市長コラム(過去ログ)|2006年

第73回 平成18(2006)年4月2日公開

三鷹駅前広場の完成 ~感謝とよろこび~
緑の小広場でのテープカット
緑の小広場でのテープカット

 3月25日の午後、市制施行55周年記念「三鷹駅南口駅前広場の完成記念式典」を行いました(写真はテープカット)。
 駅前広場は、今から実に44年前の1962年に都市計画決定され、その後、1990年に事業化が決定されて以来16年の歳月を経てこの度の完成に至ったものです。
 市民の皆様、ご審議いただいてきた市議会の皆様、事業にご協力いただいた国、都、警察署、JRなどの関係機関の皆様、とりわけ事業にあたり、貴重な土地をお譲りいただいた地権者の皆様に対し、深く感謝します。
 そして、工事期間中、駅前をご利用の皆様、ご近所にお住まいの皆様には長期間にわたり大変ご不便とご迷惑をおかけしました。ご理解とご協力に感謝します。
 式典会場とした「緑の小ひろば」をはじめ、駅前広場全体の整備については数多くのご意見をいただき、その反映に努めてきました。デッキ上にはご要望が多かった大屋根を設置し、広場内ではバス・タクシー乗場の配置を変え歩道の幅を広げました。
 風の散歩道へと続く広場からは、春には見事な桜の花のトンネル、夏には緑深く、秋には色づく木々がつくりだす、四季折々の美しい玉川上水の景観を眺められます。これこそ、三鷹ならではの緑と水に配慮した駅前広場だと思います。
 着手から16年を経て完成した駅前広場が、にぎわいある三鷹市の人に優しい玄関口として、愛され、活用されることを願っています。

第74回 平成18(2006)年4月16日公開

にしみたか学園の開園と子どもたちの輝き
「にしみたか学園」開園式にて
「にしみたか学園」開園式にて

 4月5日、第二中学校体育館で、三鷹市立小・中一貫教育校「にしみたか学園」開園式が行われました。第二小学校、井口小学校、第二中学校をモデル校とする9年間の一貫カリキュラムによる確かな学力と豊かな人間性の向上をめざした公立学校の教育が出発しました。
  制度上、市長は公立小・中学校の設置者であり、施設設備等の予算提案と実施に関する責任と権限を持っていますが、教育内容については教育委員会にその責任と権限があります。
  2004年2月に同体育館で開催された小・中一貫教育に関する最初の説明会には、私も設置者として出席しました。会場には、保護者、地域の皆さん約500人が参加され、教育改革への期待と不安の両方を熱く感じました。
  その後、教育委員会では、市民の皆さんとの意見交換会を重ね、昨年度は公募委員を含む多数の市民の皆さんと教職員による開設準備検討委員会で「実施方策」がまとめられました。
  開園式典では、二つの小学校の6年生代表が、中学生との学習やクラブ活動での交流への期待を明るく話し、中学3年生代表は学園生活でのリーダーシップをとる自覚を表明してくれました。
  地域の皆さんが運営に関わる三鷹型のコミュニティスクールを基礎として進められる小・中一貫教育の取り組みが、全市的な取り組みとなるよう望んでいます。

第75回 平成18(2006)年4月30日公開

新たな分権改革 スタートの意義~三鷹市自治基本条例の施行にあたって~
13名の新入職員が自治基本条例の遵守を宣誓
13名の新入職員が自治基本条例の遵守を宣誓

 本年度のスタートの日となった4月3日(月曜日)に、三鷹市は13人の新入職員を迎えました。朝一番に行われた採用発令式では、これからの三鷹のまちづくりの一端を担う新たな職員達が、日本国憲法の尊重とともに、三鷹市自治基本条例を遵守することを高らかに宣誓しました。
 これは、自治基本条例と同時に4月から施行された「職員の服務の宣誓に関する条例」に基づくものです。一般職の職員が採用時に自治基本条例の遵守を宣誓するのは、全国初の試みであり、当日の様子は新聞でも報道されました。私は、自治基本条例の重要性について職員がしっかりと認識し、その実践の努力を進めるために、宣誓に関する条例の改正を提案したのです。13人の若き職員の元気な宣誓を、副市長、収入役、教育長、各部の部長と聞きながら、自治基本条例の施行元年に入庁した職員が、条例で掲げた地方自治の実現に向けて日々の業務に取り組んで欲しいと願いました。
 私は、市民としては三鷹市で30年にわたり参加と協働の経験を重ねてきましたが、市長として、参加と協働の拡充をめざす自治基本条例の誕生という歴史的瞬間に巡り合えた幸いに感謝します。同時に、条例に基づいた市政運営を果たすという大変重い責任を負ったと受け止めています。自治基本条例に掲げた市民自治による協働のまちづくりを一層推進するためには、パブリックコメントや市民会議・審議会の公開の制度などの新たな自治の制度の円滑な運用を図ることはもちろんですが、市民や事業者の皆さん、大学・研究機関の皆さん、そして私を含めた市役所の職員が、これまで積み重ねてきた協働で培われた信頼を基礎に、さらに多くの市民の皆さんとの協働のまちづくりの機会の拡充と推進を図っていきたいと考えています。
 私は、自治基本条例の制定は三鷹市にとって自治体としての「ゴール」ではなく、さらなる分権改革と自治の実現に向けた「スタート」であると考えています。自治基本条例の第3条は、「地方自治の推進に向けた取組を通してこの条例の不断の見直し及び検証を行い、将来にわたりこの条例を発展させる」と定めています。これからも市民の皆さんとご一緒に、自治基本条例の発展と市民自治の実現に向けた実践を進めてまいりましょう。

