平成19(2007)年5月6日公開
「更なる挑戦・みたか新時代」のスタートにあたって
皆様からのご信託により、再び市政を担当させていただくことになりました。
先の選挙で、私はマニフェストととして「市民の皆様との新たなお約束2007」を公表。そこに次の「4つの柱」を掲げました。
- 三鷹のまちの「再生・再構築」に向けて、公共施設の計画的な保全や再配置などの見直しを進めます。
- 皆様の生活を守るための支援方策(セーフティネット)を、市が独自に実施します。
- 最も大切な財産は「人」であるという観点から、参加と協働が日常化するまちをつくります。
- 徹底した行財政改革によって「行政革新度・日本一」の市政運営をさらに進めます。
私は、これからの取り組みを「更なる挑戦・みたか新時代」と位置づけ、スタートします。そして誠心誠意、「皆様とのお約束」の実現に向けて、「協働・感動・躍動が息づく、輝くまち三鷹」を築くよう努めます。
引き続き、皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。
第98回 平成19(2007)年5月20日公開
春の園遊会に出席して
天皇皇后両陛下よりご招待をいただき、4月26日の午後、私は赤坂御苑で開催された春の「園遊会」に出席してきました。
私は、市長に就任する前は大学教員として情報社会や情報政策等について研究していたことから、郵政省時代には電気通信審議会委員を、省庁再編で総務省になってからは情報通信審議会委員を委嘱されてきました。そこで、総務省から情報通信審議会委員の一人として推薦され、ご招待を受けたものです。
当日は天候不順の4月にあって久しぶりに広がった青空の下、全国から2千人近くの招待者が出席され、交流の機会を得ました。
天皇陛下は、昨年4月に市内の三鷹光器株式会社をご視察された際、地元市長として私が随行させていただいたことを覚えていてくださり、「顕微鏡の会社でお目にかかりましたね」と優しく話しかけてくださいました。三鷹光器株式会社の会長さんも当日招待されていました。
皇后陛下、皇太子殿下からは、「ゆっくり楽しんでください」とお声をかけていただきました。
秋篠宮両殿下には悠仁親王殿下のお誕生について祝辞を申しましたところ、「三鷹市は中近東文化センターがあるところですね」と問いかけてくださいました。そこで、私は「はい。また、ぜひお越しください」と申し上げました。
皇室の皆様にご記憶いただける市内企業や文化施設を擁している三鷹市長でありますことを、大変誇りに思い、感謝しています。
第99回 平成19(2007)年6月3日公開
花と緑を生かし、人が生きる
三鷹市内には、四季折々に美しく咲く花々や緑が多くあります。
「市長と語り合う会」で出会った新成人の皆様は、高校以降市外に通学して、小中学校時代には気づかなかった緑の多さを三鷹市の魅力として改めて感じたと、異口同音に話してくださいました。
また、最近市内に転入された方々も、三鷹市の良さは、都心に近いにもかかわらず都市農業もあり、緑が豊かに守られている質の高い住宅都市であることだと評価してくださっています。
街路樹にも桜やハナミズキが多く、今の時期は道路沿いの花壇をつつじの花が飾っています。児童公園などでも、市民の皆様のボランティア活動により、美しい緑と花が保たれています。
私は4年前の市長就任以来、市内をくまなく動き回るなかで、この緑と花の輝く三鷹市の良さを再確認しました。そして、その魅力をさらに高めようと考え、市民の皆様がご自宅や沿道の緑と花を美しく整備されている取り組みを、市民緑化推進員の皆様との協働により表彰させていただいてきました。
今年度も「三鷹ガーデニングフェスタ2007(緑のコンテスト)」として、6月15日まで自薦・他薦で写真を公募しています。事務局は緑と公園課です。
また、市民文化祭の一環として、市役所を会場として、春にはさつきの展示会(写真)、秋には菊花展が開催されています。 皆様、あらためて市内の緑と花を探しに歩いてみませんか。
第100回 平成19(2007)年6月17日公開
市長コラム「ユトリロの絵画が与えてくれる『心のゆとり』
風景画の前にふとたたずみ、描かれているのは行ったことのないまちのはずなのに、なぜか懐かしさを感じてしまったことはありませんか。
JR三鷹駅南口コラルビル5階の三鷹市美術ギャラリーでは、7月8日まで「モーリス・ユトリロ展―モンマルトルの詩情―」が開催されています。
ユトリロが多く描いているのは、20世紀前半のパリ・モンマルトルのまちで、教会や古い石の建物は日本ではみられない独特の風景です。けれども、ユトリロの絵は、行ったことのある人にはもちろんのこと、ない人にさえも、なぜか郷愁のような切なさを感じさせ、包容力をもって迎えてくれます。
