2学期を迎えて、読み聞かせのボランティアも新学期を迎えました
- 2024/09/15
- 読み聞かせ, ヨシタケシンスケ, このあとどうしちゃおう
9月に入り、鷹南学園三鷹市立東台小学校を訪ねて、2学期に入って、初めての読み聞かせボランティアをしました。
向かったのは5年生のある学級です。
選書したのは、ヨシタケシンスケ作『このあと どうしちゃおう』(ブロンズ新社)です。
この絵本の語り手は、最近おじいちゃんが亡くなった少年です。
彼はある日、おじいちゃんの部屋で一冊のノートを見つけます。
そのノートには【このあとどうしちゃおう】とおじいちゃんが考えたいろいろな内容がおじいちゃんの描いた絵と文字で書かれています。
たとえば、自分が将来死んでしまったら、行きたいのはどんな天国なのか、生まれ変わりたいのはどんなものか、天国に行く時の服装や持ち物は何がいいのか、みんなにどうしてほしいのか、などが書いてありました。
おじいちゃんは、生まれ変わるならピザ屋さんもいいな、クラゲもいいな、などなどと思い描き、天国にいてほしいのは、悩みを何でも聞いてくれるような神様がいいな、などと期待しています。
それを読んで、男の子は「ぼくも天国に行くのが楽しみになってきた!」と受け止めつつ、ふと、考えます。
そして、お父さんに尋ねます。
「おじいちゃんは、本当に死ぬのが楽しみだったんだろうか?」と。
お父さんは、それはおじいちゃんじゃないとわからないねと答えますが、少年は気づきます。
「もしかしたら、逆だったのかもしれない」と。
そこで、少年は、生きている間にしたいことを書き出そうと考えます。
最後の場面は、とりあえず、天国で空を飛べるように、練習を始めるのです。
5年生のこどもたちは、本当に真剣に聴いてくれました。
10歳、11歳のこどもたちにとって、【死】も、【天国】も、【生まれ変わること】も、普通には考えるテーマではないかもしれません。
読後の感想を聴くと、すぐにはことばでは表すことができない様子でした。
けれども、だからこそ、こどもたちは、新鮮な気持ちで聴いてくれたのかもしれません。
そして、おじいさんの絵と内容は面白かった、この絵本で、今まで考えていなかったことを考えてみた、という感想がありました。
絵本の読み聞かせを通じて、こどもたちに、【考えてみなかったことを考えること】【何だか変な気持ちになること】【すぐに感想が言えないような戸惑いを感じること】【今、自分が生きていることに気づくこと】、そんな時間を提供できたのではないかと思える始業前のひとときでした。