第76回 平成18(2006)年5月7日公開

ごみ減量がつくりだす地球環境保護と経費削減
玉川上水クリーン作戦の様子
玉川上水クリーン作戦の様子
ごみ減量キャンペーン 駅頭にて
ごみ減量キャンペーン 駅頭にて

 私たちが生活する上で生み出すごみの処理は、地域の衛生や環境保護、美化の観点から、自治体にとって基本的な政策課題です。
 玉川上水は東京都が管理するものですが、堤内への空缶等のポイ捨てが多く、美化の必要性から2002年2月以降、市では「玉川上水クリーン作戦」を行っています。
 今年も4月15日に昨年より24人多い142人の市民の皆さんの参加を得て実施しました。回収されたごみの量はピーク時に比べて大幅に減少しました(写真右)。
 また、4月17日~21日の毎朝7時30分~8時30分、三鷹台駅、三鷹駅南口駅前デッキ、井の頭公園駅、つつじヶ丘駅駐輪場の周辺等で、ごみ減量等推進員の市民の皆さんとご一緒に「ごみ減量キャンペーン」を実施し、反響をいただきました(写真下)。
 昨年2月以降の可燃、不燃、雑紙、プラスチック、ペットボトル等といった更なる分別のご協力の成果があがり、1年間で17%のごみを減量することができました。
 ごみの減量はごみを燃やすことで発生する二酸化炭素の減少等による地球温暖化防止につながり、最終処分場の負担の軽減やごみ処理経費の削減にもつながります。
 これからも更なる分別とごみ減量へのご協力をお願いします。

第77回 平成18(2006)年5月21日公開

自転車の視点、自転車のマナー
自転車に乗って市内を回る清原市長
自転車に乗って市内を回る清原市長

 私は市長に就任直後から、毎年5月に副市長や職員と一緒に自転車による市内まわりを実施しています。今年は、1日目は西部地域を、2日目は東部地域を中心に回りました(写真)。
 訪問先は今年度の事業に関係する施設や予定地等です。ほたるの里三鷹村の村長さん、国立天文台の台長さん、にしみたか学園や第一小学校の校長先生方、学童保育の保護者代表の方をはじめ、市民の皆さんと懇談して、課題の再確認をすることができました。
 自転車での移動を通して、途中の道路や公園等について、バリアフリーや安全安心の観点から、改善や対応が必要な個所を発見したり、確認したりしました。
 歩く速度、車いすの速度、自転車の速度、自動車の速度、それぞれの移動手段によって、まちを見る視点や体の感じ方は異なります。自転車で移動すると、目には若葉の緑が飛び込み、体は風の強弱、道路の勾配や段差を感じます。
 また15日には、市内15の小学校で、校内の安全を守る「みたかスクールエンジェルス(学校安全推進員)」の活動が開始され、南浦小学校の校門で、推進員やボランティアの皆さんと一緒に児童の登校を迎えました。その時、校門の前を猛スピードで行く自転車があり、危険と感じました。最近、自転車と歩行者による交通事故で、歩行者が亡くなる事件も発生しています。
 自転車の視点を尊重したいと思う私としては、自転車利用者のマナーの向上もお願いします。

第78回 平成18(2006)年6月4日公開

都市型水害への備えと機関連携の重要性
右から齋藤警察署長、市長、高橋消防署長、石井消防団長
右から齋藤警察署長、市長、高橋消防署長、石井消防団長

 都市農業が残る三鷹市では、農業者の皆さんだけでなく市民の皆さんが、市民農園、農業公園の体験農場、学校農園等で農業体験をしています。私たちは、農作物を育てる時に、改めて土と太陽と、「水」が必要なことを知ります。
  「梅雨」の季節の6月は、農作物や植物にとっては、「水の恵み」をもたらす大切な時季ですが、最近では、梅雨前線や台風による豪雨が、私たちに「水の災い」をもたらすことが増えています。
 5月28日、三鷹市では、三鷹消防署のご指導をいただき、市役所中庭で、消防団員と職員に加えて、自主防災組織連絡会、女性防災リーダーの会、災害時支援ボランティア、建設業協会、飲食業組合の皆さんをはじめ、市民の皆さんの参加による「総合水防訓練」を実施しました(写真)。
 昨年9月の1時間降雨量105ミリを記録した集中豪雨では、床上・床下浸水の被害が多く出ました。そこで、段ボール、ごみ袋、水を利用した手軽な「住宅浸水防止工法」や、「土のう作り」及び「積み土のう工法」、そして排水ポンプによる訓練を行いました。
 今年度、市では下水道雨水管の整備や10カ所の消防団詰所に土のうと排水ポンプの配備を行います。
 消防団の新入団員、市役所の新任職員を含む参加者は、訓練を通じて消防署・警察署等各組織との連携の重要性を確認しました。