ユトリロは、幼い時に母と別れ祖母と暮らし、アルコール依存症になり、その治療のために絵画を描き始めたといいます。
このギャラリーは昨年日経新聞が初めて実施した「美術館ランキング」の小規模美術館(4千平方メートル未満)部門で、特に学芸員による自主企画が評価され、全国第1位に選出されました。今回も、ユトリロ研究の在仏の第一人者に監修を依頼することができたことから、日本初出品の34点を含む80点の展示が可能となりました。
小さいながらも頑張る美術館に展示されているユトリロの絵画は、皆様にもきっと「心のゆとり」を与えてくれることでしょう。
第101回 平成19(2007)年7月1日公開
市長コラム「子どもたちとの相互の信頼」
いじめ、虐待、不審者の出没、ネット社会の悪影響、犯罪に巻き込まれるなど、現代社会は子どもたちにとって育ちにくく、生きにくい時代だと言われています。
市では現在、子どもたちの健やかな成長を目指したまちの目標である「三鷹子ども憲章(仮称)」の制定準備を進めています。
先ごろ、子どもたちの意見を直接聞く機会として、15の市立小学校と7つの中学校から代表の児童生徒に市長公室に集まってもらい、3回に分けて各回14人程度の参加者と話し合う「みたか子どもサミット」を開催しました。
貝ノ瀬滋教育長が趣旨説明をした後、私が司会をして、「自分たちが成長していく上で大人に大切にしてほしいこと」「自分たちが大切にしなければならないこと」をテーマに話し合いました。
子どもたちが大人に求める発言に共通していたのは、保護者・教員・その他大人とのコミュニケーションの充実の必要性、成長するための自然環境や教育環境の整備、手本となるべき大人が社会規範を守ることの重要性と期待でした。
同様に、子どもたちは、いじめなどの問題解決をはかり、自分たちの個性を生かしつつ成長していくためには、自らが大人に頼りすぎず自立的であるとともに、他者への思いやりと感謝をもち、社会のルールを守っていく必要があると力強く発言してくれました。
私たちを信頼して、率直に発言してくれた参加者の意見を素直に傾聴し、子どもたちへの信頼感を増すことができたサミットでした。
第102回 平成19(2007)年7月15日公開
市長コラム「三鷹産の夏野菜を食べられる幸せ」
夏のジリっとする陽射しの中で、まさに、その日の朝に採れたばかりの三鷹産のトマトやキュウリをほおばることができることは、本当に幸せなことです。
農家の庭先販売や緑化センターの店頭で、私たちは地域で生産されたものを地域で消費することができる「地産地消」を実現しています。
都心に近い三鷹市内で都市農業を営むことは決して容易なことではありません。相続税制や農業関連の諸制度は、都市での農地保全や後継者確保を困難なものにしています。
そうしたなか、実習農園や体験農園、講習会等の開催をはじめ、市民の皆様に農業を身近に感じていただくと共に、農産物を通して農業者と市民の皆様の交流を深めるために開設したのが三鷹市農業公園です。この施設の運営管理は東京むさし農業協同組合に指定管理者として担っていただいています。
市内の農業者の皆様は自らの畑を提供して学校農園の活動に協力してくださっています。特に三鷹地区の農協青壮年部の皆様は、子どもたちの農業体験と食育の推進に協力されるとともに、給食の残菜を利用した「たい肥」で野菜作りをして、それを給食で食べるというエコ野菜地域循環モデル事業等に協力してくださっています。
先日、青少年対策中原地区委員会主催のキャンプファイヤーでも、三鷹産野菜を利用したカレーライス等をみんなで楽しくいただきました(写真)。三鷹産野菜で元気に夏を過ごしましょう。
第103回 平成19(2007)年8月5日公開
市長コラム「夏だからこそ」
7月に開催した「市長と語り合う会」では、PTA等の活動をされている保護者の皆様と、それぞれの活動を通じて感じていらっしゃる事柄や、子どもたちを取り巻くさまざまな課題や提案について語り合いました(写真)。日ごろ、学校に関する活動をされている皆様から、改めて家族や家庭教育の重要性について強調する意見が多く出されました。
7月1日号のコラムで紹介しましたように、市立小・中学校の児童生徒と語り合った「子どもサミット」の場でも、子どもたちから家族やおとなとのコミュニケーションの大切さが指摘されました。
夏休みは子どもたちにとって楽しみなものであり心身の成長を促す機会です。同時に、まとまった休暇はおとなにとっても有意義です。夏は、離れた家族との再会や、家族旅行、家族との食事の機会も増すと思います。どうぞ、身近であり、ついその大切さを忘れがちな家族とのコミュニケーションを豊かに持つことで、それぞれの絆を強め、おとなも子どもも心の安定を得ていただきたいと思います。
