開館14周年を迎えた「三鷹市星と森と絵本の家」を訪ねました
7月7日の「七夕の日」は、三鷹市立「星と森と絵本の家」の創立記念日です。
今年は14周年目を迎えています。
市内にあるとはいえ、公共交通が直結していないこともあり、日頃なかなか訪問できない私は、つい気がせいて自家用車で早めに自宅を出てしまい、家族と一緒に午前10時の開館前に到着してしまいました。
この施設は、三鷹市長第1期目のマニフェスト(公約)に「絵本館構想」を掲げていた私が、当初は玉川上水沿いの「三鷹市山本有三記念館」の隣地に整備する構想を提案したところ、市民のパブリックコメントや市議会の皆様からの賛同を得られなったことから、まずは断念したことから始まります。
そこで、私は絵本館という施設づくりを先行するのではなく、むしろ絵本を活かした取組みの内容(コンテンツ)についての検討から始めようと方針を改めて、2005年7月に公募の市民の皆様、専門家の皆様による「絵本のまちづくり」について検討する市民会議、「三鷹市絵本館構想検討会議」を発足しました。そして、子どもたちが絵本を通してさまざまな体験やコミュニケーションをもつことのできる地域文化をつくり、新たな交流と創造の場をつくることを目的とする「みたか・子どもと絵本プロジェクト」を立ち上げ、2010年まで5年間の取り組みを定める推進計画を策定したのです。
そして、具体的な動きとして実現したのが、こども・若者を含めた公募の市民主導による市内在住の絵本作家であり文学者の「神沢利子さんの展覧会」の開催でした。
そうした経過の中で、国立天文台の観山正見台長から、国立天文台三鷹キャンパスに保存されていた歴史的な建造物と言える幹部用の官舎の復元について、三鷹市と協働したいとの提案がありました。
そこで、両者が協働して大正時代に建てられた日本家屋を復元し、それを絵本館とすることとしました。
幸い、当時の企画部の職員が頑張って、整備費に対する多額の補助金を獲得できたことから、相対的に低廉に整備することができました。
さらに、国立天文台との協働は建物を復元するだけではなくて、絵本館の企画展については、天文台の教員の監修で企画することや、名称を「星と森と絵本の家」とすることができました。
そこで、2009年7月7日の開館以来、七夕の日は開館記念事業として、歴代台長に天文学のお話をわかりやすくしていただき、私は市長在任中は毎年、その年の企画展のテーマに関連する絵本の読み聞かせをしてきました。
今日、私が訪問した午前中は読み聞かせのボランティアの皆様が、お話し会を開いてくださっており、多くの赤ちゃんを抱いたお母さんたちが、手遊びをしたり、絵本の読み聞かせに聞き入っていました。
今日からの企画展は、「水のある星」です。
「さんさんと」というより、「かんかんと」燃える太陽が降り注ぐ中、お庭ではボランティアの「星と森と絵本の家フレンズ」の「もりのクラフト」の皆様が活動しています。
「星と森と絵本の家フレンズ」の「もりのクラフト」の代表の森さんは、「まもなく81歳になりますが、みなさんと活動しているので元気ですよ」と笑顔で語ります。
私は、リンゴの模様の一輪挿しを購入しました。400円です。
昨年は、大きなビワの木の下開店の草木染のお店で、ビワの木の葉で染めた鮮やかなオレンジ色の肩掛けバッグ購入し、今年はそれに水筒を入れて伺いました。
また、絵本の今日は、今年の2件の最優秀作品のうちの一つである、いのうえはるなさんの作・絵による『風のつよい日のはなし』の原画が展示されています。
館長の西村さんと職員の熊沢さんは、この原画が展示されている「回廊ギャラリー展示絵本公募受賞作品」の前で、「今日の創立記念日は平日なので、まだまだ来館者は少ないですが、特に土日は多くの人が訪ねてくださって、本当にこの場所が必要で、愛されているいることを痛感します。私たちも大いに楽しみながら、皆さんにもっと喜んでいただける居場所にしていきたいです」と、目をキラキラさせて語ってくれました。
絵本の読み聞かせやクラフト等絵本の家の活動に関わる多くの市民ボランティアの皆様、職員の皆様の想いが、来館される皆様にとって、「星と森と絵本の家」のそれぞれの魅力とそれぞれにとって有益な機能の発見と創造の場になっているのだと思います。
今年も改めて、三鷹市長時代に、国立天文台の皆様との丁寧な協働によって、「星と森と絵本の家」をつくってよかったと心から思いなおしています。