第79回 平成18(2006)年6月18日公開

「丸池の里」開園式のよろこび
樹名板を手にする児童に囲まれて 井上村長さんと清原市長
樹名板を手にする児童に囲まれて 井上村長さんと清原市長

 6月10日の晴れ渡った日に、丸池の里第二期部分の開園式が、丸池の里わくわく村の皆さんと市の共催で開催されました。この新川丸池は、仙川の水源の一つで、豊かな遊び場でしたが、'69年、水の汚れなどの理由から埋め立てられました。
 '89年、新川中原の市民の皆さんが提出した「まちづくりプラン」には丸池復活と仙川流域の親水公園化が提案され、丸池復活への協働事業が開始されました。'97年からは市民の皆さんが参加した第一期のワークショップが始まり、その提言を反映した第一期工事が2000年4月に完成し、丸池が復活しました。
 ワークショップは、丸池復活プランづくり運営委員会を中心に進められ、委員会はその後、運営を担う丸池の里わくわく村に発展しました。その後、丸池の北側斜面地の活用、さらには南西側についての第二期ワークショップが実施され、今年3月に工事が完了しました。
 当日は、一小・中原小・北野小・東台小の児童の皆さんの代表に園内の記念樹に付ける樹名板を手渡しました(写真)。ワークショップを開始してから丸10年、当初から参加されてきたわくわく村の井上利明村長さん、村民の皆さんはまさに感慨無量のご様子でした。
 丸池の里は、市民の皆さんとの協働による「三鷹のふるさとづくり」の一つなのです。

第80回 平成18(2006)年7月2日公開

風の散歩道と路傍の石~山本有三記念館開館10周年~
山本有三記念館の玄関にて
山本有三記念館の玄関にて

 第二期工事が完了した三鷹駅南口のペデストリアンデッキを降りると、玉川上水南側に「風の散歩道」が井の頭公園まで続きます。
 途中の右側にある山本有三記念館は、今年で開館10周年を迎えました。入り口では、作品名にちなんだ「路傍の石」が迎えてくれます。
  '58年に三鷹市の名誉市民に推挙された山本有三さんは、'36年から'46年までの十年間、この大正時代の欧風建築に住み、『新編路傍の石』『米百俵』などの名作を生み出しました。この建物は'85年に東京都から三鷹市に移管され、「有三青少年文庫」の活動を経て、十年前に記念館となりました。
 今回、開館10周年を記念して「山本有三の郊外生活」をテーマとした展示を整え、緑と花々が美しい庭園で、ささやかな記念式典を実施しました。当日は、貴重な遺品の数々を寄贈いただいたご長男の故山本有一さんの夫人の清子さんも来館されました。「玄関を入ると、いきなり父の声がしたような気がしました」と、新しい展示への感想を話してくださいました。
 多くの人が、小説「路傍の石」に出会う時、主人公である吾一少年と自分とを重ね合わせ、青年期の自立への不安や葛藤、憧れに想いを馳せるのではないでしょうか。
 甘酸っぱい青春を思い出しながら訪れる私たちを、今日も路傍の石がどっしりと迎えてくれます。

第81回 平成18(2006)年7月16日公開

「バリアフリー」と 「交通安全」
市役所前のベンチに腰掛ける清原市長
市役所前のベンチに腰掛ける清原市長

  三鷹市では、第3次基本計画の最重点プロジェクトの一つにバリアフリーのまちづくりを位置づけ、03年に市民参加で策定された「バリアフリーのまちづくり基本構想」に基づいて、三鷹駅前等重点地域やコミュニティ施設から、段階的に歩道整備や段差改修、昇降機の設置、「ほっとベンチ」の設置などを進めています。
  バリアフリーのまちづくりは、市民の皆さんにとって移動や活動の利便性を高め、交流を深めていただくための取り組みです。
  こうした中で、最近市内での交通死亡事故が多発しています。先日は、市のごみ収集業務中に委託事業者による交通死亡事故が発生してしまいました。私としては、ご遺族のお悲しみに少しでも報いるためにも再発防止策の徹底に努める所存です。
  市民の皆さんに安全に、安心して歩いていただけるまちづくりを進めるためには、バリアフリー整備だけでなく、交通安全、労働安全などの取り組みが必要です。
  当該事業の全事業者の従業員を対象に緊急安全研修を実施するとともに、市の職員をはじめ、委託事業者や外郭団体など協働のパートナーにも、交通安全、労働安全に関する情報共有と研修の機会の再点検を実施し、実効性を確保していきたいと思います。
 また、三鷹警察署とも連携を強め、これまで実施してきた自転車安全条例に基づく「自転車安全講習会」の取り組みの普及定着をはかり、自転車走行中のマナーアップに努めます。そして、子どもから高齢者までの、幅広く交通安全の普及啓発に一層努めて、交通事故の減少、死亡事故ゼロの確立をめざす取り組みを強化してまいります。

第82回 平成18(2006)年8月6日公開

夏のふれあいと地域のちから
納涼盆踊り大会にて清原市長と地域の皆さん
納涼盆踊り大会にて清原市長と地域の皆さん

 夏休みに入る直前の土日には三鷹商工会主催の「商工まつり」が市役所中庭で開かれ、夏休みに入った直後の土日には、三鷹市商店会連合会主催の「むらさき祭り」が市立第四小学校の校庭で開かれました。
  また、青少年対策地区委員会、交通安全対策地区委員会、PTA、おやじの会などの連携によるキャンプファイヤーや夏祭りが、各学校を会場として開催されています。
  さらに、都内ではほとんど消滅したと言われる青年団が、大沢、新川宿、牟礼の三地域で活動を継続していて、それぞれが納涼盆踊り大会を主催しています。
  各町会・自治会、商店会、社会福祉施設などでも納涼盆踊り大会や夏祭りを実施していて、地域活動の伝統と厚みを感じます。
  今年は特にゆかた姿の児童、生徒や親子連れも目立ち、本当にほほえましい限りです。
  市民の皆さんが季節の風物詩である行事の継続に一致協力して努めてくださっていることには、文字通り支え合いと信頼の「地域のちから」があらわれています。
  盆踊りに欠かせない太鼓を、やぐらの上でたたく子どもたちが増えていますし、踊りをリードする中学生の晴れ姿もすてきです。
  子どもたちの夏休みの思い出のページに、しっかりと「地域のふれあい」が記されることは本当にうれしいことだと思います。