さて、7月16日に発生した新潟県中越沖地震に際して、三鷹市では支援物資を届ける為に職員を派遣し、配送の支援を行い、建築物の危険度判定員も派遣しました。市民の皆様からの義援金も寄せられています。一日も早い復興をお祈りします。
この地震の影響で東京電力柏崎刈羽原子力発電所が停止しています。猛暑が予想されますが、節電への大きなご協力をお願いします。
第104回 平成19(2007)年8月19日公開
市長コラム「ごみ減量の持つ意義」
7月末から8月初め、三鷹駅南口、井の頭公園駅南口、つつじが丘駅前駐輪場周辺で、ごみ減量等推進会議委員や市民ボランティアの皆様とご一緒に「ごみ減量キャンペーン」を実施しました。
夏になると飲料水を飲む機会が増えて、ペットボトル、びんや缶のごみも増えます。食中毒や感染症の発生防止には、公衆衛生への配慮も必要で、夏は特に「ごみ」への対応の再確認が求められます。
何よりも身近な生活スタイルを見直して、ごみを減量すること(リデュース)が必要になります。そのためには、過剰包装など、ごみになるものを断ること(リフューズ)、日用品等はすぐに捨てないで何度も使用すること(リユース)、資源になるものは資源として再生して生かすこと(リサイクル)などの取組が必要です。
今回のキャンペーン活動にも、ごみ減量等推進員の正副会長はじめ高校生ボランティアが参加してくださいました。(写真)
今年は、「三鷹市ごみ処理総合計画」の改定時期にあたり、公募市民を含む市民会議で検討中です。また、調布市と共同で、新しいごみ処理施設の整備を計画しています。長年の経過を経て平成18年3月に策定された「新ごみ処理施設整備基本計画」に基づき、ふじみ衛生組合に設置した「新ごみ処理施設整備市民検討会」のご意見をいただきながら、調布市としっかり協議を行い、実施計画の策定、環境影響評価、都市計画手続きなどを進めていきます。
どうぞ、ごみ減量について、真剣に考える夏にしてください。
第105回 平成19(2007)年9月2日公開
市長コラム「夏の文化から秋の文化へ」
8月18日(土曜日)19日(日曜日)の二日間、40周年目の節目を迎えた「三鷹阿波踊り」が開催されました。主催は三鷹阿波踊り振興会と三鷹商工会で、三鷹市は後援団体の一つです。今年は周年事業ということで、いつものJR三鷹駅南口中央通りでの各連の踊りに加えて、4月に創立された「みたか都市観光協会」の運営で、さくら通り駐車場の特設舞台で舞台踊りが行われて大変好評でした。
阿波踊り振興会の竹内喜代司会長(写真)は、長年にわたり市民の皆様主導で行われてきた「三鷹阿波踊り」を40周年を契機に、さらに三鷹の夏の風物詩として定着させたいと関係団体に呼びかけ、節目の大会を盛況のうちに終えることができました。
初日にはごみの最終処分場でお世話になっている日の出町の皆様約40名をご招待し、飛び入り連で踊っていただくとともに、「日の出町賞」の審査をしていただきました。
そして、季節は秋へと移ろいます。三鷹市内では阿波踊りや盆踊りといった夏の文化に続いて、市内各所で秋祭りや、芸術文化の活動が活発になります。
市内大沢にある中近東文化センターでは、中近東の遺跡から発見された動物の陶器等を紹介する「中近東歴史どうぶつ園・ルリカとたびのなかまたち・」の展覧会が開かれています。駅前の美術ギャラリーでは、「怪獣と美術」展が8日(土曜日)から始まります。
季節を超えて文化が溢れる三鷹を楽しんでください。
第106回 平成19(2007)年9月16日公開
市長コラム「いざという時のために日々の備えを」
一昨年の九月四日の夜から未明にかけて、市内は一時間に100ミリを超す局地的な集中豪雨に見舞われ、床上・床下・地下浸水が200戸以上も発生しました。
そのため、三鷹市では下水の雨水管増設等の都市型水害対策を、これまで以上に強化してきました。異常気象が日常化し、集中豪雨の事例が増えてきたことで、市民の皆様からは、雨音を聞くと浸水が心配で、なかなか寝付けないとの声が届いています。
今年も九月六日夜、強い台風九号が関東地方に上陸との予報に、三鷹市では、総務部、都市整備部、水道部をはじめとする職員が当日前から、雨水マスの清掃、下水や道路の監視等の予防措置に努めました。当日は警察署、消防署、消防団等関係機関との連携で臨機応変の対策をした結果、風による倒木の事例はありましたが、浸水やけが等の大きな被害は発生せずにすみました。
