地方自治トップマネジメントカレッジでパブリックリレーションズ(PR)論」を担当しました。
7月29日、滋賀県湖南市の前市長・谷畑英吾さんが代表理事である「一般社団法人地方自治マネジメントプラットフォーム」が主催する「地方自治トップマネジメントカレッジ」で「パブリックリレーションズ(PR)論」を担当しました。
「地方自治トップマネジメントカレッジ」は、就任1期目の若手首長5名程度の少人数を受講者として、双方向で地方自治の基本を学ぶ勉強会です。
このカレッジの企画には谷畑さんと共に東北大学特任准教授の佐藤克唯毅さん、青山社中株式会社政策支援担当の藤代健吾さんが参画されています。
今年の春のある日、私が三鷹市長在任中に、ご一緒に全国市長会の副会長を務めて、幼児教育・保育の無償化について、国との協議を進めた谷畑さんとオンラインで対話しました。
谷畑さんは、自称「日本初『首長の学校』の校長先生」です。
その対話で、谷畑さんはこう語っていました。
「市長を退任してから、いろいろな人たちと語り合う中で、世の中には選挙に関するノウハウ本やコンサルタントはたくさんありますが、首長に当選した人に、どのように自治体を経営すればよいかを具体的に教えるシステムはほとんど何もなかったことに改めて気づいたのです。
地方自治体を支援す「MAKOTO WILL」の菅野永代表と首長のヒアリングをした際に、特に1期目の首長は、住民、議員、職員組織、地域の関係団体、国や都道府県など多様な関係者との関係に悩みつつ、日々の市政運営に苦労している人の多いことがわかりました。
たとえば、清原さんのように、国や自治体の職員や議員の経験がなくて自治体首長に就任した1期目の若手首長には特に苦労が多いようです。
そこで、そのような首長を対象に、自治体経営の暗黙知や経験知を学びあう少人数の対話型の勉強会を始めたいのです。これまでの市長経験を踏まえて具体的な事例に基づいて自治体経営について話す講師として協力してほしいのです」と。
確かに私は議員の経験も、公務員の経験もない立場で三鷹市長に就任して、特に1期目の1年目はいろいろとわからないことばかりでしたので、きっと頼りなかったと思いますが、市民の皆様も、議員の皆様も温かく接してくださいましたし、副市長や職員に支えられ、東京都市長会の先輩の市長の皆様にご助言をいただきながら、毎日毎日一生懸命に市政運営に努めたことを思い出しました。
そこで、1期目の若手首長の方々に少しでもお役に立てれば幸いであると考えてお引き受けしました。
この日の講義ではまず、20代から三鷹市での参加と協働の経験を重ねてきた私が、それまでの三鷹市の準備の取り組みを踏まえて、三鷹市長に就任1期目に制定した「三鷹市自治基本条例」について紹介し、三鷹市政の基本理念である「協働」について説明しました。
その「民学産公官の協働」の推進を図るためには、パブリックリレーションズの取り組みが欠かせません。
そこで、この協働を進めるために、パブリックコメントを含む「広聴」を重視し、「記者会見」ではわかりやすい資料の作成を行い、原則として市長自身による丁寧な資料説明を行うとともに、わかりやすく読みやすい「広報紙」の編集と全戸配布の重要性について話しました。
また、「市民とのコミュニケーション」として私が三鷹市長在任中に実施した「市長と語り合う会(公募の少人数の市民との対話)」の開催について紹介しました。
また、幅広い市民の声を反映するために、無作為抽出の市民による「みたかまちづくりディスカッション(市民討議会)」の開催とその討議からの参加者の提言の基本計画等への反映について報告しました。
さらに、市民の為に働く「職員とのコミュニケーション」については、『各部の運営方針と目標』の策定とその成果などを市民に公表する『自治体経営白書』の発行、少人数の職員との対話型研修(延べ1800以上参加)の実践について報告しました。
基礎自治体は議員内閣制である国と異なり、行政の責任者である市長も、市議会議員も選挙で選ばれる「二元代表制」です。
そこで、首長は二元代表制の一翼であり、住民の代表である議会を尊重し、議案や基本計画等について、適時適切に市民代表である議会に説明することが必要であることを話しました。
その後、受講者の首長さんと、谷畑さん、私との間で質疑応答や意見交換が活発に行われました。
大変に僭越ですが、このやりとりを通して、初々しい首長の皆様の、真摯で、率直で、謙虚な姿勢に心を打たれました。
長引くコロナ禍、市政運営も格別に困難を極めている中にあって、市民の信託に応え責任を果たすための「学び合い」のご努力をされている首長の皆様に敬意を表し、ご活躍を心から願います。