第83回 平成18(2006)年8月20日公開

若い世代との語り合い
清原市長と小学校5・6年生の参加者
清原市長と小学校5・6年生の参加者

 8月3日の午前中、市内の小学5年生3人と6年生7人が、25回目の「市長と語り合う会」(試行2回を含む)に参加してくれました。男女5人ずつで、私立小学校に通うお子さんも2人いました。
 「市長と語り合う会」は、毎回テーマや対象者を絞って募集した10人前後の市民の皆さんと私が、1時間半程度、テーマに沿って、それぞれの生活や意見を語り合い、体験や情報、課題を共有し、共感しながら、市政の向上への方向性を見出しているものです。
 語り合う会では、特に若い世代の皆さんの声を聞く機会をつくってきました。最初の頃は、児童館で活動中の皆さんと「子どもにとって地域とは?」というテーマで語り合いました。その時には児童館でボランティア活動している中高生の参加もありました。
 毎年2月には新成人の皆さんとも語り合ってきました。一昨年の8月は中学生と、昨年は高校生と、そして今年は小学生と語り合いました。
 参加した小学生からは、学校施設・設備の快適度や通学路の安全安心度をさらに向上してほしいとか、子どもに使いやすい図書館を、などの希望もいただきました。
 ほとんどが委員会活動やクラブ活動だけでなく、地域のサッカーや野球のチーム、児童館活動に参加しているなど、幅広く活動している様子で頼もしく思いました。
 今後も若い世代と語り合い、そのフレッシュな意見を市政に反映していきたいと考えます。

第84回 平成18(2006)年9月3日公開

「話し合い」は「民主主義の原点」
右からJC埴村理事長、清原市長、吉田実行委員長、高橋事務局長
右からJC埴村理事長、清原市長、吉田実行委員長、高橋事務局長

 三鷹市ではこれまで、審議会、市民会議、説明会、パブリックコメント、市長と語り合う会などをはじめとして、さまざまな市民参加の場をつくってきました。特に、審議会、市民会議では公募の市民委員の参加機会を増やしています。
 そうした取り組みの一つとして、8月26、27日の二日間、三鷹青年会議所(JC)の皆さんと交わしたパートナーシップ協定をもとに、JCの皆さん、市民の皆さん、そして市の職員による実行委員会の運営で「みたかまちづくりディスカッション2006」を実施しました。
 参加者の皆さんは無作為抽出で選ばれた三鷹市民1千人の中から参加を承諾してくださった52人です。そのほとんどが、こうした機会は初めてという方ばかりでしたが、二日間、市民協働センターは、「子どもの安全安心」をテーマに、真剣に、活発に話し合う市民の皆さんの熱気であふれました。
 話し合いを傍聴し、最後のまとめの発表を聞きながら、私は、参加と協働の新しいかたちが生まれたことを確信しました。
 「話し合い」は「民主主義の原点」です。自分の考えを述べること、他者の話に耳を傾けること、そしてそれをまとめて提案していくこと、その一つひとつが簡単なようで大変むずかしいことです。
 今後提出される報告書に期待するとともに、私は可能な限り施策への反映に努力したいと思いました。

第85回 平成18(2006)年9月17日公開

防災と「水」
「放水」訓練をする清原市長
「放水」訓練をする清原市長

 9月1日は83年前に関東大震災が発生した日で、台風が多い時期でもあることから、1960年に「防災の日」とされました。市内ではこの時期、各地域の自主防災組織が中心となり、警察署、消防署、消防団、市役所などと連携した防災訓練が実施されます。
 私は、9月1日午前に、市役所内で市長を本部長とする「災害対策本部」訓練を実施し、3日午前には、駅前地区自主防災連合会が中心となって実施した、産業プラザ前と第三小学校校庭での総合防災訓練に参加しました。
 当日は消防署、消防団、自主防災組織の皆さんの指導による「放水」訓練にも参加しました(写真)。
 震災時、家屋倒壊等の被害と共に火災による被害が想定されます。消火のために「水」は欠かせません。腰を落として、低く安定した姿勢で放水に臨みましたが、水を含んだホースは重く、霧状になった水の威力に、文字どおり安心の「手ごたえ」を感じました。
 さて、昨年は、総合防災訓練の当日夜に、1時間に100ミリを超す未曾有の集中豪雨が発生し、200世帯以上に床上・床下浸水の被害をもたらしました。今年も、11日の未明に雷を伴う集中豪雨があり、数件の被害が報告されています。
 火災時に不可欠の「水」は、豪雨となればくらしの脅威となります。「防災」には「水」の準備と「水」への対策が求められています。いよいよ本格的な台風シーズンが到来します。市民の皆さん、お一人おひとりの災害への備えをよろしくお願いします。

