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三鷹ろうなん防災委員会主催【聴覚障障がい者:防災イベント体験】に参加

三鷹ろうなん防災委員会主催【聴覚障障がい者:防災イベント体験】に参加

11⽉30⽇(⼟)夕方に、元気創造プラザ福祉センター開催された【三鷹ろうなん防災委員会】主催の【聴覚障障がい者:防災イベント体験】に参加しました。
数か月前のある日、電車内で【三鷹市聴覚障がい者協会】会長で、【三鷹市のきこえない人の災害時の体制づくり委員会】委員長の高橋みゆきさんから、突然肩をたたいて挨拶されました。
かねてお目にかかったことがあるので、すぐに髙橋さんとわかりました。私は手話を読むことはできませんが、高橋さんが「今度ある事業をするので、ご案内します」と言われていることは理解できました。
そして、その後、【聴覚障がい者:防災イベント体験】のご案内をいただいて、参加したのです。

実は、私は三鷹市長就任前の大学教員時代に、【情報バリアフリー】について研究していました。たとえば、高齢者・障がい者にとって情報通信機器を使いやすいものとすることによって、種々の障がいを克服できる可能性を探求していました。
全国障害者協議会の「情報保障委員会」の委員長をお引き受けして、ろうあ連盟や中途失聴者協会の委員の皆様をはじめとする多様な障がい種別選出の委員とご一緒に【情報保障】について検討しました。

また、総務省「次世代字幕放送研究会」の委員長をつとめ、「情報バリアフリーを担う『字幕放送』で映像を楽しむ環境づくりを」と題する論文を『映像情報メディア学会誌:映像情報メディア』に寄稿し、「字幕放送の意義と拡充計画実施における課題」を『月刊民放』に寄稿したことがあります。
三鷹市長在任中は、そうした調査研究の経験があったことから、内閣府の「障害者政策委員会」及び「障がい者制度改革推進会議」、厚生労働省「社会保障審議会」障害者部会などで、障がい者の制度改革と最適な実施を目指した活動に参画しました。

同時に、三鷹市の障がい者の皆様とは、審議会の委員をお願いしたり、それぞれの皆様のお取組みの場を訪問し、対話をしてきました。
そこで、特に【防災】に焦点を当てた今回の取組みに注目しました。
当日は、大学教員、住民協議会や自主防災組織等の市民活動をされている方、都議会議員、市議会議員など12,3名の参加者を2つのグループに分けて活動しました。
自己紹介をしないまま体験を開始しましたので、全てのプログラムが終わって、初めて参加者のプロフィールを知る方がほとんどでした。
プログラムでは、聴覚障がい者にとって災害時の困難について展示と動画で学ぶとともに、実際に、耳栓とヘッドフォンを装着して、ほぼきこえない状況で、別の部屋に設置された災害用のテントで避難所体験をしました。

夜の避難所を想定して、実際に設置されたテントに⼊って、以下の3つのことを経験しました。
それぞれの経験は電気を消した暗い中で行い、スマートフォンを携帯しないで経験することとしました。
●ミッション.1:避難⽣活3⽇⽬で、ようやく居住スペースが決まりました。居住スペースはパーテーションで区割りされています。 ⾝の回りを整えてください。
・体験の⽬的:周囲の状況を⾳で判断するのが難しいことを体験する。
「⽑布が届きました︕」というアナウンスが聞こえないため、⽑布の配給を受けられなかった。
●ミッション.2 :環境が変わったせいか、体調がすぐれません。具合が悪いことをスタッフに伝えて
ください。 (声は出さないでください)
・体験の⽬的:コミュニケーションが取れず、不安になる状態を体験する。
●ミッション.3:夜中、お腹がすいてきました。パーテーションの中で、配られたおにぎりを⾷べることにしました。ビニール袋に⼊っている、おにぎりのパックを開けて、⾷べるふりをしてください。
・体験の⽬的:⾃分が出している⾳が聞こえないためわからず、周りの⼈の迷惑になっている状況を体験する。
避難所での3つのミッションの疑似体験をしたのちに、グループごとにこの体験を通して【よかった点】【悪かった点】について、各自がポストイットに書き出し、その後、 話し合いの時を持ちました。

私は下記のようなコメントを書きました。
▼よかった点▼
・聞こえないことの不⾃由さを体験できた
・話し⾔葉以外のコミュニケーション(⼿話やジェスチャー)、書いて知らせる必要性を確認した
・話し⾔葉で伝えられない困難を理解した
・他者とのコミュニケーションには相⼿の障がいなどに留意して⾏う必要性を感じた
・聞こえない場合、意識して環境を確認する必要性を感じた
▼悪かった点▼
・きこえないので、⾃分がどういう⾳を出しているか分からなかった
他の参加者からも同様のコメントに加えて、重要な視点が提起されました。
たとえば、生活音を無意識にだしてしまう場合、夜と昼とでは、他者の反応が異なるという【時間】の要素の重要性が指摘されました。

今回の事業の主催者の【三鷹ろうなん防災委員会】は、三鷹市聴覚障がい者協会、三鷹市登録⼿話通訳者会、⼿話サークル鷹の会とそれぞれ⽴場が違うメンバーで構成されているとのことです。
そこで、主催者の1つの【聴覚障がい者の立場】からは、災害時、聴覚障がい者は情報弱者に陥りやすいけれども、聴覚障がい以外の部分で、相互支援活動もできるので、活動参加の機会の保障が求められるという事を発言されました。
そして、【手話通訳者の立場】からは、①災害時の⼿話通訳者の派遣要請から派遣までの流れがわかっていないこと、②災害時の手話通訳者の稼働可能性等を把握する組織が不明であること、③三鷹市の登録⼿話通訳者は三鷹市登録⼿話通訳者会(三通会)に⼊っている⽅と多数の⾮会員がいて、連携が不十分、などが報告されました。
主催者から、「ろう者や難聴者は昼間の総合防災訓練に通訳付で参加しているからなんとなく昼間の様⼦はわかりますが、夜の避難所では、⼿話通訳者が居るかどうかもわかりません。暗いと⼿話や⽂字も⾒えない
のでコミュニケーションもとりづらく、避難所に居づらくなってしまうのではないかと思っています。発災時にはどんなに準備していても、訓練以上のことはできません。それでも前もって情報が共有できれば、いざという時に減災や共助もできるのではないでしょうか。今後の⽬標として、災害が起きた時の三鷹市聴覚障害者協会を中⼼とした体制づくりや防災パンフレット作りがあります。それに向けてこれから話し合う予定ですが、避難所に関しては市⺠の⽅々や運営される住協の⽅々、近隣の⽅々の理解も必要になってきますので、みなさんのご協⼒をよろしくお願いいたします。」とのメッセージが寄せられました。

最後に、災害時のワンポイント手話として、【地震・火事・洪水・逃げる】などを表現する手話を学び、実際に表現しました。
このイベントに参加することによって、私は、きこえない状況を、避難所でのテント内で疑似体験できました。
このことによって、聴覚障がい者の皆さんにとっての災害時の課題を認識し、共有できたと思います。
主催者の皆様を代表して、三鷹市聴覚障がい者協会の高橋みゆき会長と三鷹市登録手話通訳士会の小川奈緒子さんの事業実施のご努力に敬意を表し、感謝して、会場を後にしました。

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