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鷹南学園三鷹市立東台小学校の学校公開にみる【個別最適な学習】と【協働型学習】

鷹南学園三鷹市立東台小学校の学校公開にみる【個別最適な学習】と【協働型学習】

私は2003年に三鷹市長に就任する前は、東京工科大学メディア学部の学部長・教授に至るまで、大学教員をしており、主として情報社会について国民・市民起点から研究をしていました。
そこで、日本政治学会、日本社会学会、日本マスコミュニケーション学会、日本情報通信学会のほか、日本教育学会、日本教育社会学会、日本社会教育学会、日本生涯教育学会等教育に関する学会に所属していました。

私は市長に就任した直後から、教育委員会と連携して、【コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育】の実施に向けて取組みを進めました。
そして、2006年に、【コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育】のモデルとして、三鷹市立第二中学校・第二小学校・井口小学校によって構成される【にしみたか学園】の取組みを開始し、その後、7つの中学校区全てに7つの学園が開設されました。
それと同時に2006年4月に【参加と協働のまちづくり】の基本となる『三鷹市自治基本条例』を策定し、第33条に【学校と地域との連携協力】について規定しました。
その条文には、「教育委員会は、地域と連携協力し、保護者、地域住民等の学校運営への参加を積極的に進めることにより、地域の力を活かし、創意工夫と特色ある学校づくりを行うものとする」ことと、「教育委員会は、地域及び市長と連携協力し、学校を核としたコミュニティづくりを進めるものとする」ことが規定されています。
まさに、【コミュニティ・スクール】と【スクール・コミュニティ】について規定したのです。

当時、三鷹市は、小学校・中学校の建物を統合するのではなく、それぞれの学校の建物はそのままに、カリキュラムの一貫性と諸活動の連携を中核とした【小中一貫教育】を、有識者、保護者や多様な市民の参画による学校運営協議会である【コミュニティ・スクール委員会】の活動を中心に推進しています。
そうした研究経験と市長としての行政経験を期待されたのだと認識していますが、私は三鷹市長在任中から【文部科学省中央教育審議会】委員をつとめさせていただいています。

そこで、可能な限り、学校教育や社会教育、生涯学習の現場を訪問するように努めていますが、9月末の土曜日の午前中、身近な小学校である鷹南学園三鷹市立東台小学校の【学校公開】に参加しました。
そして、同居している孫の小学校3年生の男子と、5年生の女子のクラスを参観しました。
小学校5年生の国語の授業では【方言】が課題でした。
教員の各地の興味深い【方言】についてのクイズに答えることから開始され、関心を喚起された児童が、今度はタブレットの方言索引を活用して、自分で都道府県の中から一つを選び、クイズを作成するように課題が与えられました。
タブレットでの情報検索がうまくいかない児童にはできる児童が支援し、クイズができると隣同士でクイズをしあうなど、教員の指導に注目する時間、自学する時間、級友と協働する時間がシームレスに展開しながら、総合的に【方言】への関心と発見が高まり、共有が深まる様子をみることができました。

次の5年生から始まった英語の授業では、専科の教員が、アルファベットの順にそれを頭文字で始まる単語を学べる歌を流すことからスタートして、児童が順に前に出てジェスチャーをするとそれを表現する英語を児童が答えます。
たとえば、【play soccer】【do judo】などです。
国語の授業も英語の授業も整然と、静粛のうちに展開していましたが、遠慮ガチであれ、こどもたちが自主的に手を挙げ、前に出て発言する姿に、おそらくは普段は、もう少しこどもたちが大きな声を出しているであろうことが伺えました。

3年生の【学活】の授業では、先日、三鷹市内の大沢の水車や三鷹市立アニメーション美術館【三鷹の森ジブリ美術館】を遠足で訪問した経験を踏まえて、4つのグループに分かれて【大沢水車とジブリに関するクイズ大会】が展開していました。
担任教員によると、予行演習の際に、クイズの問題の重複や時間超過の事態になった際、こどもたちが自発的に問題を調整して、それぞれ問題を減らしたり譲り合ったりしたそうです。
そして、大沢水車とジブリに関する「〇×問題」には、参観していた保護者も床に書いた「〇×」に移動して回答に参加するという形式でしたので、こどもと保護者達の交流が素敵でした。

国語の授業は、あまん・きみこさんの『ちいちゃんのかげおくり』という戦争中のことを描いた作品について、段落を分けて、それぞれの段落における「主人公の失ったもの」を読み取る授業でした。
こどもたちは、まさに、想像力を豊かにしながら、戦時中、主人公が失った、「出征したお父さん」「穏やかな遊び場・思い出の地」「平和な青空」「別れてしまった父親以外の家族」「自分自身の命」など、文章をしっかりと読み取りながら答えていきます。
先の大戦から79年の今、令和のこどもたちにとって、戦争について知ること、考えることが、国語の教科書の文章を読み取ることによって、豊かに深まる様子を受け止めました。

この日の学校公開を通して、私は、令和の【個別最適な学習】と【協働型学習】を現場で進めようと努めている教員の努力に出会いました。
そして、多くの保護者が参観する中、過剰に意識することなく、清々しく、タブレットを適時に活用しながら、集中して授業に臨むこどもたちの姿を頼もしく思いました。
こどもたちの吸収力と順応性、高まる知的好奇心のエネルギーを感じて、こちらもエネルギーの高まる想いを共有しました。

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