台風シーズンの今、まだまだ集中豪雨による被害の発生が予想されます。七月一日に実施した総合水防訓練では、土のうに加えて、身近にある18リットルのプラスチック容器やビニール袋に水を入れて作る「水のう」づくりを実習しました。また、地下室や半地下室には水が浸水しやすいので、止水板や排水ポンプの整備、あらかじめの土のう等による浸水防止策が有効であることも確認しました。
一人ひとりが日々、いざというときの備えに努めることで、水害をご一緒に防いでいきましょう。
第107回 平成19(2007)年10月7日公開
市長コラム「身近な商工業の大切さ」
子どもから長寿の方まで、身近な商店の存在は、日常生活の場である地域にとって欠かせないものであり、地域の工業の活躍は活力の源泉です。けれども、厳しい経済環境の中で、商工業を経営することは決して楽ではありません。
三鷹市では、今年の3月の市議会定例会に「三鷹市商店街の活性化及び商店街を中心としたまちづくりの推進に関する条例」を提案し、全会一致で議決され、3月30日から施行しています。この条例に基づき、市は商工会や商店会連合会と連携しながら、商店会未加入店の加入促進や空き店舗対策に積極的に取り組むとともに、全市的な一斉セールやイベント事業に助成を拡充してきています。
さて、9月29・30日には、三鷹市役所周辺で「第30回みたか商工まつり」が開催されました。これは毎年三鷹商工会が主催し、三鷹市が後援している事業で、公会堂ではチャリティ寄席、カラオケ音楽祭が開かれ、中庭の舞台では太鼓や歌などが演じられ、協賛団体を含む模擬店やものづくりコーナーなど多彩な催しがなされました。
商工会女性部の皆様も恒例の「焼き団子」やチャリティバザーで参加されて、地元の商工会を市民の皆様により一層身近に感じていただく努力をされていました(写真)。
少子長寿社会を地域で安心して過ごすために、市民の皆様には身近な商工業を大切にしていただきたいとお願いします。
第108回 平成19(2007)年10月14日公開
第3次基本計画(第2次改定)骨格案特集号
三鷹市では、約10年を見通した長期計画である「基本計画」を策定し、それに基づいた着実な市政運営を進めてきています。そして、現在、市では平成13年11月に策定した「第3次三鷹市基本計画」の第2次改定作業をすすめており、今回は、新たに取り組む課題や、変更点を示した骨格案をとりまとめました。
改定にあたっては、計画目標年次を平成22年度(2010年)とし、全面的な改定ではなく、時点修正的な改定を基本とします。
しかしながら、第1次改定から3年が経過する中で、日々変化する社会経済状況や国等の制度改正への対応など緊急性を要する課題も生じており、市民の皆様との協働を前提に、より三鷹らしい施策の展開を図る計画にしていきたいと思っています。
そこで、最重点・重点プロジェクトについて見直しを行い、環境保全や経済性に配慮した都市構造・都市空間の修復と更新を行う「都市の更新・再生」を新規に加えるとともに、「いつでも、どこでも、誰でも」が情報通信技術の活用による恩恵を受けることができるまちづくりを目指した「ユビキタス・コミュニティ」の実現へ向けての具体的な施策をお示ししています。
この改定はまた、平成18年4月の三鷹市自治基本条例施行後の、新たな自治と分権推進体制のもとでの最初の計画改定となります。自治基本条例で制度化したパブリック・コメントの実施、既にある様々な市民会議・審議会での審議、無作為抽出による市民討議会「まちづくりディスカッション」の開催など、幅広く多様な市民の皆様による参加の充実に取り組み、そのご意見を計画改定に大いに反映していきたいと考えています。
本特集号も全戸配布し、一人でも多くの皆様にお読みいただいて、多くのご意見をお寄せいただきたいと願っています。皆様のご意見を心よりお待ちしております。
第109回 平成19(2007)年10月21日公開
市長コラム「目標都市1位」に選ばれて
この秋、さまざまな事業で、私も市の職員も、市民の皆様との出逢いと協働の体験を重ねています。
同時にこの時期は、市役所の仕事として、今年度前半の市政の取り組みを評価し、進行状況を確認するとともに、来年度の予算編成に向けて市長・副市長・教育長と各部の部課長による政策会議を重ねる時期でもあります(写真)。
未だ厳しい経済財政状況のもと、毎年のように国の税制や医療・福祉・保健制度等の変更も続く中、自治体としては市民本位の健全な経営が強く求められています。
そこで、市役所職員には経常経費の削減をはかりつつ、安全安心、子ども子育て支援、健康長寿、都市の再生・再構築等の重要な課題に取り組んでいく気概と創意工夫の努力が一層求められています。
