エントリー

杏林大学保健学部長の田口晴彦教授と対話しました

杏林大学保健学部長の田口晴彦教授と対話しました

私が客員教授をつとめている杏林大学は、医学部、保健学部、総合政策学部、外国語学部の4学部からなる総合大学です。
今年の4月1日より、杏林大学の保健学部長に、田口晴彦教授が就任されました。
年度当初のご多用の中、私は保健学部が所在する【杏林大学井の頭キャンパス】で、田口先生との対話の時間をいただきました。

田口先生は、医学博士で、1981年杏林大学医学部助手(微生物学教室)、1993年杏林大学医学部学内講師(微生物学教室)を務められた後に、1996年杏林大学医学部講師(微生物学教室)に就任されました。
講師に就任された際、当時の小林学部長のお勧めがあり、アフリカで感染症の研究に臨むことになりました。
なぜなら、田口先生は感染症の研究者として、日本では発症例のない感染症についても研究し、授業で教えていたわけですが、小林学部長は、まずは感染症対策の重要な現場の1つであるアフリカのケニアで現地研究することを勧められたのです。
田口先生がアフリカ行きを決定された後、なんと約1年間をかけて、ケニアに長期滞在するために必要な各種感染症の予防接種を多数受けることになったそうです。
ある生ワクチンを接種してから、別のワクチンを接種するためには一定の期間を開ける必要があることなどから、1年間かかったというわけです。
そして、1997年から約2年間、ODAの【ケニア感染症研究対策プロジェクト】に感染症専門家として、長期派遣されました。
その後、カンボジアにも派遣されて、研究を重ねられました。
予防接種の効果があり、幸い、先生は感染症には感染せずに感染症専門家としての経験を積まれることができたとのことです。

帰国後、2004年に杏林大学医学部助教授(感染症学講座)となり、2007年には杏林大学保健学部教授(免疫学)に就任されたのです。
田口先生は、特に、最近日本でも課題になっている【マイコプラズマ肺炎】の発症病理に関する研究、【抗微生物薬の免疫調節活性】に関する研究、【プロバイオティクスの免疫系への影響】に関する研究を進められており、日本感染症学会や日本マイコプラズマ学会で評議員をされています。
そして、田口先生は、研究と教育に携わるとともに、保健学部の学生課長を2期務められたのち、保健学部教務部長を昨年度まで4期務めてこられました。
教務部長として直面したのが、【コロナ禍への対応】です。
研究者としての専門が感染症学・免疫学でいらっしゃいますから、保健学部だけでなく大学全体の授業の安全性確保について、積極的に取組まれました。
保健学部は医学部とともに、実習が重要なカリキュラムになっていますので、学生と教員の健康を確保しながら、適切に実習を含む授業を保障していくかに、熱心に取り組んで来られました。
田口先生は、コロナ禍の数年を振り返る時に、感染症予防のために入学式や卒業式を挙行できなかったことが、本当に残念であったと語ります。
そして、高校生時代に入学式や卒業式、修学旅行などを従来のように経験できなかったであろう今年の新入生を迎えて、新学部長として、対面の入学式に参加した時は、大いに感動したと話してくださいました。

また、田口先生は、感染症学を専門とする過程で、臨床検査の重要性と医師としての診断経験の重要性の両方を重視されています。
私は、三鷹市長として「EBPM(Evidence・Based・Policy・Making:エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)」を重視してきました。
すなわち、政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすることです。加えて、政策効果の測定に重要な関連を持つ情報や統計等のデータを活用する取組です。
田口先生の場合は「EBM(Evidence Based Medicine:エビデンス・ベースト・メディスン)」が大事と話されます。すなわち、 根拠のあるデータ(evidence)に基づいた治療が重要であるということですが、もちろん、医師には患者の負担を考慮しつつ、どの検査データを集めるべきかの判断や、集めたデータを的確に判断できる力量が必要です。

田口先生との対話は、時間の経つのを忘れるほど弾みました。
医学部卒業生が取得できるのは医師国家資格ですが、保健学部の学びで取得できる国家資格としては、看護師、助産師、保健師、臨床検査技師、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、救急救命士、臨床工学技士など、多様な資格があり、それぞれ新卒で90%以上から100%の合格率が示されています。
新型コロナウィルスに限らず、感染症は、国際的にも重要な課題です。
こうした中にあって、田口学部長はじめ多様で多数の教員の皆様のご指導により、保健学部の学生の皆様の学びの充実によって、社会における健康の確保と充実が進みますことを願わずにはいられません。

ユーティリティ

記事検索Entry Search

Search
キーワード

過去ログArchives

RSS Feed