一ノ瀬智恵乎さんと山田ちさとさんとの2人展「Occurring Sightー生起する光景」を鑑賞しました。
国立市の住宅街の一角にある「宇フォーラム美術館」を訪ね、三鷹市出身で三鷹市在住の画家一ノ瀬智恵乎さんと、多摩美術大学絵画科日本画の後輩である山田ちさとさんとの2人展「Occurring Sightー生起する光景」を鑑賞しました。
会場に入ると、壁一面に展示されている『覇者たちの想いー大移動ー』『覇者たちの想いー凍結ー』の2つの大作が縦1.6mに横9m余りとなり、見るものに、平面の2次元の絵にも関わらず4次元の時間の流れを感じさせます。
また、もう一つの壁には、布に描かれた約5.5mの『BEYOND DESCRIPSION』の金箔が輝く大作が、訪れる人々の目を惹きつけています。
私と一ノ瀬さんとの出会いは8年前の10月のことで、大切なご家族が逝去された直後のことでした。
一ノ瀬さんはとても深い悲しみの淵にいらしたのでしたが、温かい友人の皆様のお支えもあり、少しずつ絵画を描く生活に戻られました。
私も個展を開かれるというご案内をいただいた時には、市長当時も、退任してからも、可能な限り伺ってきました。
今回、私の来訪を歓迎してくださった一ノ瀬さんに、まことに失礼だとは思いましたが、「とても華奢な体で、この2作合わせて、縦約1.6m、横が約9mの大作を描かれたエネルギーの源泉は何ですか?」と質問しました。
一ノ瀬さんは、「清原さん、私にはこうして絵を描くことしかありませんから」とキッパリとおっしゃいました。
私はそれを伺って、一ノ瀬さんが絵を描くことだけでなく、これだけの大作を構想し、描き切り、しかも展示できる場所を探して、展覧会を開かれる精神力に感動し、心から尊敬の気持ちを抱きました。
こうして今、一ノ瀬さんは肉親を失った深い悲しみを、見る人に感動を感じさせる大作の絵画作成へと、たしかに昇華されていると感じました。
そして、民間で、こうした大作を展示できる美術館を運営されている「宇フォーラム美術館」の使命感にも感謝の気持ちでいっぱいになりました。
私は、一ノ瀬さんの展覧会を訪問して、「芸術は生きる力の源泉となる」ことを痛感しました。