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立教大学大学院「社会デザイン研究科」のアドバイザリーボード会議に出席しました

立教大学大学院「社会デザイン研究科」のアドバイザリーボード会議に出席しました

立教大学大学院「21世紀社会デザイン研究科」のアドバイザリーボード会議に委員として出席しました。
会場は広大な池袋キャンパスの北門近くにある「ライフスナイダー館」1階のレセプションルームです。
「21世紀社会デザイン研究科」は、2002年4月にまずは博士課程前期課程(修士課程)を設置し、2007年4月に博士課程後期課程(博士課程)を設置しています。
この新しい研究科は、「ネットワーク」「非営利組織の経営」そして「危機管理」を研究教育上のキーワードとして、非営利・公共分野にかかわる組織の運営・経営人材を輩出する日本初の社会デザインを中核とするビジネススクールとして設立されたのです。
私は、2021年4月からアドバイザリーボードの委員を務めていますが、就任以来コロナ禍で、一貫してオンライン開催であったことから、この日は初めて対面の会議への参加となりました。

会議では、まず、研究科委員長の長(おさ)有紀枝教授から、研究科運営の現状報告と、2025年以降の展開について、以下のような報告がありました。
●2024年4月1日より「社会デザイン研究科」に名称を変更し、従来の「比較組織ネットワーク学専攻」を新たに「社会デザイン学専攻」とする。
●引き続き遠隔地からの履修学生に向けて、原則として対面とオンラインのハイブリッドによる「ハイフレックス型の授業」を実施する。
●社会人の志願者に向けた広報の充実。
●社会人教育の重要性の発信強化のために、進学相談会の充実、模擬授業の実施。
●指定法人推薦制度の被推薦先の拡充
●リカレント教育の重要性が社会的に唱えられる中、「スキル重視」ではない社会人大学院の在り方についての検討、など。

次に、倉本由紀子教授から、2021年9月に開設された「公共・社会デザイン学コース(MSDA)」について報告がありました。このコースは、学生はすべての授業を英語で受講し、修士論文の作成を前提としたコースです。
JICA-SDGs等の奨学生、一般入試による学生、ダブルディグリープログラムの学生で構成されているコースで、昨年9月に初めての修了生を7人輩出したそうです。
続いて長坂俊成教授から、2008年10月に研究科附置研究所として設立された「社会デザイン研究所」の取組みについて報告がありました。
①離島地域のデザイン、②伝統文化・アートの社会デザイン力・社会包摂力、③大規模自然災害及び戦争・紛争・重大な人権侵害による大量・多数遺体の処置に関する研究、④社会デザイン学の未来に向けたテキスト作成、など、研究テーマは大変にユニークです。
アドバイザリーボード会議の委員は、下記の3名の方と私です。
〇阿南 久さん:元・消費者庁長官、株式会社ジーネクスト社外取締役、一般社団法人 消費者市民社会をつくる会 代表理事、(公財)横浜市消費者協会 理事長、NPO法人消費者スマイル基金 理事、市民生活協同組合ならコープ理事。
〇谷本 有香さん:Forbes JAPAN 執行役員 Web編集長。証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカー後、米MBA取得。日経CNBCキャスター、同社初女性コメンテーター。オードリー・タン台湾デジタル担当大臣、トニー・ブレア元英首相等、3,000人超に取材。2022年1月1日より本研究科の兼任講師も務める
〇御厨 貴さん:東京大学名誉教授。東京大学先端科学技術研究センターフェロー、放送大学客員教授、サントリーホールディングス株式会社取締役、ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長兼戦略センター長、創発プラットフォーム評議員会議長兼上席顧問。
この日は、御厨さんはご欠席でしたので、委員はすべて女性となりました。
大学院の取組みと課題を伺って、3名の委員はそれぞれにコメントをしました。

私が印象に残ったのは、阿南さんが自己紹介の中で話された、3代目の消費者庁長官に就任された時に、消費者庁設立の理念を、組織として具体化する際に職員の皆さんと「チーム阿南」を構成して、組織を横割りに、そして前向きに構築する方向でガバナンスを進められたご経験です。その取組みは、まさに、「社会デザイン」であると受け止めました。
また、グローバルに活躍されている谷本さんは、実は三鷹市生まれの三鷹市育ちということで、市立第三小学校のご出身でもあることを知って、前三鷹市長としてとても嬉しくなりました。
谷本さんは、若い世代の思考の変化を直視する時、まさに「社会デザイン」の必要性を痛感されると語ります。経済誌も、「利益追求」ではなくむしろ「社会的インパクト」への注目が不可欠と認識されています。

こうして、お二人のコメントには、社会経済状況が大きく変革する現在の状況をしっかりと見据えて、今を生きる人々の実存について、経済的価値だけでは説明できない、社会的、精神的、心理的価値をいかに見出し、諸課題を解決する在り方を追求していくかと言う共通の問題意識があったように思います。
お二人とはこれまではオンライン会議では出会っていたのですが、この日の対面でのコミュニケーションによって、意見交換に深い相互理解がもたらされたように思います。
また、私は、「公共・社会デザイン学コース(MSDA)」を受講している海外からの多国籍の修了生による国際的な同窓会ネットワークができることを期待したいと発言しました。

こうした私たち委員のコメントに対する長研究科長はじめ教員の皆様の対応には、4月に「21世紀」をとって「社会デザイン研究科」へと名称を新たにされる力強い意欲を感じました。
この日の会議では、3名の委員と11名の教員の皆様とによる、和やかなうちにも、それぞれの問題意識に基づいた「社会デザイン」をキーワードにした幅広い話題に花が咲き、私は多くのことを学びました。

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