さて、9月に発行された『都市データパック2007年版』(東洋経済新報社)によると、全国805の市区を対象にした調査で、「まちづくりを進める上で注目し目標とする都市」をたずねたところ、三鷹市は「目標都市第1位」となりました。回答した市の2割近くが三鷹市と回答し、2位は横浜市、3位が太田市ということです。自治体関係者から目標都市として注目されることは大変光栄なことと思います。
私は、職員が活躍する風土をさらに磨きたいと思います。
第110回 平成19(2007)年11月4日公開
市長コラム「『赤とんぼ』に魅せられて」
「秋の日はつるべ落とし」と言われるように、日が短くなるこのころは、一日を惜しむかのように夕焼けが美しさを増しています。
三鷹市では、毎日夕方5時に、防災無線で「夕焼け小焼けの赤とんぼ」と、童謡「赤とんぼ」のメロディを放送しています。
「好きな童謡」調査等でいつも上位に選ばれる童謡「赤とんぼ」の歌詞を書いた三木露風は、象徴詩で北原白秋と並び称され、1928年から亡くなるまでの36年間、三鷹市牟礼に住み多くの作品を残しました。
JR三鷹駅前南口中央通りには「赤とんぼ」の詩碑があり、毎日通勤・通学や買い物などで往来する皆様を見守っています(写真)。
11月10日から23日まで、三鷹市芸術文化センターの展示室で「三木露風展・三鷹で暮らした『赤とんぼ』の詩人」を開催します。ご子息の三木豊晴氏はじめご遺族から寄贈いただいた、三鷹に住んだ36年間に書いた多数の詩稿やノートなど、未刊資料を公開します。市民の皆様に、三木露風をより身近に感じていただき、詩の息吹とともに感動を味わっていただければと思います。
市では山本有三記念館でも、9月末から「生誕120年記念展」を開催し、同じくご遺族から寄贈された貴重な遺品を展示し、文学の功績を回顧しています。
文化の秋、こうした企画展を通じて三鷹市ゆかりの文学者に改めて出逢っていただき、心豊かな時を過ごしてくだされば幸いです。
第111回 平成19(2007)年11月18日公開
市長コラム 開園90周年を迎えた井の頭公園
市民の皆様に親しまれている都立井の頭恩賜公園は、今年で開園90周年を迎えています。10年後には百周年を迎えるということで、三鷹市と武蔵野市の両市長が顧問となり、東京都西部公園緑地事務所を事務局として「井の頭恩賜公園100年実行委員会」が組織されています。
11月4日には、この実行委員会が主催して「井の頭アートピクニック2007」が開かれ、日ごろ井の頭公園内で演奏や芸術作品の展示・販売をしている、いわゆる「アートキャスト」45組とゲストによる多彩なイベントが実施されました。10月には公園西園で開催された三鷹市国際交流協会主催「国際交流フェスティバル」に4万人近くの皆様が集いました。
さて、11月6日には三鷹消防署の開署40周年記念「防火のつどい」が開催されました。ゲストには井の頭公園内でライブ活動を続け、歌唱力が注目されている歌手のあさみちゆきさんが出演され、「公園での応援が力です」というお話を伺うことができました(写真)。
井の頭公園では、四季を通じて、散歩する人、絵を描く人、写真を撮る人、音楽等のパフォーマンスをする人、通勤、通学で園内を通りぬける人と出会います。
私自身も、井の頭公園のそばで生まれ育ち、公園で家族や友達と過ごした思い出がたくさんあります。これからも、市民の皆様に身近な公園として、大切にしていきたいと思います。
第112回 平成19(2007)年12月2日公開
市長コラム「共に生き、生かされる地域社会を」
「障害者基本法」では、12月3日から9日を「障害者週間」と定め、障がいのある人もない人も自立しつつ共生する社会のあり方について考える期間としています。
三鷹市では、11月27日、「三鷹市障がい者地域自立支援協議会」が発足しました(写真)。 これは、今年の3月に策定した「障がい福祉計画」のビジョンである「だれもが住み慣れた地域で安心して暮らしていけるまち」「だれもが地域社会の中で個性を生かしつつ、社会の構成員として自立して生活できるまち」の実現のために、市民の参画・協働に基づく医療・保健・福祉・教育・就労等関係機関のネットワークの構築をはかる組織です。
公募市民、障がい者、障がい者の家族や支援団体、事業者、医師会等の関係機関、学識経験者の40人で構成される組織です。
私は委員の自己紹介を聞いて、だれもが共に生き、生かされるには地域社会の力が必要であり、それを創り上げていくためには協議会の委員による情報共有や具体的な事業での連携、協働が不可欠であることを痛感しました。
12月16日(日曜日)午後には、三鷹市心のバリアフリー推進事業として「高めよう地域のチカラと災害への意識」を、三鷹市産業プラザで開催します。
平時も災害時も「地域で安心して暮らす」ためには、日々の出会いと共通体験を重ねることによる「信頼の絆」が必要だと
