三鷹市長在任中の「市長と語り合う会」の参加者と再会しました。
- 2022/09/25
- 日記・コラム
私が三鷹市長在任中行っていた「市長と語り合う会」の参加者と三鷹市内で再会しました。
市長と語り合う会は、テーマや参加者の属性を示し公募に応募していただいた10名ほどの市民の皆様と約2時間に渡り市長が語り合う「公聴・広聴」の取組です。
市長在任中87回開催し、参加者延べ 716名、傍聴者延べ 123名です。
幼稚園・保育園の年長児、小学校I年生、中学校1年生、高校生、高校生、新成人、結婚していない市民、妊婦、新米パパ・育児休業取得経験のある父親、孫育てを担っている祖父母、町会・自治会、安全・安心パトロール、園芸ボランティア、消防団、スポーツ・文化活動等地域活動の参加者、転居直後の市民など、多様な市民の皆様から、暮らしの課題や政策提案に関する生の声を聴かせていただきました。
この会は、市長が特定の政策を説明したり、市民を説得する会ではありません。
公募で参加した市民の皆様とテーマについて語り合い、その声を傾聴する会です。
そして、2人の副市長が交代で1人ずつ傍聴して、終了後に市民の意見を踏まえたサービスの向上や新しい政策について話し合いました。
私は市長と語り合う会の実践を通して、年長児でも小学生でも、人前で話すのが苦手な方も、私が聴く姿勢と態度で臨めば、しっかりと経験や想い、考えていることを話してくれることを実感しました。
聴いたことを私がどのように理解するかを話して確認し、聴いただけで済ませるのではなく、可能な限り市のサービスや取組に反映していくことが必要です。
そして、既に行っている制度やサービスについてもきちんと説明することも大事でした。
そして、市民の皆様のご意見を踏まえて対応したこととしては、たとえば、子育て支援に関するこども政策部の創設や具体的な取り組みとしての妊婦全員面接の導入と充実、通学路の安全確保の拡充、産後ケアサービスの開始、結婚していない市民にとって図書館・スポーツ、文化・生涯学習サービスや広報等の充実による満足度向上の検討、転居時の町会・自治会等をはじめとして地域に関する情報提供の拡充、市役所の窓口サービスの改善、市長部局と教育委員会の連携の強化などなど、挙げればキリがありません。
また、別の日に、市長と語り合う会を傍聴されていた方とも地域で再会しました。
その方は、
「傍聴して気づいたことは、参加者が最初は緊張している様子でも、すぐに率直にいろいろなご意見を言われていて、傍聴している私も、思わず『そうそう』と相槌を打つことも少なくありませんでした。それを、清原さんもニコニコ受け止めている様子を見ることもできて安心しました。この取組は、決してどの市でもしていることではなくて、清原さん独自の取組でしたね。よく頑張りましたね」
と声をかけてくださいました。
大変にありがたいことです。
市長と語り合う会では終了後に全員で写真を撮り、それを記念にしていただきました。
その議事録は、参加者の名前は匿名としつつ、市のホームページですべて公開していましたが、今は公開は終了されています。
市民の声を聴く公聴の取組は多様です。
条例に基づく条例や計画に関する「パブリックコメント」からは、反対や見直しの提案を含む多くのご意見をいただきました。
その際は、ご意見を反映したか、反映しなかったか、既に同様の趣旨がどこに記載されているかなど、対応を公表してきました。
また、私は、防災、こどもの安全安心対策、基本計画改定や市役所建替えなどについて、無作為抽出の市民の皆様に依頼して討議していただく「みたかまちづくりディスカッション」を創設して、数度開催し、いわゆる「声なき声」の反映にも力を入れました。
この時も、反映できたことばかりではありません。
たとえば基本計画の討議の時に、あるグループから「武蔵野市と合併して特別区の24番目になることを計画に含めてほしい」との意見が有力であると発表された際には、それはまず武蔵野市との合併の検討が不可欠であり、従来市議会で2回審議された時には、反対多数であったことなどを報告して、すぐには反映できないと申しました。
自治体は二元代表制ですから、市民の皆様の代表は、公選により選挙で選ばれた市長と議会です。
議員の皆様が市民の声の代表であり、市長もまた市民の代表として、謙虚に多様な市民の皆様の真意を汲み取る努力が求められます。
市長の描く市政の構想と異なる構想を持つ市民の声を聴く力が必要です。
市の取組を知らせる「広報」だけでなく、多様な「公聴・広聴」の取組は、基礎自治体にとって市民の皆様との重要なコミュニケーションであると、三鷹市長としての経験を踏まえて実感しています。