全国都市問題会議開会式に主催者の1つである(公財)日本都市センター理事として出席しました
10月17日、姫路市のアクリエひめじにおいて開催された【第86回全国都市問題会議】に参加しました。
この会議は、全国市長会、(公財)後藤・安田記念東京都市研究所、(公財)日本都市センター及び姫路市が共催して毎年開催されているものですが、数年前にアクリエひめじ乃こけら落としの事業の1つとして開催予定だったところ、コロナ禍で中止となり、改めて姫路市で開催されたものです。
全国の市長・市議会議長・議員、市役所幹部の約1,700名の参加者を得て盛況のうちに開催されました。
私は今回、(公財)日本都市センターの理事として、理事長の大西秀人・高松市長の代理のお役をいただき、主催三団体の1人として開会式に登壇することになりました。
その日の朝、楽屋に到着すると、主催団体の1つである後藤・安田記念東京都市研究所の小早川光郎理事長とお目にかかりました。私は当財団の評議員を務めています。
そして、同じく主催団体の全国市長会の会長の松井一實・広島市長、稲山博司事務総長に加えて、前会長で現在顧問の立谷秀清相馬市長とも再会できました。
私は、立谷会長のもとで子ども子育て担当副会長を務めたこともあり、大変に親しくさせていただいています。
加えて、松井会長は、私が三鷹市長在任中に、世界平和市長会のご縁で「被ばく樹木アオギリの幼木」を分けていただくことになった際、わざわざ三鷹市を訪問してくださり「仙川平和公園」でご一緒に植樹をしていただいたご縁があります。
そこで、皆さんと歓談ののちにはご一緒に記念写真を撮りました。
9時30分を迎えて開会式に登壇しました。
そして、主催三団体を代表して、全国市長会の松井会長が開会のあいさつをされました。
今回の会議のテーマは「健康づくりとまちづくり~市民の一生に寄り添う都市政策~」です。
まずは生物学者で青山学院大学教授の福岡伸一先生から「生命を捉えなおす―動的平衡の視点から―」と題した基調講演を拝聴しました。
サントリー学芸賞や新書大賞を受賞した『生物と無生物のあいだ』(2007年)で知られる福岡先生は、生命について述べる際に【動的平衡】概念を用います。
生物学者ルドルフ・シェーンハイマーの研究によれば、ねずみに識別可能な実験用の食物を与えた際、ねずみの体重は変化しなかったものの、食物のアミノ酸がねずみの体内に散らばっていたとのことであり、食べ物が燃やされエネルギーとなり、燃えかすが排出される、というのではなく、「食べ物そのものが体になっていた」ということです。
【動的平衡】とは、「分解と合成」の絶え間ない均衡であり、「代替・柔軟・可変・回復・修復」を繰り返すと語ります。
すなわち、生物はエントロピー(乱雑・無秩序・混乱・老朽化)の増大に抗しているというのです。
そのことが、実は「壊すことで作り変える」都市づくり・まちづくりに通じるのではないかと呼びかけます。
動的平衡は新陳代謝ではなく、壊されることを想定して作られているのであり、先回りして壊しやすくすることで、再生されていくこともあると。
生命の有限性、死はむしろ利他的でさえあると語り掛けます。
基調講演を受けて、開催市の清元秀泰・姫路市長が「市民の『LIFE』(命・くらし・一生)を守り支える姫路の健康づくりとまちづくり」と題して主報告をされました。
清元市長は、姫路城を守る市であり、中核市として、「ウオーカブルでウエルネスのまちづくり」を紹介されました。安心して歩けるまちづくりは、探索・出会い・滞留・交流を促す、「動的平衡」のまちづくりでもあると受け止めました。
午後は、筑波大学システム情報系教授の谷口守先生が「生き物から学ぶ健康なまちづくり」を話されることで、さらに「動的平衡」の概念は共有されます。
さらに井崎義治・流山市長が「都市そのものを健康にするまちづくり~ストレスを軽減し、リフレッシュできるまちへ~」、兵庫県立大学副学長の畑豊氏が「IT/AIの健康分野への適用例~姫路市の健診データ解析と歌唱による誤嚥予防~」と題する一般報告をされて、具体的な事例を共有することができました。
特に井崎市長は、急激な少子化とつくばエクスプレスに関わる沿線区画整理事業を二つの危機と受け止めつつ、それを強みに代えて、こども子育て支援とグリーンチェーン戦略を中心にポジティブなまちづくりの推進により、定住人口も交流人口も増加させました。
印象的なことは、最後に、「流山市では三鷹市の市民アンケート調査に含まれていた【行政を信頼していますか?】という項目を加えて、その【信頼度】を確かに向上させている」と紹介されたことです。
この調査項目を含めていた前三鷹市長として光栄の極みです。
会場では、三鷹市の姉妹都市であるたつの市の山本実市長とも再会できました。
東京都市長会会長の渡部尚東村山市長、前会長の石坂丈一町田市長、髙橋勝浩稲城市長はじめ多くの市長さんとの再会の機会でもあった【第86回全国都市問題会議】は、まさに、人と人との出会いのありがたさと妙味を痛感する機会でした。
感謝します。