第113回 平成19(2007)年12月16日公開
市長コラム「みたか・子どもと絵本プロジェクト」
私は20代前半、当時の三鷹市が「第一次基本計画」を策定する際、市民会議の学生代表委員に指名されました。当時三鷹市は、私のような若い市民の参加も実現する「計画づくりの市民参加」の先進市として注目を集めました。
さて、それから30年余りの時が過ぎました。昨年、三鷹市では「絵本館構想検討会議」から提案された「みたか・子どもと絵本プロジェクト」を推進することとしました。そのプロジェクトの一環として「神沢利子展」の実行委員を募ったところ、幼児・小学生から70代までの約200人の市民の皆様が参加してくださり、今回の「トコトン!神沢利子展~いのちの水があふれだす~」が12月8日から開催されています。
この展覧会は、言うまでもなく「くまの子ウーフ」などで著名な市内在住の絵本と児童文学の作家である神沢利子さんの大きな協力により実現しました。また、画家の皆様のご理解による多数の絵本の原画や、実行委員によって創られた「神沢利子の世界」をイメージした大きなジオラマをはじめ、観る者の心と想像力を豊かにする企画展示がいっぱいです。
1月13日まで開かれる展覧会で、市民実行委員の皆様による、一つひとつが手作りの心おどる展示をぜひお楽しみください。
第114回 平成20(2008)年1月1日公開
市長コラム「今こそ、心新たに、『高環境・高福祉』のまちづくりを
新年を迎え、皆様のご健勝とご多幸を心からお祈り致します。
今、日本は世界有数の経済大国と位置づけられているにもかかわらず、若い世代を含む失業者の増大や所得格差、国の社会保障制度改革の影響等に対する人々の不安は拡大してきています。
私たちが多くの課題に直面している今、市制施行後58年目の新春を迎えている三鷹市が当初から掲げてきたのは、「高環境・高福祉のまちづくり」による「人間のあすへのまち」を目指すことです。どんなに社会が変化しようと、三鷹市は、市民本位の立場で高環境・高福祉のバランスをはかるような自治体経営をしてきました。
さて、先月、日経新聞が公表した環境・経済・暮らしのバランスのとれた持続可能な都市(サステナブル都市)のランキングで、三鷹市は全国の市区で第1位となりました。
環境では、「緑と水の公園都市」をめざしつつ、「環境基金」を創設し、省エネや新エネルギー利用の促進を奨励し、庁内でも環境管理の国際的認証ISO14001の認証を取得し、環境と財政を両立させる業務改善に力を入れてきました。
福祉では、国が医療・保健・福祉の制度改革を急速に進める中、独自のセーフティーネットをはかりつつ、少子長寿社会に対応したきめ細かい事業を実践してきました。
今こそ、心新たに、「高環境・高福祉」のまちづくりを皆様とご一緒に進めて行きたいと思います。
第115回 平成20(2008)年1月20日公開
市長コラム「フェアプレイこそファインプレイ、チームワークこそ勝利への道」
2007年12月30日午後、国立競技場では第86回全国高校サッカー選手権大会開会式が挙行され、東京Bブロック代表として出場した都立三鷹高校は式直後の開幕戦に臨みました。そして、熱戦の末、都立高校として56年ぶりの初戦勝利を果たしました。その後、2008年1月2日の第2戦、3日の第3戦にも勝利し、みごとに都立高校として初のベスト8に進出したのです。
1月5日には善戦ながら、今大会で準優勝した藤枝東高校に敗れましたが、さわやかなフェアプレイとファインプレイに加えて、小さなチャンスを逃さないチームワークで、応援するすべての人々に大きな感動をもたらしました。
都立三鷹高校は、1948年に三鷹町立高校として認可を受け、50年には市制施行と共に市立高校となり、その後55年から都に移管されたので、三鷹市との深い縁があります。
2005年秋に都大会で準優勝した際に、私がサッカー部を訪ねた際、土肥校長、山下監督はなるべく早く都大会で優勝して選手を全国大会に行かせたいと話されていました。その時の1年生が、今回は3年生として立派にベスト8進出の牽引役を果たしてくれました。
三鷹高校サッカー部のすがすがしい活躍は、一人ひとりの個性が生かされつつ、総合力で課題を解決する三鷹市の「協働のまちづくり」に通じていると感じました。
第116回 平成20(2008)年2月3日公開
市長コラム「言葉の息吹 短歌の力」
今年は、三鷹市ゆかりの作家太宰治没後60年に当たります。
三鷹市は筑摩書房と協働して太宰治文学賞を復活し、1月末には、この賞にちなんだ「文学講演会」で、賞の選考委員である文芸評論家の加藤典洋さんが『太宰治の戦後』と題する講演をしてくださいました。
