文部科学省中央教育審議会生涯学習分科会が『第10期生涯学習分科会における議論の整理』を公表しました。
この度、私が副分科会長を務めている文部科学省中央教育審議会生涯学習分科会では、『第10期生涯学習分科会における議論の整理』を公表しました。
タイトルは「多様な主体の協働とICTの活用で、つながる生涯学習・社会教育 〜命を守り、誰一人として取り残さない社会の実現へ〜 」です。
今期の検討は昨年の春から始まりました。
「新しい時代の生涯学習・社会教育の在り方」を検討する過程で、まず共有されたのは、子ども・若者を含む地域の多様な人々が相互に理解し共生できる「社会的包摂」の環境づくりと、地域課題解決に向けた生涯学習・社会教育の機会の充実です。
その後、審議の過程で直面したのが、緊急事態宣言が発出されることにもなった新型コロナウイルス感染症対策や、深刻な被害をもたらした水害等の自然災害への対策でした。
そこで、改めて、感染症対策や災害対策に必要な知識を得るとともに、課題解決に向けて共に学び合う協働的学習機会の充実は、人々の生命や生活を守る「命を守る」ことにつながる意義があることを提起しました。
また、コロナ禍において特に学校教育で実践された「オンラインによる学び」は、生涯学習・社会教育でもその有用性は生かされるべきであり、「対面による学び」との組み合わせを今後の課題として位置付けました。
これらの方向性を推進していくための方策として、学びの活動をコーディネートする社会教育士やボランティアの育成、リカレント教育を含む放送大学やオンラインの大学教育サービスの利活用、ICT等を活用した学習履歴の可視化やボランティアポイントの活用などによる「学びと活動の循環」の推進、各地の先進的事例の共有などを提示しています。
コロナ禍でまずは「社会的距離」を確保して臨まなければならない中での本分科会の審議への参加を通して、私は、他の委員の発言から多くを学び直しました。
そして、対面には慎重にすることが求められるとしても、地域の多様な課題解決には、地域の多様な人々か、学校を含む多様な主体が、連携し、協働して、共に学び合う機会の確保が不可欠であることを再確認しました。