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中央教育審議会で2件の諮問を受けました

中央教育審議会で2件の諮問を受けました

12月25日のクリスマスの日に、文部科学省では中央教育審議会第140回総会が開催され、私は委員として出席しました。

この日は、10月に就任されたあべ俊子文部科学大臣は、総会へのご出席は初めてとなりますが、公務のため欠席されることとなり、「教育・ひとづくりは国づくりの根幹であり、誰一人も取り残すことがない制度とする必要があることから、本日、2件の諮問をします」というような内容を主旨とする挨拶を、ビデオ・メッセージでお話しされました。
そして、11月に就任された武部新・文部科学大臣、金城泰邦・文部科学大臣政務官が会議に一貫して参加されました。
開会して、最初に武部副大臣から荒瀬克己・中央教育審議会会長に、【初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)】と【多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について(諮問)】の2件の諮問がありました。

武部副大臣による「諮問の趣旨悦明」に続いて、【初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)】については、望月初等中等教育局長が補足説明を行い、【多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について(諮問)】については、茂里総合教育政策局長が補足説明を行いました。

文部科学省の事務局席には、藤原章夫文部科学事務次官、矢野和彦文部科学審議官らが着席して、諮問が私たち委員に届くのを見守っています。
【初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)】は、言うまでもなく、次期の【学習指導要領】についての検討を求めるものです。
主な審議事項として、1.質の高い、深い学びを実現し、分かりやすく使いやすい学習指導要領の在り方、2,多様な子供たちを包摂する柔軟な教育環境の在り方、3.各教科等やその目標・内容の在り方、4.教育課程の実施に伴う負担への指摘に真摯に向き合うことを含む、学習指導要領の趣旨の着実な実現のための方策、が指摘されています。
【多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について(諮問)】については、主な検討事項として、1.社会の変化や学習指導要領の改訂等を見据えた教職課程の在り方、2.教師の質を維持・向上させるための採用・研修の在り方、3.多様な専門性や背景を有する社会人等が教職へ参入しやすくなるような制度の在り方、が提起されています。

諮問後の意見交換では、2つの諮問のそれぞれについて、こども達・教員・保護者を取り巻く、学校を含む社会の現状を踏まえる必要性が多角的に指摘されました。
同時に、委員の皆様のご意見を伺いながら、この2つの諮問が、「包摂性」「多様性」「量から質への転換」についての検討を必要としている共通点があるとともに、各諮問の検討に際しての相互連関性も強く感じました。

次に、【急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について(答申案)】についての審議が行われました。
大学分科会長で、高等教育の在り方特別部会の部会長をされている永田恭介・筑波大学長の説明の後、伊藤学司高等教育局長が補足説明をしました。
私は、答申案について、次のような主旨を発言しました。
〇目的として位置づけられている「質の向上」「規模の適正化」「アクセスの確保」の3点は相互に密接にかかわっており、その相互連関性が重要であることをまず確認したい。
その上で、「3つの目的(価値)は、常に調和するわけではなく、トレードオフの関係になることもあり得るため、価値の選択と調整が必要」との留意点が明記されています。そして、急速な少子化等を踏まえた高等教育全体の「規模」の適正化を図りつつ、それによって失われるおそれのある「アクセス」確保策を講じるとともに、「規模」の縮小をカバーし、知の総和を向上するために教育研究の「質」を高める、とされています。
それでは、【価値の選択と調整】をどのようなプロセスで行うかが大事であり、大学経営者のみでなく、学生・教員の意見を反映した民主主義的なプロセスが求められると思う。
そして、次の3点についても発言しました。
①「教育の質」について、高等教育の持続可能性の要素の重要な一つとして「研究力」「大学院教育の改革」が明示されたことは重要であり、そのための、具体的な対策が緊急性を持っていると認識している。
②「規模の適正化」について、特別部会の皆様も苦慮されたと拝察しますが、「撤退」「縮小」の用語の明記が重要であり、これらの用語は決して高等教委育の後退を意味するものではなく、少子化等の現状を直視しつつ、未来志向の高等教育の創造のために、むしろ必要な概念と受け止めて、この用語を使用することを大学関係者の1人として覚悟したいと思う。
③高等教育への「アクセスの確保」について、アクセス確保・人財育成のための協議体構築として、【地域研究教育構想推進プラットフォーム(仮称)】【地域研究教育連携推進機構(仮称)】が提示されていることは有用であり、高等教育機関は【地方創生】のプラットフォームとして位置づけることは有意義。
〇この答申(案)については、高等教育関係者に留まらず、知事会・市長会・町村会等地方6団体の自治体関係者に周知されることを期待する。

委員の意見交換で、当日の2件の諮問と、高等教育の答申案は密接な関係があることが指摘されましたが、まさに、同感です。
今後、中教審の委員として、この間、与えられている重要な諮問に、誠心誠意、取り組んでいきたいと思います。

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