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郵政民営化委員会の視察で福井県永平寺町を訪問しました。

郵政民営化委員会の視察で福井県永平寺町を訪問しました。

私が委員を務めている内閣官房 「郵政民営化委員会」の視察で、昨年11月に福井県永平寺町を訪問し、市内の郵便局や公共交通の自動走行実験などを視察するとともに、河合永充町長と対話の機会を持ちました。

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河合町長は、高齢者等の移動手段の確保の為ボランティアによるデマンド乗合タクシーとして「近助タクシー」という名称の取組みを進めています。
「近助タクシー」は、町でドライバーとなる有償ボランティアを募集し、町が用意した車で利用者を運送する、利用者の依頼に応じて配車するデマンド型乗合タクシーです。

商店が1軒と郵便局があるだけでの町内の公共交通機関が手薄な地区において、令和元年11月から実証実験が行われました。
病院に行くにしても買い物に行くにしても非常に不便な地域であることから、デマンド型乗合タクシーの実証実験は、地域住民をはじめ、町役場、自営業、福祉関係など、様々な人々の協力で行われました。
特に「拠点」をどこにするかが重要であるところ、郵便局がその役目を担うこととなり、実証実験段階の予約受付は、郵便局が電話で行い、地域住民からは予約の電話をわざわざ役場に伝えるよりも、身近な郵便局であれば電話もしやすい、という声が聞かれたとのことです。
実証実験を進める中で、以前から町民に身近な存在であった郵便局が核となることで、関係者間での連携がスムーズに進み、「近助タクシー」の実証実験は令和2(2020)年9月で終了し、10月からは実用化がスタートしています。

また、コロナ禍において、お弁当を配布する実証実験も行いましたが、今後はその他の荷物を配達する実証実験を計画中とのことです。
河合町長は、町民のニーズを積極的に把握し、国の各省のモデル事業等を活用して、郵便局を含む多様な機関と連携してまちづくりを進めています。
その笑顔に表れている町民本位のまちづくりへの意欲に感動した出会いでした。

永平寺町では、河合永充町長の政策力と実行力により、高齢者・障がい者等交通弱者の移動手段の確保を図るとともに、交通・物流事業者のドライバー不足などの課題を解決する為、京福電気鉄道永平寺線永平寺口駅と大本山永平寺を結ぶ鉄道の廃線跡を「永平寺参ろーど (約6kmの町道)」と名付けて、電磁誘導方式による自動運転 実証を実施中でした。
地元の郵便局は永平寺町との間で包括的地域連携協定を締結して、これに基づいて自動運転実証実験に協力していました。

この永平寺町の取り組みは、MaaS(Mobility as a Service S;マーズ:すべての交通手段によるヒトとモノの移動を、需要に応じて利用できる1つのサービスに統合すること)の取組と言えます。
この道は町道ですが一般道路ではないため、自動車は進入できず、自転車や歩行者などは通行できる道です。

この自動走行システムでは電磁誘導方式を採用して、自動車のガイドセンサが地中に埋設されている誘導線の磁力線を感知し、コンピュータが誘導線の位置を解析し、設定されたルートを走行するものです。
埋設されたマグネット(磁石)上を走行すると車両の「マグネットセンサ」に電圧が発生し、信号をコンピュータが解析して車両の動作を制御する仕組みです。
電磁誘導方式は、電磁誘導線上しか走行できないため、走行ルートをはずれて暴走することはなく、永平寺町のように積雪や落ち葉が多いなどの路面環境の変化に強く、耐久性にも優れ、維持費が安価であるという特徴があります。
また、障害物を回避するときなどは、随時手動切替可能な機能を装備しています。
ドライバーは、遠隔監視室から遠隔で、全ての自動運転車両の周囲及び走行する方向の状況を映像及び音で同時に監視することができます。
そして、自動走行車両が自動運転を継続できない事態になった場合は、遠隔でハンドルを握って操作する仕組みです。

実証実験では、「1人の遠隔ドライバーが2台の自動運転車両を運用する遠隔型自動走行」、「車両10台を使用した1か月の連続実証」、「車内無人」の実証や、地域住民や旅行者を自動運転車両に乗車してもらって移動サービスのニーズや受容性の調査を行ったそうです。
このように多角的に自動運転の安全性や運用性を確認する様々な実証が行われました。
私たち委員と事務局メンバーは、荒谷遠隔監視所を視察し、そこから志比までのおよそ2kmの区間の実車を体験しました。私はこのような自動走行の自動車に乗るのは初めてでしたが、安全性を確認したことから、今後はドライバー不足の過疎地等の公共交通システムとして実用の可能性が高いと感じました。

なお、令和2(2020)年12月22日には自動走行の実用化が開始され、運用形態は、1人の遠隔監視・操作者が3台の無人自動運転車両を運行させ、保安要員(運転者ではなく、車内の安全対策等のために乗車する者)が車両の後部座席に乗車した形で、利用料金は乗車1回、大人100円、子供50円 で運行しているとのことです。

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