第86回 平成18(2006)年10月1日公開

青少年の心の支えに
水谷修さんと清原市長
水谷修さんと清原市長

 9月23日(土曜日)の午後、三鷹駅南口デッキで、東京都薬物乱用防止推進三鷹地区協議会の市民の皆さんと一緒に、麻薬・覚醒剤・違法ドラッグ等の使用や薬物乱用を防ぐ環境作りの必要性について啓発活動をしました。
 市内ではこうした事例の発生はありませんが、都内では特に青少年による違法薬物の乱用、その誘発による事故や犯罪の発生が増えており、非行や薬物依存等に陥らないよう、周囲の心の支えが求められています。
 さて、夏休みに入ったばかりの7月29日(土曜日)午後、三鷹市公会堂で開催された「憲法を記念する市民のつどい」(憲法を記念する三鷹市民の会・市・市教育委員会主催)には、「夜回り先生」こと水谷修さんの講演を聴くために、中高生、大学生を含む多くの来場者で会場はあふれました。
 水谷さんは定時制高校教諭時代から青少年を非行と薬物依存等から守るための深夜パトロールを行い、青少年の更生に尽力し、出版・講演等で少年非行の実態とおとなのとるべき対応について広く社会に訴え続けています。
 青少年に対して、実は最も厳しく冷たい話し方をしているのは家庭と学校ではないか、という水谷さんの問いかけは会場のおとなの胸に痛烈に響きました。
 おとなは、激動する現代社会を生きる青少年の人権を尊重しつつ、非行や薬物依存等から守る心の支えになることが求められていると思います。

第87回 平成18(2006)年10月15日公開

心の窓を開いて
清原市長福王寺法林展のポスターの前にて
清原市長福王寺法林展のポスターの前にて

 芸術の秋を迎えました。三鷹駅南口コラルビル5階の三鷹市美術ギャラリーでは、10月22日まで「福王寺法林展」を開催しています。福王寺さんは、山形県米沢市に生まれ、’53年から三鷹市に在住され、本格的に日本画の画業に専念してこられました。
 特に、’74年からヘリコプターや小型飛行機で取材を開始され、継続して描いてこられたヒマラヤの作品が著名です。一昨年秋には、その功績が評価され文化勲章を受章されました。
 私は三鷹市で多くの作品を生み出された福王寺法林さんを三鷹市名誉市民に推挙し、市議会の同意を得て昨年11月3日の市制施行55周年記念式典で名誉市民章をお渡ししました。それを記念しての展覧会です。
 会場には、驚くほどのスケールでヒマラヤを描いた大作に並んで、市内の昔の風景や草木を描いた作品が展示され、その基礎となる写生やデッサンも興味をひきます。
 写実的な初期の作品から、大胆に心の窓を開いて、ご自身の感性で描かれた作品を前に、ヒマラヤに出かけたことのない私も、思わずその大自然に立っているような臨場感を得ることができました。
 私たちは、誰もがかけがえのない命をいただいた存在として、優れた芸術に出会う時、自然と心の窓が開きます。素直に「生きること」や「人間」の表現の力の素晴らしさを感じます。多くの皆さんに、福王寺さんの日本画と出逢っていただきたいと願います。

第88回 平成18(2006)年11月5日公開

行政革新度全国首位の評価を受けて
「選択と集中」により来年度の政策を決定する市長と各部との政策会議
「選択と集中」により来年度の政策を決定する市長と各部との政策会議

 10月16日の日本経済新聞朝刊において、'98年から隔年で実施している全国の約800の市区を対象にした「行政革新度調査」で、三鷹市が3回連続、4回目の全国総合首位「AAA」ランクの評価を得ました。
 また、30日の同紙朝刊の「行政サービス度調査」では、三鷹市が総合第2位となりました。
 行政革新度調査における「市民参加度」の分野では、議会条項を含んだ「自治基本条例(4月から施行)」の制定、市民会議・審議会等での公募委員の参加や会議の公開、パブリックコメントの実施など、市民の皆さんとの協働の取り組みが高く評価されました。
 「利便度」では、他自治体で行政サービスが削減・低下傾向にある中、三鷹駅前市政窓口の土日開館、図書館の夜間開館を含む行政サービスの展開等が評価されました。
 三鷹市はこれまで、市民自治を参加と協働で進めていくために、市民の皆さんのニーズの実態にかなうような施策の「選択と集中」に努め、改革の気概を持った少数精鋭の職員による「小さな政府」として、民間活力を生かした行財政改革を継続してきました。
 私は、これからも厳しい税財政状況にあって、絶えざる行財政改革を継続するとともに、市民の皆さんとの協働に励み、満足していただける行政サービスを目指して、粘り強い努力を続けたいと決意しています。

