中央教育審議会生涯学習分科会長としてリカレント教育の審議に入りました
7月10日(月)文部科学省中央教育審議会生涯学習分科会の第125回の会議に出席しました。
4月19日に開催された第12期の初回の会議で、分科会長に選任されました。副分科会長の萩原 なつ子さん(独立行政法人国立女性教育会館理事長)と牧野篤さん(東京大学大学院教育学科研究科教授)とご一緒に、今期の生涯学習分科会の審議を活発に進めていきたいと話し合っています。
当日は文部科学省の会議室での参加とオンライン参加によるハイブリッド開催でした。
議案は「リカレント教育の推進について」で、今期に検討すべき重要な課題として位置づけているテーマとして、最初の本格的な検討に入りました。
「リカレント教育」とは、「職業人を中心とした社会人に対して学校教育の修了後、いったん社会に出た後に行われる教育のこと」です。
最近使用されることが目立つ「リスキリング」の概念は、「新しい職業に就くために、或いは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に対応するために、必要なスキルを獲得する/させること」とされています。
前期の生涯学習分科会の「議論の整理」では、「『リカレント教育』とは、『リスキリング』を包含する概念であることから、『リスキリング』と同様の範囲をさす場合にも「リカレント教育」が使用されることがある。また、職業とは直接的に結びつかない技術や教養等に関する学び直しも含む広義の意味で使用されることもある」としています。
当日の会議では、初めて「リカレント教育」について審議する会議であったことから、最初に、文部科学省生涯学習推進課が準備した「リカレント教育に関する参考資料」を共有しました。
内容は「リカレント教育の現状」、「直近の中央教育審議会における議論」、「直近の政府の動向」、「文部科学省におけるリカレント教育の取組み」、「採用と大学教育の未来に関する産学協議会2022年度報告書概要」、です。
その後、小路明善委員(日本経済団体連合会副会長)から「経済から見たリカレント教育の重要性:について、金子晃浩委員(日本労働組合総連合会副会長)から「連合におけるリカレント教育に関する考え方」について話題提供をしていただきました。
まさに、労使双方からリカレント教育についての方針や認識している課題等について話題提供をしていただきましたところ、それぞれの委員への質疑応答と触発された意見表明が多くの委員から提起されました。
リカレント教育の必要性や意義については、生涯学習の保障、学びと仕事の好循環、主体的キャリア形成、人的成長投資、雇用のセーフティネット、雇用文化を変える、学び直し、学び加え、学び合い、評価や処遇との関係などなど、多くの視点・論点が共有されました。
同時に、大企業と中小企業・零細企業におけるリカレント教育に関する取組みに格差はないのか、大学等の知的拠点の立地など大都市とその他の地域に格差はないのか、リカレント教育の成果を企業内での処遇にどう反映するか、リカレント教育と雇用の流動性との関係など、多くの検討すべき課題も提起されました。
私は、皆様のご意見をお聞きしていて、大学分科会で審議するリカレント教育と、生涯学習分科会で審議するリカレント教育には、視点の違いがあると考えるので、それぞれの検討を深めつつ、相互に共有し、理解し、検討を深めていくことの必要性を話しました。
関連して、本分科会の主管は総合教育政策局ですが、その日は藤江局長のお声がけで、池田高等教育局長も会議に出席していました。
私が両局長にコメントをお願いしたところ、藤江局長も池田局長も
「文科省内での総合教育政策局と高等教育局の連携はもちろんのこと、他府省庁とも連携して臨んでいきたい」
と話されました。
「リカレント教育の推進」についての審議の初回を終えて、改めて、「人々が人生のいつの時でも、学びたい思いを尊重し学べる環境を保障すること」は重要な生涯学習分科会のテーマであることを確認しました。