公明党次世代育成支援推進本部にて「妊娠・出産に関する支援の必要性、重要性」について講演しました。
公明党次世代育成支援推進本部(本部長:山本かなえ参議院議員・事務局長:中野洋昌衆議院議員)において「妊娠・出産に関する支援の必要性、重要性」について、内閣官房こども家庭庁設立準備室政策参与として、三鷹市長在任中に開始した妊婦全員面接(ゆりかご面接)・産後ケアの事例等を含めて講演しました。
冒頭に公明党高木陽介政調会長は「来年度の設立を控えて、これまで希薄であった妊娠・出産に関する伴走支援の在り方を積極的に検討し、全世代型社会保障に位置付けるとともに、来年度の骨太方針にこども政策の財源増を明示するよう与党としてしっかり取組む」と挨拶されました。
私は三鷹市長時代に出会った妊婦さんや母親の声を聴いて女性が妊娠期や産後に抱える心身の課題への適切な支援が重要と考えて「妊娠・出産期からの切れ目のない支援」に取組みました。
2017年4月三鷹中央防災公園・元気創造プラザの創立時には、1階の「子ども発達支援センター」に障がい児保育園、保育の一時あずかり施設、相談機能を集約し、2階の「総合保健センター」に妊婦全員面接、乳幼児の定期健診、多胎児・未熟児等への支援を集約するとともに、虐待やいじめ等に対応する「要保護児童対策協議会」機能の充実を図る「子育て世代包括支援センター」を創設しました。
私は妊娠・出産期からの切れ目のない支援が必要な要因として、
①妊婦の高年齢化
②特定妊婦の支援要因の1位は経済的困窮
③地域で出産する不安を解消し身近に相談する人が必要
④医療機関や子ども家庭支援センター等からのアプローチはハイリスク中心で後追い支援傾向があるところ、すべてのこどもを支援する必要性
⑤子育て支援部門との連携強化の必要性、について説明しました。
そこで、妊娠中から、赤ちゃんを迎える家族が健康で安心して赤ちゃんの誕生をイメージすることができるように、地域の子育てサポートを知ってもらい、自分に合ったサービスの活用ができるよう、子育てについて学んだり交流したり相談できるように、妊婦全員面接(ゆりかご面接)を開始しました。
ゆりかご面接は妊娠届提出時に、母子健康手帳と一緒に案内を渡して、妊娠26週までに予約が入っていない妊婦にははがきを送付し、その後も連絡がない妊婦には電話で案内しています。
予約制(当日可)で、総合保健センターで、約1時間、保健師・助産師・看護師が、妊娠届出書・面接シート等に基づき対話して、適切な情報提供や支援機関を紹介し、面接を受けた方に1万円分の「こども商品券」を贈呈します。
当初より8割を超す妊婦さんが全員面接を受けており、令和3年度は91%でした。
産後も新生児訪問や継続的な電話・訪問を実施し心理相談、産後ケア事業、乳幼児健康相談を案内しています。
面接については「知人や家族以外に保健センターでも対応してもらえると知った」「第一子から出産する期間があいて忘れている事もあり、市のサービスや出産後手続きを聞けててよかった」など好評です。
そして、産後のサポートなしは約1割、約6割が自宅で過ごし、特別の支援が必要な母親が約1割のところ、私は母親の心身の回復と安定を促し、母親自身のセルフケア能力を高めるために、「産後ケア」をはじめました。
これは産後うつを発症しやすい産後4か月頃までの産婦と乳児のうち、家族親族等から十分な支援が受けられない人を対象に実施しています。
ケア内容としては、母親の心身のケア・適切な授乳ができるためのケア・育児手技についての具体的な指導及び相談等を小児科医や専門職が支援するデイサービス型、ナイト型、ショートステイ型の3類型があります。
この会議で、私は「妊娠期から出産・乳児の子育てに伴走するための課題」を3点に集約して提起しました。
① 相談要員としての助産師・保健師・看護師等の人財の確保が不可欠であることから、人財の養成・研修・勤続確保のためのしくみが不可欠
② 妊娠届、面接、出産、子育ての各過程で伴走支援するためには、連絡・事務等の職員の増員も必要で、DX化も有用
③自治体が格差なく、「切れ目のない妊娠・出産に関する伴走支援」を適切に遂行するためのPDCAの仕組みづくりについては国及び都道府県の財政的支援、制度的支援が不可欠
私に続いて、NPO法人ヤンちゃまファミリーwithの田崎由佳理事長も、本テーマについて、重層的課題を持つ家庭への、多様できめ細かいサポートの実践を踏まえて報告されました。
その後、参加議員さんから、ゆりかご面接を全自治体で進める上での課題やダブルケア、商品券交付の意義などに関する熱心な質疑があり、私は誠実に回答しました。