エントリー

総務省自治行政局長の山野謙さん(当時:現在は復興庁統括官)と地方自治について対話しました

総務省自治行政局長の山野謙さん(当時:現在は復興庁統括官)と地方自治について対話しました

6月のある日、総務省自治行政局長の山野謙さん(当時:現在は復興庁統括官)を訪問して対話しました。

総務省は大臣官房をはじめとして、【行政管理局】【行政評価局】【自治行政局】【自治財政局】【自治税務局】というように、国の行政に加えて、地方自治体の行政に関する局が組織されています。
私は大学教員時代から三鷹市長在任中を通じて、旧自治省の時代から、【自治行政局】【自治財政局】【自治税務局】の研究会に所属して、地方自治に関わる諸課題の研究調査に参画してきました。
そして、三鷹市長退任直後から【行政評価局】の調査研究に協力するアドバイザーを務めています。
総務省には【国際戦略局】【情報流通行政局】【総合通信基盤局】といった情報通信を所管する局がありますが、20世紀から「利用者起点の情報通信政策」を研究課題としていた私は、ニューメディア、マルチメディア、放送と通信の融合の時代を経過する中にあって【情報通信審議会】などの委員を務めてきました。
そして、【統計局】【政策統括官】の部門との関係では、三鷹市長在任中から現在に至るまで【統計委員会】の委員を務めています。
特に、自治体の行政に関する行政課、住民制度課、市町村課、地域政策課、地域自立応援課、公務員部、選挙部を所管する【自治行政局】の歴代局長さんとは対話の機会を重ねてきました。

この日も、市長経験者として、こども家庭庁で主として自治体連携担当の参与を務めている立場から、山野局長との対話が弾みました。
山野局長は、旧自治省に入省直後に京都府地方課に勤務して以降、新潟県庁には財政課長をはじめ6年、青森県企画部次長、鳥取県米子市副市長、大阪府副知事というように、自治省・総務省での業務に加えて、合計すると10数年の長期にわたり、自治体での行政経験を重ねてこられました。
その経験を踏まえつつ、総務省で自治体との連携や支援の取組みをされています。
他の法案と比べて報道の量が少ないようですが、令和6(2024)年第213回国会では、内閣提出法案として「地方自治法改正案」が審議されており、5月30日に衆議院で賛成多数で可決され、今後は参議院での審議が深まる段階です。
この改正案は、「自治体の運営の合理化及び適正化並びに持続可能な地域社会の形成を図るとともに、大規模な災害、感染症のまん延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と自治体との関係を明確化するため、地方制度調査会の答申にのっとり、公金の収納事務のデジタル化及び情報システムの適正な利用等のための規定の整備を行うとともに、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方公共団体との関係等の特例の創設、地域の多様な主体の連携及び協働を推進するための制度の創設等の措置を講ずるほか、所要の規定の整備を行う」ものです。
まさに、国民・住民の安全確保に向けた国と自治体の連携に関する法改正であり、もっと国民・住民が注目しなければならない内容です。

そこで、全国知事会では本法案が今年の3月1日に閣議決定された際、下記のような表明を公表しています。
「本改正案は、第33次地方制度調査会の答申を踏まえ、公金収納事務のデジタル化などDXの進展を踏まえた対応や地域の多様な主体の連携及び協働の推進、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例に係る規定を整備するものである。とりわけ、国の地方公共団体に対する補充的な指示については、新型コロナ対応等で直面した課題を踏まえ、今後も起こりうる想定外の事態に万全を期す観点から、その必要性は理解するものの、憲法で保障された地方自治の本旨や地方分権改革により実現した国と地方の対等な関係が損なわれるおそれもある。そのため、全国知事会として、事前に地方公共団体と十分な協議・調整を行うことや目的達成のために必要最小限度の範囲とすることなどを法案に明記するよう重ねて政府に要請してきた。この結果、本法律案では、国の補充的な指示について、国と地方公共団体との関係の特例と位置づけられ、必要な限度において行使することやあらかじめ適切な状況把握や講ずべき措置の検討のために地方公共団体に意見等を求めるなど適切な措置を講ずるよう努めなければならないことが規定されており、我々の要請に対して一定の配慮がなされたことは評価したい。」と。
その上で、今後、「事前に適切な協議・調整を行う運用の明確化などが図られるよう強く求める。」としています。
地方自治法の改正案は、感染症のまん延や大規模な災害など国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合に、個別の法律に規定がなくても、国が自治体に必要な指示ができるとした特例を盛り込んでいます。
指示を行う際はあらかじめ、国が自治体に意見の提出を求める努力をしなければならないとしています。
改正案をめぐっては、衆議院総務委員会で、国の指示が適切だったか、検証する必要があるとして、国会への事後報告を義務づける規定を設ける修正が行われました。

また、地方自治法の改正案には、サイバー攻撃や情報漏えいの防止など自治体がサイバーセキュリティを強化することも盛り込まれています。
自治体がサイバーセキュリティを確保するための方針を策定して公表し、必要な措置を講じることを義務づけます。
総務大臣は、自治体が方針を定めるのに参考となる指針を示すとしています。
このほかデジタル化の推進の一環として、自治体共通のQRコードを使って地方税を納付する「eLTAX」を活用し、国民年金保険料なども納付できるようにすることが盛り込まれています。
人口が減少する中で、地域住民の生活を支えていくために、市町村が自治会連合会や社会福祉協議会など地域で活動する団体を「指定地域共同活動団体」として指定し、必要な支援を行うことも盛り込まれています
突然のコロナ禍や、頻発する震災・風水害による被害に直面している日本にあって、各自治体の住民の生命を守る取組みが極めて重要になっています。
加えて、人口減少時代を迎えて、地域コミュニティの共助の在り方が改めて問われています。

この日、山野局長とは、共に自治体行政に参画してきた経験を踏まえて、変動する社会経済状況を踏まえつつも、何よりも「住民本位」の謙虚な、しかし、創造的な自治体経営の必要性を共感しました。
今後も、国民・住民の声を伝えあう対話の機会を重ねていきたいと思います。

ユーティリティ

記事検索Entry Search

Search
キーワード

過去ログArchives

RSS Feed