憲法記念日にあたって。
- 2022/05/03
5月3日は日本国憲法が施行されて75年目の「憲法記念日」です。
この日は、私の父の命日でもあります。
父は大正生まれで、19歳で徴兵され、先の大戦の最後の時期において現在の中国と韓国で兵士として過ごし、戦後しばらくして日本に帰還しました。
若くして異国での戦死を覚悟していた父は、国民主権・平和主義・基本的人権の保障を三原則とする憲法によって「なかったはずの自分の命と思っていたが、ありがたくも今、生かされている命に感謝する。しかも、慶子という次の命も生まれたし。」と話していました。
まさに父が生還しなければ、私の誕生はなかったのであり、憲法記念日に逝去したことに、憲法への父の想いが刻まれているように思います。
命日に墓参をして、しばしの間、亡父と語り合いました。
さて、最高裁判所の大谷直人長官は、憲法記念日にあわせて会見し、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻などを念頭に
「大きな変動の時期にあっても裁判所が果たすべき役割は国民の権利を救済し、適正迅速な法的紛争解決を通じて『法の支配』を実現し、社会の安定に寄与することだ。その役割を果たすために力を尽くしたい」と述べたとの報道です。
そして、ネット社会の課題について、
「価値観の対立について裁判所としては、視野を広げて客観的に冷静にみていく姿勢が必要だ」と述べたとのことです。
実は、大谷直人長官は、私が卒業した東京都立富士高校の1年後輩です。
と言っても、在校時は面識はありませんでした。
ただ、長官に就任されてからお目にかかる機会があったときに、私が2002年以降、司法制度改革推進本部で、裁判員制度・刑事検討会、公的弁護検討会の構成員をしていたことや、日本弁護士連合会の市民会議の委員をしていたことをご存知で、同窓として、異なる立場とはいえ司法制度改革に関わることができたことを心強く思いました。
大谷長官が記者会見で話されたように、「法の支配」と、国民主権等を保障する三権分立は民主主義国家の基盤であると改めて思います。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220503/k10013609691000.html