第89回 平成18(2006)年11月19日公開

『太陽と土と水』のめぐみと『命』
JA東京むさし青壮年部部長・市立南浦小学校の皆さんと清原市長
JA東京むさし青壮年部部長・市立南浦小学校の皆さんと清原市長

 毎年11月の第2土曜日・日曜日には、市民センターを中心に「農業祭」が開催されます。これは、三鷹市と東京むさし農業協同組合、農業祭運営委員会が主催するもので、今年で46回目を数えました。
  植木・花きや野菜・果実、鶏卵等について審査が行われ、今年は最多の約3千300点が出品されました。第一体育館には、各市立小学校の学校農園の取り組みが手作りのポスター展示で紹介されました。市立小学校の児童の皆さんは、農業者の協力を得て、校地内で、あるいは畑等を開放していただき、野菜作りを経験しています。
  今年の農業祭では、「食育推進モデル校」の取り組みをしている市立南浦小学校の児童の皆さんが、校長、副校長と一緒に学校農園で当日の朝収穫した大根の販売も体験しました。これも東京むさし農協の三鷹地区青壮年部の皆さんの協力によるものです(写真)。
  農産物は太陽と土、そして水のめぐみで育ちます。子どもたちは学校農園で、種が発芽し生育するためには土づくりから始まる適切な技術と世話が必要なことを体験します。また、生物である野菜の「命」を食することで、生物である人間の「命」が育まれ、生かされることを認識します。
  こうして三鷹市の「食育」では、都市農業が若い農業後継者に継承されているからこその、「命の循環」を意識した取り組みを進めることができています。いじめ等が課題とされている現代、心の「しなやかさ」と「強さ」に果たす都市農業の力も大きな支えです。

第90回 平成18(2006)年12月3日公開

フランス市長会で三鷹市の事例を報告
フランスの全国市長会で報告する清原市長
フランスの全国市長会で報告する清原市長

 今年になって、フランスの全国市長会から、三鷹市の情報都市づくりへの取り組みについて、報告してほしいとの依頼を受けました。また、昨年世界テレポート連合から情報都市づくりで共に表彰を受けたイッシー・レ・ムリノー市からは、石井市議会議長ともども招待を受けましたので、11月20日から25日までフランスに出張してきました。
 現地時間の11月21日はパリ市で開催のフランス市長会全国大会記念式典に参加し、来賓のシラク大統領と挨拶する機会に恵まれました。その夜は、パリ市役所で開催のレセプションに招待され、パリ市長とも短い会話をすることができました。お二人とも、日本に対して大きな関心を寄せてくださり、私の参加に日本語で「ありがとう」と言ってくださいました。
 22日午前は「市長と電子行政」の分科会で、三鷹市の「情報通信技術を生かした協働によるまちづくり」についての事例報告をしました。実は、学生時代に少しだけフランス語を習ったことがあるので、渡仏直前、30年ぶりにフランス語の「にわか勉強」をし、市民の皆さんとの協働の成果を、思い切ってフランス語で発表することにしました。
 発表が終了すると、会場の参加者からは割れんばかりの大きな拍手をいただき、いくつかの質問も受けました。三鷹市の事例が、フランスの自治体にもきっと役立つのではないかと確信でき、これまでの三鷹市民の皆さんのご努力をあらためて誇らしく感じました。

第91回 平成18(2006)年12月17日公開

悠久の時を感じて
清原市長自筆の作品前にて
清原市長自筆の作品前にて

 いよいよ「年の瀬」を迎えています。ただでさえ忙しい年末ですが、インターネットや携帯電話の普及に象徴される情報化の進展が、いっそう私たちにあわただしさを感じさせています。
 さて、私は秋の市民文化祭の書道展で、連盟から作品を依頼された際、思わず「悠久」という言葉を書いて出品しました(写真)。
 「悠久」とは、人間の歴史の長さをも超えてしまうような大きな言葉です。三鷹には国立天文台がありますが、それは、遠い星との対話の中で感じる時間の感覚に近いのかもしれません。
 農作物や草花の生長を通して感じる時間、家族の団らんや親しい人とのふれあいの中で感じる時間、そして、仕事の中で迅速な対応を求められるような時間…など、私たちは、日々の暮らしの中で、時間についてさまざまな感じ方をしながら過ごしています。
 市民の皆さんの暮らしに最も身近な三鷹市のような自治体が、特に、生命に関わる安全安心や防災の領域における取り組みをする場合には、まずは「迅速さ」が求められます。
 とはいえ、この「迅速さ」を適切に実現するためには、短期的な対応にとどまらない、中長期を見渡した自治体経営の取り組みをしていかなければならないと私は思っています。
 あわただしい「年の瀬」の今だからこそ、「悠久」とは言えないまでも、少しゆったりとした時間の流れを皆様が感じられるように願っています。

第92回 平成19(2007)年1月1日公開

「ひかり輝くまち三鷹」の発信を

 あけましておめでとうございます。
 新しい一年が始まりました。今年が、皆様にとりまして、かけがえのない一年となりますようお祈りいたします。
 三鷹市では、市民の皆様とのさまざまな協働の取り組みを進めていますが、今年はいよいよ「観光協会」の設立が予定されています。
 観光の語源は、英語のTourismの訳として、『易経』の「観国之光」(国の光を観る)から採られたと言われています。この「観」は、単に「見る」「眺める」という意味にとどまらず、「参加する」「学ぶ」などの具体的な「行動」につながるものではないかと思います。
 三鷹市には、都立井の頭恩賜公園をはじめ、国立天文台や三つのふれあいの里(大沢の里、牟礼の里、丸池の里)などの緑あふれる地域の他、玉川上水、仙川、野川などの水辺もあります。
 最近では三鷹の森ジブリ美術館が、国内外から多くの来館者を迎えています。また、山本有三記念館、太宰治や三木露風ゆかりの地域など、文学の薫りが感じられる場所も少なくありません。
 昨年3月に、三鷹観光振興推進委員会が「市民が観光大使」~住んでよし、訪れてよしのまち 三鷹~という提言をしています。
 「ひかり輝くまち三鷹」の魅力が、市民の皆様のご活躍によってさらに磨かれ、発信される一年でありますことを願っています。

