総務省統計委員会委員に再任されました。
私は三鷹市長在任中から総務省統計委員会委員を務めており、昨年10月に再任されました。
統計委員会は、「統計に関する基本的事項、基本計画の案、基幹統計調査の変更など統計法に定める事項に関する調査審議を行う」審議会です。
また、「統計に関する基本計画の実施状況に関し総務大臣等に勧告すること、関係大臣に必要な意見を述べること」など、公的統計において重要な役割を果たす審議会です。
さて、昨年12月、国土交通省「建設工事受注動態統計調査」において、集計における「二重計上 」という不適正事案が発覚したことから、新聞各紙やテレビ等で報道がされました。
そして、昨年12月24日開催の第171回統計委員会において、出席した金子恭之総務大臣より、統計委員会に対して本統計調査について、要約すると次のような要請がありました。
建設工事受注動態統計調査に係る事案が発覚したことは、大変遺憾であり、統計委員会には、なぜこのような事案が生じたのか、早い段階で気付き改善することはできなかったのかなど、総務省における過去の対応を含めて、統計の専門家として第三者の立場から、経緯や原因の検証を徹底的に行っていただきたい。また、真に役立つ品質の高い統計を、将来にわたって確実に提供するための対策や仕組みについて、統計の専門家としての御知見も賜りたい
公的統計の作成は各府省の責任ですから、本件については、直ちに、国土交通省には検証委員会が設置されました。
そして、総務省政策統括官室(統計制度担当)は、各府省の統計調査の実施についての審査を行い、また、総務大臣を通じて関係行政機関の長に勧告や意見ができる統計委員会の事務局機能を担うという、日本の統計制度において重要な責務を有しているため、総務大臣から総務省の対応についての精査が求められたことになります。
そこで、総務大臣の要請を受けて同委員会企画部会に「対応精査タスクフォース」が設置され、私は5名の構成員の1人として指名されました。
12月26日の第1回会議から1月13日までの間、本統計調査に関わ文書・メールの調査、本統計調査に関わった経験のあるOBを含む関係職員や委員への 書面調査・ヒアリングを実施しました。
そして、その内容の分析をもとに、本統計調査に関する総務省政策統括官室の対応について評価するとともに、今後求められる対応を検討してきました。
1月14日、その精査結果報告書が、タスクフォースの椿広計座長から金子恭之総務大臣に手交されました。
同日、国土交通省の検証委員会の報告書が国土交通大臣に提出されています。
タスクフォースの報告書は長文となりましたが、概要版は2枚にまとめました。
精査の結果、本統計調査に係る4つの重点時期における対応については、総務省においては資料や説明だけでは「二重計上」を認識するのは 困難な面がありましたが、各府省の適正な統計 作成プロセスの実現を通じ公的統計の改善を図るという観点からは、職務遂行の改善が求められることを指摘しました。
また、ある時点の対応では、政策統括官室の縦割りによって対応が不十分と考えられたことから、その是正と各府省とのコミュニケーションが双方向において緊密・率直となるよう改善する継続的な努力が求められると指摘しました。
今後の対応としては、
○精査の対象とした平成22年度以降、現在までの期間を通じて、当該統計に関する総務省の対応において、統計法等に反する事実は確認できない
○今後の課題として、公的統計の品質確保が全府省に共通の重要な課題として改めて浮き彫りに
○特に「公表数値の誤り」が最大のリスクであるという基本認識が徹底されておらず、個別の統計における誤りの発生への警戒心や関心が薄いことが、今回の事案により顕在化
○今回の精査により判明した課題を踏まえ、統計作成府省と連 携して公的統計に対する信頼の回復に向けた取組に直ちに着手する必要
○この経験から得られた教訓は全府省の統計の品質向上及び重大リスク事案の発生防止に役立てるべき
○すでに実行の途上にある「公的統計基本計画」の様々な取組を全府省が一丸となって加速・強化すべき、としました。
今後は、タスクフォースの報告書と国土交通省の検証委員会の報告書を受けて、改めて統計委員会での再発防止と適正な公的統計作成プロセスに向けた検討が行われる見込みです。
報告書と概要は次のURLに公表されています。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01shingi05_01000036.html