公益財団法人日本都市センターの理事会に出席しました。
昨日、公益財団法人日本都市センター (理事長は大西秀人高松市長)の理事会に出席しました。
2020年度事業報告によれば、年度を通してコロナ禍でしたので、いくつかの事業は中止を余儀なくされました。
ただ、対面とオンラインのハイブリッドで実施した政策交流事業の中には、従来より参加者の多いものもあり、アフターコロナにもハイブリッド型事業の実施の効果が期待されることを確認しました。
また、公益財団法人としての運営の困難はコロナ禍で顕在化しつつあり、調査研究活動や研修事業には引き続きの創意工夫が求められているようです。
会議終了後、常務理事の全国市長会事務総長の稲山博司さん、理事の地方財政審議会の元委員の鎌田司さんと短時間の情報交換をしました。
その対話を通して、コロナ禍にあって、改めて地方分権と地方自治の在り方が問い直されているとの問題意識を共有しました。
私が「従来に比較して『国と地方の協議の場』において、課題別のやりとりが増えてきているのではないか」と申しますと、稲山事務総長は「確かに増えているので、全国市長会としても町村会等と連携してその機会を生かし、自治体の政策や事業の更なる実効性を確保していきたい」と語りました。
鎌田さんからは「去年書いたものですが」と、『地方財政』の2020年9月号に寄稿された「一貫性欠いた『未知との遭遇』対策〜新型コロナウイルスの『第一波』を振り返る〜」をいただきました。
鎌田さんは、昨年のコロナ禍の第一波の動きを振り返りつつ、特に、公衆衛生と環境衛生の担い手とされる保健所は現在は全国に469ヶ所あるが、ピークだった1994年には852ヶ所あったことを紹介します。
また、感染症指定医療機関は現在は全国に410病院で病床数は1871にとどまっていますが、1993年までは一万床あったとのことなどから、この間の複数の市町村に1つの指定病院の配置との国の方針が減少に反映されていることも紹介されています。
この間は大方の感染症が撲滅されつつあったという動向がこうした病院や病床の減少に反映されているとは思いますが、新型コロナウイルスの蔓延により保健所と医療機関の感染対策における脆弱性が露呈したと言えるかもしれません。
鎌田さんの寄稿によれば、昨年3月に『新型インフルエンザ等対策特別措置法』が改正され、その後の「緊急事態宣言」と同時に改正された政府の「基本的対処方針」では、「緊急事態宣言」の区域の都道府県知事がやるべきことがかなり細かく書き込まれていることが指摘されています。
このような状況について、鎌田さんは「国と地方の役割を明確にしながら、国は地域の感染状況を把握している知事の対応をしっかり支えるという、地方分権の考え方が求められていたのではないだろうか」と提起しています。
現行の制度上、「主役は都道府県だが権限・財源に限界」と指摘されている点を傾聴したいと思います。
そして、私は、日常的な感染症対策、感染者支援、ワクチン接種など、新型コロナウイルス感染症対策の最前線は市区町村であると思っています。
そこで、「主役は市区町村だが、権限・財源に限界」があってはいけないと強く思います。