さて、加藤さんは、かつて『この時代の生き方』という論文で、三鷹市在住の歌人である故 宮 柊二さんが、幹部候補生の志願の誘いを拒み、一兵卒として戦争に行った中国での体験を短歌に表したことを評論されていましたが、私は3年前に妻である宮 英子さんを米寿のお祝いに訪ねていました。
そして、まもなく91歳を迎える現在も、月刊歌誌「コスモス」を発行し続けている宮さんが、今年の1月16日に開かれた「火」をお題とする「宮中歌会始の儀」で「召人」を務められたお祝いで先日再会しました。
歌会始では、富山県出身の宮さんが若き日を思い出しながら詠んだ、
「栲領巾(たくひれ)のましろき尉をまとひたる囲炉裏火ぬくし夜のほどろを」
という歌が読み上げられました。これは、暖かく燃えているいろり火の炭に、いつしか白い灰(尉)がまとわりついて、次第に夜が更けていく情景を詠んだものということです。
人間が生きるところに必ず「火」があり、その火が人間の存在や交流や信頼の象徴ともなります。言葉の息吹、短歌の力を感じた年の初めでした。
第117回 平成20(2008)年2月17日公開
市長コラム「安全安心」の重さ
昨年三鷹市内で発生した1年間の刑法犯罪認知件数は、2,166件と一昨年に比べて125件減少し、平成に入って最少となったと、先月、大窪雅彦三鷹警察署長から伺いました。
私は平成16年度に安全安心課を新設し、職員によるものに加えて、市民の皆様に呼びかけて「安全安心・市民協働パトロール」を実施してきました。現在、町会・自治会等の29団体約980人と事業者等の18団体約350人の皆様が講習会に参加して、徒歩や自転車、525台のボディパネル装着の自動車によるパトロールを実施してくださっています。
三鷹警察署の活躍と共に、市民の皆様による草の根の地域の見守りが、刑法犯罪を減らしていることを、私は心から誇りに思います。
さて、2月10日(日曜日)の「第16回三鷹市民駅伝大会」は雪のため中止としました。前夜からの降雪で、当日は走路及び沿道は積雪や凍結によって路面が不安定な状況となっていました。大会会長である私は、関係者との協議を経て、選手の皆様や応援してくださる皆様の安全を考えることが最優先と判断し、午前6時に「中止」を決定しました。
約200のチームや招待チーム(姉妹町の福島県矢吹町)の選手の皆様や、実行委員会の皆様のこれまでのご努力やお気持ちを思うと、残念な気持ちでいっぱいで、本当に苦渋の決断でしたが、このようにして守られる「安全安心」もあるのだと改めて感じました。
第118回 平成20(2008)年3月2日公開
「輝くまち三鷹」を目指して「未来への投資」を
平成20年度予算案 一般会計 578億5,000万円
平成20年度の市の予算案が、2月28日から始まった市議会定例会で審議されています。
新年度の予算案は、「未来への投資」として、(1)「都市再生に向けたビジョン」の明確化と「ファシリティ・マネジメントの推進」、(2)地域や組織の財産である「人・財・」の育成と「人間力」を育む取り組みの推進、(3)すべての世代の市民が安心して、快適・健康に生活できる仕組みの確立、の3点を基本に据えて編成しました。
三鷹市は引き続き、「高環境・高福祉のまちづくり」による、「人間のあすへのまち」の実現に向けた取り組みを進めていきます。
新年度の施政方針(概要)
現在、日本は時代の転換期を迎え、多くの課題に直面しています。景気回復が続いていると言われるものの、身近な商品やサービスの相次ぐ値上げは市民生活に大きな影響を及ぼしています。また、政府の「構造改革」などの推進は、国・地方の政府間関係や行財政制度、社会保障制度に大きな変化をもたらしています。
三鷹市も、今、まさに大きな岐路に立っています。人口構造の変化から、少子長寿化に対応した保健・医療・福祉などのサービスの整備や、未来を担う子どもたちに向けた教育改革が求められています。また、高度成長期に整備した公共施設の改修や建て替えの時期が到来しつつあり、その更新が大きな課題となっています。
こうした社会制度の「大転換期」と、社会資本・都市施設の「大更新時代」を同時に迎えた今、時代の要請を真摯(しんし)に受け止めつつ、都市の快適な環境と活力を維持し、安全安心で暮らしやすい地域社会を実現していくことが、市政の基本的な課題です。
そこで、私は、本年度を、安全に、安心して、いきいきと暮らせる「輝くまち三鷹」を「高環境・高福祉のまちづくり」によって継続的に創造していくことを目指して、「未来への投資」を本格的にスタートする年と位置づけました。三鷹市が、皆様にとってのセーフティーネットの機能を果たすとともに、共に支えあう地域社会を実現し、直面する地域課題を解決するよう取り組んでいきます。同時に、未来に向けて希望を持って暮らしていける、確かな三鷹の「まちのかたち」を提示し、その実現のための取り組みを進めます。
