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京都大学企画部長兼プロボスト室長の川村匡さんと面談しました

京都大学企画部長兼プロボスト室長の川村匡さんと面談しました

先日、京都大学を訪問して、企画部長兼プロボストオフィス室長の川村匡(ただし)さんと面談しました。
川村さんは、文部科学省で給付型奨学金や私学行政、学習指導要領などを担当された後、京都の文化庁で働かれて、2022年4月に文部科学省総合教育政策局政策課の教育企画調整官に着任されました。
そして、今年の7月1日に国立大学法人京都大学の現在の部署に異動されたのです。

私は文部科学省の中央教育審議会の委員を務めており、今年の3月までの第11期においては、令和4年2月7日に当時の末松信介文部科学大臣から「次期教育振興基本計画の策定について」の諮問があり、その審議のために「教育振興基本計画部会」が設置されました。3月22日に第1回の部会が開催され、部会長には第11期の中央教育審議会の渡邉光一郎会長が務められ、生涯学習分科会長である私は永田恭介大学分科会長とともに、副部会長をつとめることになりました。
そして、昨年の4月以降、今年の3月の答申に向けて、本格的な審議を開始しようとする際に、主としてこの部会の担当として着任したのが川村さんだったのです。
川村さんは、就任直後に部会の各委員と対面であるいはオンラインで面会して、次期教育振興基本計画に向けた委員の問題意識を確認し、会議の進め方などについて意見交換をしました。
私の場合は4月18日に対面で最初に対話をしました。私は、生涯学習分会長であるとともに、初等中等教育分科会及び大学分科会法科大学院等特別委員会の委員として、教育振興計画が各教育分野について総合的で共通する指針を示すとともに、特にデジタル化が進む現状において、学修者本位の学びを各教育分野が連携して保障できるように提案してきたい旨を話しました。
それとともに、構成員の人数が30名ということなので、なかなか会議で全員が均等に発言する機会を得られにくいことから、可能であれば、事前の議案や資料の説明の機会を設けていただき、本会議においては極力資料説明の時間を短縮して意見交換に時間を活用してはいかがかと提案しました。
すると、早速に会議の前の複数の日のそれぞれ午前と午後の複数回のオンラインでの事前説明を開始されました。
昨年はまだコロナ禍にありましたので、部会は原則としてオンラインで開催されましたが、事前説明は複数回に分けて開かれたので、参加者は数名ずつでしたことから、この事前説明を通して委員の皆様の質疑や意見の表明を通して、委員同士が知り合うことができました。
そして、部会での資料の説明時間は最小限にされましたので、委員の皆様の発言時間を多くとることができました。

川村さんが教育企画調整官に着任されて2022年5月以降、部会の審議は本格化し、2023年2月の最終回まで、合計で14回の部会と2回に分けた「次期教育振興基本計画の策定に向けた審議経過報告に関する関係団体ヒアリング」での審議が重ねられました。
また、12月10日(土)には、内閣府において、子供・若者に関する施策をより充実させるとともに、子供・若者の社会参加を高めるため、小学校5年生から20代の方々を公募し、政策に対する意見を把握・活用するために取組んでいる「ユース政策モニター」の協力を得て、「ユースラウンドテーブル」をオンラインで実施し、私も参加しました。テーマは、「どんな学校になってほしい?みんなで考がえよう!~次期教育振興基本計画策定に向けて~」ということで、①今の学校で楽しいと感じていること、悩んでいることのエピソード、②これからの学校教育で大切にすべきことについて、23 名(小学生5名、中学生 11 名、高校生5名、大学生・大学院2名)のユース政策モニターが参加してくれて、私も直接参加者の皆様の体験や意見を聴くことができました。2023年4月1日からは「こども基本法」が施行され、国や自治体においてはこどもたちに関することについてこどもたちの意見を聴くことは義務となりますが、その法施行前に、教育振興基本計画策定の過程でこども若者の意見を聴けたことは有意義でした。
こうして、教育振興基本計画の答申案は2月16日の部会で承認され、3月8日の中央教育審議会総会で承認され、永岡文部科学大臣に提出されました。
そして、6月16日、この答申をおおむね反映して、「教育振興基本計画」が無事に閣議決定されたのです。

9月25日の中央教育審議会では、盛山正仁文部科学大臣から「急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について」の諮問がありました。それとともに、総合教育政策局政策課が作成した「教育振興基本計画」のパンフレットが配布されました。政策課で教育振興基本計画及び総会を担当されている沼澤綾子さんに伺いますと、この総会での配布を皮切りに全国に配布したいと作成されたそうです。
そのパンフレットはビジュアルでカラフルで、大変にわかりやすい内容になっていました。教育振興基本計画は国の法定計画であり、今後、各自治体の地域の実情に合わせた教育計画に反映されるものです。そこで、ぜひ、自治体や保護者、教育関係者はじめ多くの皆様に周知されることが重要であり、このパンフレットは大いに役立つと思います。
そこで、京都大学を訪問して、川村さんにすぐにお見せしたのがこのパンフレットでしたが、すでに政策課の沼澤さんから送付されていた直後で、お互いに改めて今期の教育振興基本計画に関われたことに感謝しつつ、それぞれの立場での今後の計画の実践への想いを確認しました。
それとともに、9月25日に諮問された「急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について」の最前線の1つである京都大学で働いている川村さんとは、大学が直面する課題、特に国立大学が直面する課題とその解決の方向性について対話しました。

さて、今川村さんの職位に示されている「プロボスト」とは何でしょうか? 「プロボスト」とは、言わば「大学のNo.2」という役職で、大学を代表する「学長」あるいは「総長」を補佐し、予算や人事などの権限を持つ役職です。アメリカなどの大学では一般的に設けられていますが、日本では、最近特に注目されるようになり、そのポストを置く大学も増加傾向にあります。大学経営の観点からは、学長が寄付金募集などの対外的な活動に専念できるようにするために、大学の内政的な役割をプロボストに委ねることが多くなっています。すなわち、プロボストは大学のマネジメントに責任を持ち、意思決定の迅速化を図るために置かれているポストです。特に、教員を監督・統率する役割を担い、学長と教員の橋渡しや調整を行う役割です。
京都大学の場合は、2017年9月26日に「国立大学法人京都大学プロボストに関する規程」が制定され、10月1日に現在の総長である湊長廣氏が、理事・副学長当時初めてのプロボストに指名されました。この規定では、「プロボストは、法人及び京都大学の将来構想、組織改革等の包括的又は組織横断的課題について戦略を立案するに当たり、総長、理事又は部局、学系、学域若しくは全学教員部からの要請を受けるとともに、それらの間の連携又は調整を行う。」とされています。
そして、2020年10月1日に総長に就任した湊長廣氏は、戦略調整、企画、学生、環境安全保健担当理事・副学長の村中孝史氏をプロボストに指名し、2022年10月1日からは企画・調整、附属病院担当副学長の岩井一宏氏がプロボストに指名されています。

京都大学はじめ、国立大学はグローバルな視点、ナショナルな視点、ローカルな視点をはじめ多角的な観点から大きな変革を求められています。
川村さんにとっては京都大学は母校であるとのことですので、企画部長兼プロボストオフィス室長としてのこれからのご活躍を願って初秋の京都大学を後にしました。

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