中央教育審議会生涯学習分科会に参加しました。
7月25日、中央教育審議会生涯学習分科会が開催され分科会長として会議の進行を担当しました。
当日は今期分科会の議論の整理(案)について審議し、副題はこれまでの審議を踏まえて、「全ての人のウェルビーイングを実現する、共に学び、支えあう生涯学習・社会教育に向けて」となる見込みです。
今期の分科会の検討は2021年5月から始まりました。
「ウェルビーイング」という概念は、国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」の目標のうちの1つに位置づけられ、その実現について、国、自治体、企業、NPO等の共通の関心事項となっています。
さらに、オミクロン株による感染の再拡大、ロシアによるウクライナをめぐる状況などの事態の発生は国民の日常生活にも少なからぬ影響を及ぼしており、国民一人一人が大きな社会の変化に無関心ではいられない状況となっています。
そこで、あらゆる暴力のない社会を目指し、社会的包摂や共通価値の尊重を促進する上で、教育が重要な役割を果たすという認識を広く共有していく必要があるとの認識を共有してきました。
また、中央教育審議会においては、2022年2月、次期の「教育振興基本計画」の策定に向けた諮問が行われ、特別部会設置され、私も委員をつとめています。
ここでは、生涯学習に関連する課題としては、2040年以降の社会を見据え、リカレント教育、共生社会の実現に向けた社会的包摂の推進、誰一人取り残されずウェルビーイングが実現されるように制度等の在り方を考える必要性など、本分科会における議論とも大いに関連する内容の審議が進められています。
そこで、次期教育振興基本計画の策定にも資するよう、生涯学習・社会教育が果たしうる現代的な役割を明確にするとともに、社会教育の担い手となる社会教育主事・社会教育士や公民館等の社会教育施設に関する今後必要と考えられる振興推進方策について審議を重ねてきました。
こうして、生涯学習・社会教育をめぐる現状・課題を踏まえつつ、「生涯学習・社会教育が果たしうる役割」として、「ウェルビーイングの実現」「地域コミュニティの基盤としての役割」「社会的包摂の実現を図る役割」などについてとりまとめました。
そして、「今後の生涯学習・社会教育の振興方策」として、「公民館等の社会教育施設の機能強化、デジタル社会への対応」「社会教育主事、社会教育士等の社会教育人材の養成と活躍機会の拡充」「地域と学校の連携・協働の推進」「リカレント教育の推進」「多様な障害に対応した生涯学習の推進」「国・地方公共団体が果たすべき役割」について提言しています。
先日、文部科学省で生涯学習分科会と教育振興基本計画特別部会を所管する総合教育政策局長の藤原さんと対話する機会がありました。
藤原さんは、
「激動する現代社会にあって、生涯学習・社会教育、初等中等教育や高等教育などの学校教育は、益々その重要性を増しています。そこで、なによりも多分野から参加されている審議会の各分科会、各部会での、多様な委員の皆様による、率直で実態に即した意見が欠かせません。タブーなく、率直な審議を期待しています。」と笑顔で語ります。
局長室の前には、文部科学省スペシャルサポート大使の書道家・金澤翔子さんによる『共に生きる』と書かれた文字が局長の姿勢を明示しています。
そして、故・石ノ森章太郎さんがデザインを手がけた、生涯学習のイメージキャラクター「マナビィ」ちゃんの笑顔も迎えてくれました。
全ての人のウェルビーイングと生涯学習・社会教育のご縁が深まりますように、国と自治体、多様な民間団体、1人ひとりの学習者の出会い、交流、切磋琢磨が進むように、行動したいと思います。