています。福祉全般にわたる市の行政計画としての「健康・福祉総合計画2010」は、高齢者、障がい者の皆さん、そして子どもたちを含むすべての市民の皆さんが、三鷹市で、希望と安心をもって生活でき、ともに支えあう地域ケアをめざした計画でありたいと考えています。そのためには、地域の中でボランティアをはじめ多くの皆さんと協働で福祉のコミュニティを育てていくことが不可欠であり、そのための仕組みづくりが重要な課題と考えています。

喜びと笑顔の子育て支援をめざして

 少子化が急速に進む中で、三鷹市は平成16年度に「次世代育成支援行動計画」を策定しました。他市に先駆けた「ゼロ歳児保育」や「緊急一時保育」など幅広い子育て支援に今後とも取り組んでまいります。若い世代が、子育てに喜びや感動を得て、安心して生み育てることができるような、子育てにやさしいまちづくりを進めていきたいと考えています。

市民参加や協働のまちづくりをめざして

 市民一人ひとりの福祉に求めるニーズも多様化し、市の福祉施策も広範囲に及んでいます。私は、市民が誰でも人間としての尊厳をもって、その人らしい暮らしができ、子どもから高齢者まで、障がいのある人もない人も、みんなが三鷹市に住んでよかったと感じられるようなまちづくりをしたいと考えています。そのためには行政と市民、民生委員、NPO、ボランティア、事業者、関係団体等が連携し、協働しながら福祉を進めていく必要があります。基本的人権を尊重し、協働を進める視点で計画素案をまとめました。
 今回の計画策定にあたり、多くの市民の皆さんにご意見をお寄せいただき、計画に反映していきたいと考えていますので、どうぞよろしくご協力をお願いします。

第69回 平成18(2006)年2月5日公開

5年目を迎えた 三鷹の森ジブリ美術館
三鷹の森ジブリ美術館の前にて
三鷹の森ジブリ美術館の前にて

 2001年9月に開館した三鷹市立アニメーション美術館(三鷹の森ジブリ美術館)は、5年目に入っています。
  館内の「土星座」では、アカデミー賞やカンヌ映画祭で多くの表彰を受けている宮崎駿監督による、この美術館でしか見ることができない独自の短編アニメーション作品が上映されています。1月3日からは「水グモもんもん」などの新作3本が交互に上映されており、好評を博しています。
  来館者にゆっくり展示を楽しんでいただくために、開館当初から、毎日10時、12時、14時、16時の入館時刻ごとに600人ずつの定員制をとっていて、チケットをローソンで予約購入するしくみですが、平均95%の入館率です。最近では、韓国、中国や欧米からの来館者も増えて、美術館は国際的に注目されてきています。
  市立美術館ですから、三鷹市民の皆さんには先着順の特別枠を設定し、三鷹産業プラザ1階でチケットを販売しています。
  さて、今年度三鷹市では、三鷹商工会を中心に「観光振興推進委員会」で観光協会の設立について検討しています。ジブリ美術館は、井の頭公園、新選組や太宰治ゆかりの史跡などとともに、観光資源としても意義が大きいと思います。
  私も昨年から、洋服の胸には、ジブリ美術館の紋章のバッチを必ず付けて、美術館のPRをしています。
  皆さん、立春後の明るさの中、常に展示に新しさを加え続けている「進化するジブリ美術館」に、ぜひお出かけください。

第70回 平成18(2006)年2月19日公開

タスキがつなぐ市民の輪
実行委員の皆さんと清原市長
実行委員の皆さんと清原市長

 第14回三鷹市民駅伝は、2月5日、気温は零下、抜けるような青空のもとで、開催されました。9時20分、スタートした156人の第一走者のタスキは、3つの中継地点で汗と友情とをつないでいきます。
  私は、スターターを務めた後、すぐに第2中継地点の風の散歩道、山本有三記念館前まで応援に出かけました。ボランティアの走路員や三鷹警察署の皆さんが、誘導や交通安全に働いてくれています。
  10時には、私と実行委員会委員長である三鷹体育協会会長の清水紘子さんが持つテープを、一般男子のビバリーヒルズ柔術クラブを先頭に、各チームの最終ランナーが次々と切っていきます。
  中学生男子・女子ともに、招待参加の姉妹町である福島県矢吹町のチームが優勝しましたが、今年の特徴は三鷹の中学生の活躍です。全体の12位以内に、一中、二中の生徒によるチームが入りました。また、一般男子で優勝した最速のチームは三鷹市立中学の同窓生による高校生チームでした。
  三鷹市民駅伝は、消防署と消防関係団体による「火災予防駅伝」が前身ですので、常連の消防署チームをはじめ陸上競技協会、住民協議会、PTA、地域の会社や医療・社会福祉関係者、同好会や家族など多様なチームが参加しました。
  今年は交通管理者である三鷹警察署のご協力により、すべての申込チームに出場していただくことができ、事故なく、感動のゴールを経験していただき感謝です。
  走る人ばかりでなく、運営や応援にあたる人も含めての「市民駅伝」であることを実感した一日でした。