第93回 平成19(2007)年1月21日公開

青年の協働が拓く三鷹の未来
実行委員会の皆さんと清原市長
実行委員会の皆さんと清原市長

 1月7日午前、寒風の中、三鷹市消防団による志気あふれる出初め式が、厳粛に挙行されました。仕事を持ちながらも、三鷹消防署との強固な連携のもと、地域の消防・防災のために活動する20代から40代を中核とした消防団の活躍は、若い世代の協働が生み出す安全安心確保の取り組みです。
 翌日の8日には、「成人を祝福するつどい」が開催されました。これは、新成人、青少年委員による39人の実行委員会で企画し、運営する行事です。今年も、案内状のデザインからプログラムの編成、当日の司会やピアノ演奏まで、実行委員が行いました(写真)。
 私は「励ましの言葉」として、人生の「時間」を共有する家族や友人・知人、仲間の大切さ、これからの生き方を主体的に考えることができる「自由」の意義、迷い悩みながらも「自立」をめざしていくことの価値という、「じ」を頭文字にする3つのことばについて話をしました。参加した約960人の新成人の皆さんは、私の指揮により合唱曲「大地讃頌(さんしょう)」を全員で心と声を合わせて歌いました。これにより、「成人を祝福するつどい」を、新成人一人ひとりが参加する、協働の行事とすることができました。
 消防団による出初め式や、「成人を祝福するつどい」にあらわれている青年の皆さんの「協働」は、きっと感動とともに「三鷹の未来」を拓いていくものと感じました。

第94回 平成19(2007)年2月4日公開

子どもたちの健やかな成長のために
杏林大学病院東原院長、別所教授、清原市長、三鷹市医師会角田会長
杏林大学病院東原院長、別所教授、清原市長、三鷹市医師会角田会長

 赤ちゃんや子どもの急な発熱や腹痛の発症は、本人にとっても保護者にとっても辛いもので、迅速で適切な対応が必要です。
 今年の1月4日から、三鷹市医師会館で平日午後7時30分~10時30分に「小児初期救急平日準夜間診療所」が開設されました。
 これは、三鷹市医師会および杏林大学病院の皆様による丁寧な検討に基づいて、両者が分担して診療してくださるものです。医薬品については三鷹市薬剤師会のご協力で一日分が処方されます。
 三鷹市では、救急でなくても不安等から救急車を呼び、真に必要な救急患者の搬送に時間がかかる問題が発生しています。そこで、比較的軽い症状の場合には、すぐに救急車を呼ぶのではなく、この「小児初期救急平日準夜間診療所」を活用していただければ、適切な医療が受けられるだけでなく、真の救急の必要に対応することができます。
 ところで、このたび、私は、政府に設置される「子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議」に、現場(自治体)を代表する委員として参加することになりました。三鷹市の子どもたちや、子育てに関わる皆様が直面している課題とそれを解決していくために実践している取り組みを基礎に、しっかりと発言していきたいと考えています。

第95回 平成19(2007)年2月18日公開

絵本の扉を開けて
清原市長 世界絵本原画展会場にて
清原市長 世界絵本原画展会場にて

 子どもの頃は一日が長く、おとなになると狭く感じる児童公園も広く感じられていたものです。子どもの手には大きく感じたあの絵本もこの絵本も、その頃の私にとって、思いをまだ見ぬ世界に広げ、過去へも未来へも時空を超えさせる魔法の存在でした。
 JR三鷹駅南口のコラルビル5階の三鷹市美術ギャラリーでは、3月11日まで「世界の絵本がやってきた ブラティスラヴァ世界絵本原画展」を開催しています。
 2年に一度スロバキア共和国の首都ブラティスラヴァで開催される絵本原画展での入選作をはじめ、展示されている原画の中に引き込まれる時間は、私たちに子ども時代の感性を呼び起こさせてくれます。私も、この展覧会で、一足飛びに子どもの頃へと心を飛ばすことができました。
 入館時に配られるパンフレットには、それぞれの原画の説明に加えて、ちょっとした質問が書かれています。その答えを探しながら原画を見ると、普段とは少し違う絵の見方ができます。たとえば「黒鉛筆と赤鉛筆」の原画では、絵の中に本物の鉛筆の一部が上手に使われていることを発見できます。
 三鷹市では、まもなく、市民の皆様による実行委員会が企画した、市内在住の童話絵本作家・神沢利子さんの展覧会が開かれる予定です。皆様も、ぜひ、久しぶりに絵本の扉を開けて、心を豊かにしてみませんか?

第96回 平成19(2007)年3月4日公開

「更なる挑戦・みたか新時代」のスタートに向けて
三鷹市長 清原慶子
三鷹市長 清原慶子

 平成19年度の市の予算案が、2月27日から始まった市議会定例会で審議されています。
 新年度予算案は、一般会計が565億8,364万4千円、各特別会計を合わせた総額では1,014億8,878万9千円で、「三位一体の改革」による税財源の国から市への移譲の過渡期という厳しい財政状況の中、子育て世代の負担軽減に向けた支援策の拡充、教育環境の整備などに積極的に取り組んだ内容となっています。
 三鷹市は、これからも、行政サービスの広がりと質の向上を図りながら、新たな政策課題に積極的に対応し、夢のある「21世紀型の創造的自治体」への歩みを、着実・堅実に進めていきます。

新年度の施政方針(概要)

