総務省行政評価局を訪問し、菅原局長、原嶋審議官らと対話しました
総務省では7月7日付で、事務次官に前総務審議官の内藤尚志さんの就任をはじめとする人事異動がありました。
私が三鷹市長退任後の2019年6月からアドバイザーを務めている行政評価局でも、局長をはじめ異動がありました。
そこで、先日、総務省を訪ねて、この間私が行政評価局の調査研究について協力する際にコーディネートしてくださっている、元企画課長、元大臣官房審議官の佐々木淳様のご案内で、行政評価局の新局長の菅原希様、行政評価局担当大臣官房審議官に就任された原嶋清次様、総務課長に就任された渡邉浩之様、企画課長に就任された渡邉洋平様と懇談しました。
菅原局長は大学卒業後、旧総務庁に入庁され、行政評価局政策評価課長と行政相談課長を兼務されたり、最近ではデジタル庁発足時に省庁業務サービスグループの次長を務められ、直前はデジタル庁統括官付審議官でした。
原嶋審議官は公文書監理室長、行政相談企画課長、行政評価局総務課長、大臣官房政策評価広報課長、政策立案支援室長などを歴任され、かねてより面識があります。
総務課長も企画課長も「渡邉さん」で、混同するといけないのでファーストネームで呼ばせていただくことにしました。
さて、行政評価局は、総務省に設置されているので、総務省の1つの局ではありますが、その所管には大きな特徴があります。
すなわち、行政評価局は、「政府内にあって、施策や事業の実施等を直接担当する各府省と異なる立場から、【行政運営改善調査】【政策評価推進】【行政相談】の任務を果たすことが求められているのです。
【行政運営改善調査】とは、各府省にまたがる政策や各府省の業務の実施状況について、全国規模の実地調査をすることにより、政策効果や各府省の業務運営上の課題等を実証的に把握・分析し、改善方策の提示等を行うことです。
【政策評価推進】とは、政策評価に関する基本的事項の企画立案、各府省の政策評価の点検等により、政府における政策評価の的確な実施を推進するものです。
【行政相談】とは、行政相談員等を通じて、国民から国の行政全般に関する苦情等を受け付け、関機関等へのあっせん等により、個々の苦情の解決や行政の制度及び運営の改善を図るものです。
この間の行政評価局の責務に関する動向で特に注目したいのは、同局を事務局とする「政策評価審議会(会長:岡素之住友商事株式会社特別顧問・会長代理:森田朗東京大学名誉教授)」が、令和4(2022)年6月に当時の金子総務大臣から「デジタル時代にふさわしい政策形成・評価の実現のための具体的方策」について諮問を受け、12月に「政策評価審議会答申~政策評価をより政策の見直し・改善に反映させるために~」を答申していることです。
答申は4頁に渡って以下のような構成で成り立っています。
1.はじめに
・効果検証及びデジタル技術活用の重要性
・効果検証に注力するための政策評価制度のアップデート
2.具体的方策
(1)効果検証の取組の推進
(2)政策の特性に応じた評価を推進するための制度運用の柔軟性
(3)政策の企画立案のプロセスの中で行われる分析の充実
(4)評価関連作業の重複排除による事務負担の軽減
3.今後に向けて
(略)行政評価局が各府省における「試行錯誤」を中長期的に伴走者として支援しながら、知見やノウハウの蓄積・共有を進め、政策評価制度の更なる改善に不断に取組むとともに、同局自身が行う評価(行政運営改善調査)においても、効果検証の視点や技術を積極的に活用するとともに、個別施策の議論では見えにくい分野横断的な課題を取り上げて問題提起を行うなど、政策の見直し・改善により一層つながるものとなるよう、引き続き取組を進めていくことを期待する(略)。
この答申とともに、審議会の岡素之会長が「談話」を公表しています。その内容には今回の答申の主旨が明快に説明されていますので、特に最後の部分を紹介します。
「これまでの政策評価制度は、説明責任に重きを置き、「きちんと出来ているか」を説明させる「監督者の視点」が強いものでした。今回の見直しは、「何がボトルネックとなっていて、どうすれば改善するのか」といった「政策立案者の視点」の抜本的な転換であり、評価を実施する各省にとっても、制度官庁の行政評価局にとっても、前例のない新たなチャレンジです。各省はこうしたチャレンジに全力に取組めるように、今回の見直しの機会を活用して、既存の評価関連作業の重複排除による負担軽減をあわせて行ってもらえればと思います。また、行政評価局が単なる制度監督者としてではなく、各省のアドバイザーとなって、各省とともに政策の質の向上にチャレンジしていくことを望み、当審議会としてもそのチャレンジを後押ししてまいります。」
今回の、菅原希局長や原嶋官房審議官とは、この答申を踏まえて、いよいよ行政評価局の取組みが一つの転換期・ターニングポイントを迎えていることについての共通認識を確認しました。
特に、私が主として担当させていただいているのは【行政運営改善調査】ですので、各府省のよりよい政策形成に向けた「伴走者」の視点を大切にした、有益な調査研究について、自治体行政経験者として積極的に協力していきたいとの想いを新たにしました。
国の政策の受益者は国民・市民・住民であり、その視点を重視するとともに、政策実現の現場である自治体の視点も踏まえた「政策立案者」の取組みが生かされることが何より大切です。