第71回 平成18(2006)年3月5日公開

新年度の施政方針

 近年、景気回復の歩みは次第に確かなものになっていると言われていますが、未だその効果は社会全般にいきわたるまでには至っていません。また、国の内外における自然災害の猛威や子どもをめぐる痛ましい事件の続発、耐震強度の偽装事件などによって、社会不安が次第に増大してきています。さらには、急速な少子高齢化によって既に人口減少時代が始まっていますが、特に生産年齢人口の減少という事態は、これまでの社会制度の変更を促す大きな圧力をもたらしています。
  一方、国や東京都のさまざまな改革が進行するにつれて、それによってもたらされる市民の皆さんの「痛み」や市の財政負担の拡大にどう対応していくのかという課題も顕在化してきました。昨年末には、国の「三位一体の改革」による税源移譲の概要が明らかとなりましたが、その動向によっては市の財政に重大な影響を及ぼすことが想定されるため、昨年12月末に総務大臣及び東京都知事に急きょ対応を求める要望書を提出したところです。
  このように、いわば「時代」が大きな転換期を迎え、経済や社会が不安定な現在だからこそ、私は市民の皆さんにとって「最も身近な政府」である三鷹市が、希望への道筋を明確に示すとともに、セーフティーネットとしての機能を果たすことが何より必要だと考えます。そうすることによって、私たちは「豊かさの実感」を共有できる地域社会、「高環境・高福祉のまち」に一歩ずつ近づいていけるものと考えています。
  その具体化を図るために、昨年改定した「第3次基本計画(改定)」の中では、既に6つの最重点、5つの重点プロジェクトを位置づけ、施策の重点化・総合化を図っています。そのどれもが大切な施策の柱ですが、特に次の3つのポイントに絞って私の基本的な考え方を述べたいと思います。
  第1は、今回の改定で新たに最重点に位置づけた「安全安心のまちづくりプロジェクト」の重要性です。このプロジェクトにおける防災、防犯、環境対策などの諸事業の展開は、市民の皆さんの生命・財産を守るという市政の土台となるものです。この分野については、必要な基礎調査や研究を徹底して行い、その上で課題の所在を明確にし、課題解決のために、関係諸機関や関係団体の皆さんと連携して積極的に事業の実施に努めます。
  第2は、いま述べた「安全安心」を始めとして、「地域ケア推進プロジェクト」、「子ども・子育て支援プロジェクト」など、全てのプロジェクトを推進していく上で重要な鍵となる「協働」の重要性です。平成17年度は市制施行55周年にあたりましたが、それを祝福するかのように6月にはニューヨークで「世界テレポート連合(WTA)」から「情報都市づくり」でトップ・ワンの栄誉をいただきました。この受賞は、本市のITに関する取り組みの先進性への評価とともに、三鷹という地域で、従来から市民の皆さん、大学・研究機関、企業、行政との間で積み重ねてきた「民学産公」の「協働」の取り組みへの評価によるものでした。
  三鷹市における「協働」は、いわゆるコミュニティ行政以来、長い年月をかけて培ってきた市民の皆さんとの「共有財産」ですが、今では自治体経営の強みとなっています。この強みを、私たちは再認識し、市政運営の根幹に据えて新年度の事業展開をしてまいります。
  第3は、まちづくりを担う「人財」の重要性です。事業の成否は、究極的にはそれを支える人、人財のあり方に尽きるといわれています。本市がめざす創造型のまちづくりは、常に学びながら課題解決を図り、さらなる向上を目指す人財によって保障されるものです。
  本市では、「民学産公」で進める三鷹ネットワーク大学が、新年度から学習・教育機能に、研究・開発機能等を加えて本格的に展開される予定です。三鷹ネットワーク大学とさまざまな教育機関や関係団体等を結ぶことによって、地域における「人財」の育成と交流、起業家やNPOの育成と支援に向けた仕組みづくりが進むことになります。
  また、新年度から小・中一貫教育のモデル校がいよいよ始まります。学校教育を通して、子どもたちを未来の担い手として育てていく新しい試みが三鷹から発信されることになります。
  以上述べましたように、本年度は、第1に市政の土台となる「安全安心」、第2に市政運営の基本となる「協働」、そして第3にまちづくりを支える「人財」の重要性、この3つのポイントをしっかりと踏まえてまいりたいと考えています。
  さて、平成18年度は、いうまでもなく昨年制定された本市の最高規範である「三鷹市自治基本条例」が施行される最初の年度となります。この条例の施行にあわせて、パブリックコメント制度や市民会議・審議会の公開制度など、市の諸制度の改革も予定しています。私は、これまでも自治基本条例の制定は「ゴール」ではなく、さらなる分権改革の「スタート」だと述べてきましたが、まさに改革は次の飛躍に向けて新しい段階に入ったと考えています。私は、「市民の皆さんの立場」に立った「創造的な自治体経営」を目指して、一層の行財政改革に取り組んでまいります。
  そして、本年度は、市民の皆さんから与えられた私の任期の4年目にあたる年でもあります。私は市長に就任するにあたり、「市民の皆さんと私とのお約束」として「これからの三鷹をこんなまちにしたい」という理念やビジョンとともに具体的な政策目標もお示しし、その達成に向けて3年間全力で取り組んでまいりました。市民の皆さんの信頼に応える「着実な一歩」が、新しい「次なる一歩」を生み出していきます。市民の皆さんとともに歩む「希望への道」の向こうに「輝くまち三鷹」があります。これからの1年間、私はこれまでに増して誠心誠意、全力でまちづくりを進めてまいります。