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『日本産業分類』の改定についての諮問を受け統計委員会統計基準部会で検討しました

『日本産業分類』の改定についての諮問を受け統計委員会統計基準部会で検討しました

総務省統計委員会委員として、この間「統計基準部会」に属して検討してきたのが『日本標準産業分類』の改定案についての諮問に対する答申案の検討でした。
そして、6月16日の統計委員会で「諮問された日本標準産業分類の改定案の内容は、おおむね適当である。」という趣旨の答申案が可決されました。
そして、その答申を反映して、6月29日の閣議で令和6年4月1日施行予定とする『日本標準産業分類』が閣議決定されました。

『日本標準産業分類』は、統計の正確性と客観性を保持し,統計の相互比較性と利用の向上を図ることを目的として設定された統計基準であり、全ての経済活動を産業別に分類しているものです。
この内容は大変に「固い」ものですが、実は私たちの仕事や経済活動に大いに関係があります。
『日本標準産業分類』における産業とは、財又はサービスの生産と供給において類似した経済活動を統合したものであり、実際上は、同種の経済活動を営む事業所の総合体と定義されます。
これには、営利事業と非営利事業がともに含まれますが、家計における主に自家消費のための財又はサービスの生産と供給は含まれません。
本分類は、事業所で行われる経済活動、すなわち産業を主として以下のような分類の基準に着目して区分し、体系的にまとめたものです。

今回は、この分類の基準について、需要側の分類である生産物分類が既に作成されていることから、供給側の視点からの日本標準産業分類の位置づけを明確にするため、今回の諮問案においては「分類の基準」の記載順を変更し、供給側の基準を先に記載することとしています。
このように、新たな「分類の基準」の記載順は、現行の「分類の基準」を再整理したものであるため、分類体系を変更させるものではありません。
(1) 生産に投入される財又はサービスの種類
(2) 財又はサービスの生産方法(設備又は技術等)
(3) 生産される財又はサービスの特徴(用途又は機能)

なお、本分類は、統計調査の対象となる産業の範囲の確定、統計調査の結果の産業別表章等に用いられるものですので、多くの統計調査やアンケート調査で活用されています。
本分類の構成は、大分類、中分類、小分類及び細分類から成る4段階の階層とされます。
たとえば、経済センサス等において、企業等(主として、経済活動を行う会社や法人、個人経営の事業主)を単位とし、その企業等を産業別に分類しようとする場合には、本分類を準用することがあります。また、すべての世帯を対象に実施されている5年に1度の「国勢調査」等において、個人を単位として本分類を適用しようとする場合には、その個人の属する事業所に本分類を適用することがあることから、私たちの多くにもなじみのある分類です。
また、 細分類についても検討しました。その際、「食料品スーパー」について、分類項目名には「スーパー」の正式名称を用いることが適当と考えられることから、「食料品スーパー」ではなく、「食料品スーパーマーケット」とすることを提案しました。
また、小分類及び細分類の「ワンプライスショップ」は、「ワンプライス」という表現が日本語として十分に定着しているとは言い難い状況であることを踏まえ、「ワンプライスショップ」ではなく、いずれも和名である「均一価格店」とすることを提案しています。

今回の検討は諮問案を中心に検討しましたが、その過程で、統計基準部会では今後の課題についても話し合われ、その内容が重要であると思います。
すなわち、「公的統計の整備に関する基本的な計画」(令和5年3月28日閣議決定)における
「統計ユーザー等に対して、社会経済や報告者の状況に対応した適切かつ比較可能性ある統計を常に提供するとの観点からは、統計基準等の改定や整備は、統計行政における将来にわたる対応として重要である。このような改定や整備は大規模調査実施のタイミングも踏まえ、時代の変化に合わせ、定期的に行うことが必要である。」
との指摘も踏まえ、今後も適時適切に経済構造の変化を捉える観点から、継続して常に見直しの検討を行う必要があるということを共有しました。
(1)共通的課題:
①継続的な検討 ② 国際分類との比較可能性の向上 ③ 分類項目と分類体系の見直し ④ 生産技術の類似性の観点からの見直し ⑤ 管理、補助的経済活動と同一企業内の事業所間取引の取扱い
(2) 各論的課題:① 中分類「インターネット附随サービス業」の見直し ② デジタル産業の取扱い ③ 無店舗小売業の取扱い ④ 発電業の電源種別による細分類設定 ⑤ 3PLサービスの新規立項  ⑥ファブレス企業の取扱い 
デジタル化、コロナ禍等で経済状況も大きく変わってきています。
また、統計の国際比較の重要性も増してきており、その観点からの適切な検討も必要です。

今回の検討を進める統計基準部会も原則としてオンラインで開催されてきましたが、部会での答申案の最終的な確認をした際には、櫨浩一部会長(学習院大学経済学部経済経営研究所客員所員)、専門委員の西美幸さん(アビームコンサルティング株式会社公共ビジネスユニットディレクター)とは対面で会議に参加しました。
『日本標準産業分類』に係る検討は、なかなか難しい検討ではありましたが、統計委員会事務局の皆様の精緻な資料の準備があるとともに、西さんのような民間の委員を含む、幅広い分野の委員の皆様との審議は大変に有意義でした。

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