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中央教育審議会大学分科会「高等教育の在り方特別部会」で「第12期生涯学習分科会の議論のまとめ」を報告しました

中央教育審議会大学分科会「高等教育の在り方特別部会」で「第12期生涯学習分科会の議論のまとめ」を報告しました

5月24日、【文部科学省中央教育審議会生涯学習分科会(第131回)】が開催され、分科会長として『第12期生涯学習分科会における議論のまとめ』について最終的なとりまとめに向けて議論を行いました。
委員の皆様と最後の磨きをかけるような積極的な意見交換が行われ、正副分科会長が提案した副題の「一人ひとりが主体的に学び続ける生涯学習とそれを支える社会教育の未来への展開:リカレント教育の推進と社会教育人材の養成活躍のあり方」を含めて、分科会長として当日の委員の皆様の意見を反映して最終的にとりまとめることとなりました。
会議終了時に総合教育政策局の望月局長からこれまでの間の審議に感謝の言葉が述べられました。

そして、5月31日には、中央教育審議会大学分科会に設置されている「高等教育の在り方特別部会(部会長:永田恭介・筑波大学長)」で、第12期生涯学習分科会における審議における、高等教育と関連する内容について、分科会長として報告する機会がありました。事務局である生涯学習推進課の石橋課長が同席してくれました。
私は、昨年9月、中央教育審議会総会で『急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について』の諮問がなされた際に、私は「本諮問に向けた答申の取りまとめにおいて生涯学習分科会での議論が貢献できるのではないか、ぜひ貢献したい」と申しましたので。それが少しでも実現できれば幸いと思って臨みました。

報告の概要は以下の通りです。
●生涯学習分科会では界各分野からの23名の委員の皆様と、委員による発表、放送大学や専門学校、日本語学校等幅広い分野の方に事例報告をいただき、活発で有意義な意見交換を行ってきました。
分科会では昨年6月に閣議決定された『第4期教育振興基本計画』及び『第11期の分科会の議論の整理~全ての人のウェルビーイングを実現する、共に学び支えあう生涯学習・社会教育に向けて~』を踏まえ、特に「リカレント教育」と「社会教育人材のあり方」の2つのテーマについて重点的に取りまとめました。
●「生涯学習をめぐる状況と目指すべき姿」について、「人生100年時代が到来し、精神的な豊かさに重きを置くウェルビーイングを目指し、誰もが生涯を通じて意欲的に楽しく学び続けられる社会」、「デジタルの力で誰一人取り残されない社会を実現する」、「社会的包摂への対応の観点から学習ニーズの把握に加え、社会的に制約のある方々が学びを提供する側にもなりうる」ことなどを示しました。
●社会教育の担い手である社会教育主事の養成課程を持つ大学は114校、社会教育士講習を委託・委嘱する大学は17校と、約130の大学が担っています。地域コミュニティの基盤を支える上で、社会教育との連携を重視する行政分野が広がり、担い手も多様化する中で、大学を中心に養成される社会教育人材には、引き続き大きな役割が期待されます。
●「社会人のリカレント教育」については、【企業の視点】経営にあたって「人的成長投資」が今まで以上に重要であり、高等教育機関と企業の協力により社員の成長の機会を提供しつつ、その学び直しの成果に対して高い評価と処遇で対応する必要があることが認識されています。
【学習をする社会人の視点】からは、それぞれが主体的にキャリアを形成・選択することが必要であり、それを保障することによって、各自の幸福や生きがいにつなげることの重要性が認識されています。
【高等教育機関に求められる役割】については、企業と社会人のニーズを的確に把握した有意義で魅力的な教育プログラムの開発と、「学びと成長のエコシステム」の構築が急務と言えます。また、高等教育機関が持つ「地域社会の知の基盤」としての役割がその意義を高めていることを確認しました。
参考として、文部科学省が取り組んでいる、大学による「産学連携」と「地域連携」を進めるための2つの事業についても紹介しました。

そして今期の分科会での審議を通じて、社会教育を必要とする社会情勢は社会教育法が制定された昭和24(1949)年から大きく様変わりしていることの認識が共有されてきていることから、今後の生涯学習と社会教育をめぐる課題として、①社会教育の新たな在り方、②社会教育が国民の生涯学習や地域コミュニティの課題解決に果たしている役割、③社会教育の担い手である人材とその活躍の場の確保、④自治体と国の推進方策の在り方などについて、さらなる検討を進める必要があることを提起しました。

その上で、生涯学習分科会の審議では、高等教育は生涯学習、リカレント教育及び社会教育人材養成を支え、そのことを通して、地域社会そのものを支えていることが再確認されてきたこと、少子長寿化による人口減少が進行する中にあって、特に地方大学の果たすリカレント教育や社会教育人材養成の機能の意義は重要であることから、今後の高等教育の在り方についてのご提案の中に、【生涯学習・リカレント教育・社会教育人材養成を支え、地域社会を支える高等教育の意義】を含めた答申をまとめていただくことをお願いしました。

報告後には永田部会長の進行で、委員の皆様から高等教育機関と自治体との関係、地域と高等教育を結ぶコーディネーター役割の重要性などに関する質疑があり回答しました。
次に、「今後の高等教育の在り方」についての審議として高橋陽一:私立大学通信教育協会理事長、井上雅裕:慶應義塾大学特任教授・日本工学教育協会理事からのヒアリング及び大野博之委員:国際大学埼玉短期大学長からの発表がありました。
そして、「中間とりまとめ(素案)」についての意見交換がありました。
その中でも、高等教育と地域社会・自治体との連携の必要性、それを適切に有効にコーディネートする人財の必要性についての検討の中で、私にも改めての質問をいただきました。

中間とりまとめに向けた議論が進む過程で、生涯学習分科会の議論について報告できたことは本当にタイムリーであり、有意義であったと感謝します。
今後の「高等教育の在り方特別部会」に、生涯学習分科会長としてだけでなく、大学人の一人として、引き続き注目していきたいと思います。

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