こうしたことから、本年度は、「未来への投資」として次の3つの取り組みを基本に据え、「選択と集中」による経営資源の重点化を図ることとしました。
1 「都市再生に向けたビジョン」の明確化と「ファシリティ・マネジメントの推進」
公共施設の計画的な維持・保全を行うファシリティ・マネジメントに関しては、「都市の更新・再生プロジェクト」を「第3次基本計画(第2次改定)」の最重点プロジェクトに追加しました。また、新たに、公共施設の一元管理を行う「公共施設課」の設置に向けた組織条例の改正を、市議会に提案しています。
本年度の具体的な事業としては、中央保育園・母子生活支援施設三鷹寮と東台小学校の建て替えを行います。また、学校の耐震補強工事の推進や新ごみ処理施設の整備に向けた準備、上下水道や橋梁(きょうりょう)などのライフラインの耐震化や更新などにも取り組みます。
さらに、「都市再生に向けたビジョン」として、公共施設の利活用や再配置などに関する方針を策定します。
2 「人財」の育成と「人間力」を育む取り組みの推進
「未来への投資」は、今の私たちにとって暮らしやすいまちを創るだけではなく、次の時代を担う子どもや孫たちの世代への「投資」でもあります。
本年度は、こじか保育園の開設や、七小学童保育所の建て替えを進めます。また、新たに、「連雀学園」「東三鷹学園」「おおさわ学園」の3つの小・中一貫教育校を開園します。さらに、子どもたちが健やかに育つ環境を創るための指針として、「子ども・子育てビジョン(仮称)」の策定に取り組むとともに、「三鷹子ども憲章(仮称)」の市議会への提案を目指します。
このほか、いわゆる団塊の世代の地域回帰が顕著になることが想定されることから、三鷹ネットワーク大学や市民協働センターなどでの事業や活動の連携と充実により、さまざまな地域活動を通じた市民の自己実現の機会の提供に努めます。
3 すべての世代の市民が安心して、快適・健康に生活できる仕組みの確立
勤労者や高齢者世代が、将来にわたって、安心して快適・健康に生活し続けることができる「高環境・高福祉」のまちづくりを進めます。
本年度は、医療制度改革に伴う「特定健康診査」と「特定保健指導」の実施体制の確立を図るとともに、「後期高齢者医療制度」の取り組みも進めます。さらに、介護予防事業や地域ケア事業の拡充のほか、制度改正に伴う課題についての国や東京都への問題提起など、基礎自治体としてできる限りのセーフティーネットの機能を果たす取り組みを進めます。
以上のような3つの「未来への投資」の取り組みは、「第3次基本計画(第2次改定)」によって総合的かつ着実に推進していきます。また、この第2次改定は、第3次基本計画の最終段階の取り組みであることから、計画目標全体の達成にも力を尽くしていきます。
私は、昨年の市長選挙で皆様から引き続き信任をいただき、市長として「2期目の2年目」を迎えますが、心も新たに、誠心誠意、全力で、市政運営に取り組んでいく決意です。
第119回 平成20(2008)年3月16日公開
子どもたちの柔軟性に教えられ
少子化の進行が言われて久しいのですが、春の気配が強まると共に、市内の児童遊園や公園には子どもたちの声が増えてきて、三鷹市では本当に少子化傾向があるのかと思いたくなるようなこの頃です。
今年度、市民の皆様の声を反映しつつ改定作業を進めてきた「第3次三鷹市基本計画(第2次改定)」では、7つの最重点プロジェクトに、引き続き「健やかに育ち笑顔がきらめく、子ども・子育て支援プロジェクト」を含めています。
平成16年12月にまとめた「次世代育成支援行動計画2010」の達成に向け、私は毎年のように保育園を新設し、定員を増やし、一時保育やひろば事業など在宅子育て家庭に向けた支援策も拡充してきました。けれども、「待機児童数」は減ってはいません。日本では「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」が、十分に図られていないことも要因の一つと考えられます。
さて、2月20日に三鷹市立西野保育園の建て替えが終わり竣工記念式を行いました(写真)。園児たちは仮園舎での10カ月余りを経て、2月末からは新園舎での毎日が始まりました。1年間に環境が2度も変わるにも関わらず、新しい保育園に移ることを楽しみにしていてくれた園児たちも、そろそろ新園舎に通いなれる頃でしょうか。
たくましい子どもたちの柔軟性におとなたちはいつも教えられます。時間は前に進んでいること、そして、環境を生かして生きていくのは、私たち自身であることを。