 このところ、「いざなぎ超え」と言われる好景気状況にあると報道されていますが、市民の皆様からは「好景気を未だ実感できない」という声が多く聞かれ、現時点ではゆとりと豊かさを実感できる段階には至っていないと言えるでしょう。さらに、今年から「団塊の世代」の一斉退職が始まるとともに、昨年は住民基本台帳に基づく調査(総務省)でも人口が初めて「自然減」となるなど、日本は「時代の分岐点・2007年」と呼ぶべき歴史的にみて大きな時代の転換期を迎えています。
 こうした中、「安心して、いきいきと暮らせるまち・三鷹」を創るため、市では、第3次基本計画(改定)の中で最重点・重点プロジェクトを位置づけ、施策の重点化と総合化を図ってきました。
 本年度は、特に次の4つの方向性を重視して、きめ細かく「選択と集中」による経営資源の重点化を図ることとします。

1 都市の再生・リノベーション

 本市は、市制施行直後から、公団住宅の建設、道路・下水道・学校の整備など、急激な人口増加と都市化に対応すべく、社会資本整備を積極的に進めてきました。そして、一定の社会資本整備が完了し、ハード面では都市として成熟期を迎えた今日、既存の社会資本を有効に活用し、環境との調和を図りながら「質的向上」を目指す段階を迎えています。
 そのため、公共施設の計画的な維持・保全(ファシリティ・マネジメント)のための方針の確立に向けた取り組みを引き続き行うとともに、環境保全や経済性に配慮した都市構造・都市空間の修復と更新を行う「都市の再生・リノベーション」に向けた取り組みを始めます。
 市を取り巻く財政状況は厳しい局面が続きますが、こうした中にあってもまちづくりに消極的にならず、今後本格的に更新の時期を迎える公共施設の保全・活用策や、用地の利活用、施設整備・再配置のあり方などについて検討していきます。

2 三鷹市独自のセーフティーネットの確立

 近年、「格差社会」の問題が論じられるように、国の福祉、年金、医療制度改革や税制改正などによって、市民生活に「痛み」が発生したり、増税感が顕在化するといった課題が新たに生じています。
 私は、市民の皆様にとって「最も身近な政府」である三鷹市が、こうした制度改革の負の影響を最小限にする「セーフティーネット(経済的な困難にあっても、最低限の安全を保証する社会的な制度や対策)」の機能を果たすとともに、すべての人々が社会と接点を持ち、相互に敬意を持って支えあう地域社会を実現することが何より必要であると考えます。
 そこで、国・東京都へ積極的な問題提起などを行うとともに、介護保険制度や障害者自立支援法による制度改正への対応、税制改正の影響による国民健康保険税の負担増への対応を進めるなど、市独自のセーフティーネットの機能を果たす取り組みを行います。

3 次世代を担う子どもたちの成長を支え、子育て世代を支援する環境整備と教育の充実

 さまざまな施策に通底する「人財」の育成は、子どもたちの基本的人権と個性を重視する過程であり、未来に伝統や文化を継承する過程でもあります。その過程を生かすためには、子どもたちを「家族の宝」だけではなく「地域の宝」「社会の宝」として、皆が慈しみ育む社会意識の醸成と社会環境の実現が求められます。すなわち、児童・生徒一人ひとりの個性や能力を最大限に伸ばすとともに、学校、家庭、地域が協働して教育の充実を図ることが大切です。
 そのための環境づくりとして、保育園・学童保育所の整備、小・中一貫教育校の推進、地域子どもクラブの充実など、地域と連携・協力した取り組みを続けるとともに、児童手当や医療費助成などの拡充を図ります。

4 「自治体経営改革の推進」と「新たな参加と協働の仕組みづくり」

 本年度は、第3次基本計画の第2次改定に取り組みます。これは、自治基本条例施行後の新たな自治・分権推進体制のもとでの最初の計画改定であり、パブリックコメントや市民会議・審議会での審議を大いに反映させるなど、幅広く多様な市民参加に取り組みます。
 また、団塊世代の地域回帰を積極的に受け止め、「参加と協働の仕組みづくり」を推進します。これによって、地域の人財の発掘と地域課題の解決に向けた総合力の向上が期待されます。
 さらに、第3次基本計画の第2次改定は、次の「第4次基本計画(仮称)」に繋がる長期的継続的な政策・事業の枠組みや、行財政改革、人財育成などに関する新たな制度づくりや事業立案の準備を進める契機でもあります。「時代の分岐点・2007年」の諸課題と三鷹市独自の地域課題の解決を目指して、時代の変化を先取りした新たな制度設計と枠組みづくりに着手します。
 今、私たちが直面している時代の激動と地域課題の多様化は、行政サービスの更なる広がりと「質の向上」を必要としています。また、新たな政策課題の台頭は、その解決に向けた自治体経営改革の「進化」を必要としています。そこで、平成19年度・2007年度を「更なる挑戦・みたか新時代」のスタートの年と位置づけ、市民の皆様の信託と信頼に基づき、未来に確かなビジョンを繋げる、夢のある「21世紀型の創造的自治体」を築いていきます。
 私は、「三鷹から日本の未来を創造する」という意気込みを持って、市議会の皆様、市民の皆様と目標を共有し、共に役割と責任を担い合う協働のまちづくりを進めることによって、私たちが愛する三鷹を「協働・感動・躍動が息づく輝くまち三鷹」としていきたいと思います。