社会教育士って知っていますか?
文部科学省のホームページに「社会教育士」に関して、大変にわかりやすい説明内容と具体的な実践に関する動画が紹介されています。
https://www.mext.go.jp/a_menu/01_l/08052911/mext_00667.html
令和2年度から、生涯学習や社会教育に関するこれまでの「社会教育主事」という資格に加えて、地域の多様な課題を、多くの人々が学びながら協働して解決する過程を支援する専門職の称号として「社会教育士」が創設されたのです。
すなわち、国が定める社会教育主事養成課程(2020年4月施行)修了者に、「社会教育主事」資格に加えて、「社会教育士」の称号が与えられることになったのです。
「社会教育士」は、社会教育の制度や仕組み、基礎的な知識に加え、ファシリテーション能力、プレゼンテーション能力、コーディネート能力などの専門性の習得をねらいとした課程や講習を修了した人たちの称号です。
「社会教育士」については、私が委員を務めている中央教育審議会の生涯学習分科会でその必要性や意義について審議を行いました。
その過程で「社会教育士」に期待されたは、地域の教育・福祉・防災・環境・地場産業などの領域で、人々の学びの支援やネットワークづくりを通して人づくりや地域づくりに関わる役割を担うことです。
実は、これまで「社会教育主事」は、大学等の講習や養成課程で取得できる資格でしたが、自治体の教育委員会に採用される教育専門職であり、教育委員会に採用され、発令された時に初めて「社会教育主事」と名乗ることができたのです。
けれども、地域課題が多様化する中にあって、教育委員会に所属する専門職ではなくても、他の行政分野やNPO法人、企業、学校教職員、PTAの保護者の皆様の中に、社会教育主事資格を持っていても、その資格を名乗れないまま、実際には地域の諸課題の解決を支援している人財が多くいます。
そこで、こうした教育委員会に採用されていない人財が、教育以外の行政分野や、企業やNPO等の多様な職種にあって、地域の諸課題の解決を図る時に「社会教育士」の称号・名称で活躍することが可能になったことは有意義です。
文科省のホームページでは、社会教育士の具体的な活躍事例として、「『健康づくりはまちづくり』という『社会教育が支える地域福祉』」の事例や、「『共助』を本当の意味で理解するには『学び合い』が必要」という防災分野での事例、「『縦割り』になっている各分野を『つなぐ』専門性」という公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会職員の事例などが紹介されています。
それぞれの地域が直面する課題は、少子長寿化、国際化、高学歴化、災害等の多発化、近隣関係の希薄化をはじめとして、多様化し、複雑に絡み合っています。
しかも、コロナ禍にあって、もうしばらくは対面による集会的な活動が難しくなっている中、いかに地域の人々に実質的に寄り添う支援が可能かが問われています。
そこで、社会教育士の皆様が、社会福祉士、防災士などの資格を持つ皆様とともに、地域課題解決の過程で果たす役割が注目されます。
教育委員会職員ではないけれども、社会教育主事資格を持つ皆様の能力や経験が、社会教育士の称号の創設によって、幅広い分野でのびのびと発揮されていくことを願っています。