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総務省統計委員会の第2回デジタル部会を部会長として進行しました

総務省統計委員会の第2回デジタル部会を部会長として進行しました

私が委員として参画している【総務省統計委員会】には、今期初めて【デジタル部会】が設置され、私は部会長をつとめています。
このたび、第2回の会議が開催されました。
第1回会議でデジタル部会が調査研究すべき課題について意見交換をした際、統計で把握すべき対象としての【#デジタル経済】の重要性が共有されました。
そこで、第2回の部会では、【デジタル経済と統計】をテーマにしたのです。

統計の対象としての【経済のデジタル化】については、従来は【お金とモノの交換】といった
【Point of Sales】で捉えてきていますが、デジタル化が進行する時代にあっては、民間では特に【ポイント・オブ・ユース】、つまりどう使っているかを把握することが進められています。
また、【電子商取引】については、物販、サービス、提供と幅広く、国内外の取引を含めてボーダレス化している分野が多いので、公的統計において把握すべき【電子商取引】の定義についても検討課題です。
このように、公的統計においてどのデータをどこまで把握することが必要であり、適切であるかが論点です。
加えて、データに係る【価値の把握】も大事なポイントです。
データをどのように扱うかというのは、企業によって考え方が違うと想定されるので、部会においては、今後有識者や企業にヒアリングを行う機会を設けて、それらを参考に有意義な指標を検討することにしています。

この日は、金沢学院大学の長谷川秀司教授から『デジタルエコノミーの統計的把握に関する国際的動向と課題-デジタルSUTの推計を中心に』というテーマで、オンラインで報告していただきました。
長谷川先生は、最近の【国際機関や欧米諸国でデジタルエコノミーを測定する枠組みの議論】、たとえば、2019年にOECDが【デジタル供給・使用表(SUT)】の概念的枠組み(ガイドライン)
を提案して、主要国で作成した際に、日本では内閣府で対応しましたが、その取組みに参画されていました。
そのご経験を踏まえて、「デジタルSUTは、統計作成者の実務的可能性とユーザーの多様なニーズを反映してデジタルエコノミーの全体的な構造を把握を目指しており、デジタル変革(DX)の主要な特性に関わる生産物及び産業の分類・部門、生産境界外の生産物を設定するということです。
さらに、【生産物・産業の供給・使用構造】のみならず、【注文及び配信・配達の取引形態】を要素として織り込んだとのことです。
しかしながら、デジタル経済の実態を可能なかぎり適切に把握しようとしても、【デジタル産業と非デジタル産業の付加価値率の差の反映】をはじめ【経済構造実態調査の利用】においても、困難があったということです。
いずれにしても、現在、 2025年を目途に策定が予定されている【国民経済計算の新たな国際基準(2025SNA(仮称))策定に向けた国際的な議論に日本は参画しているとのことであり、【デジタル経済】の把握は大きな課題であることを共有しました。

次に、この日の会議室では、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(#JIPDEC)常務理事の山内徹さんから、『組織における文書の電子化又はDXに係る課題』について、同協会の電⼦情報利活⽤研究部の松下尚史さんから『企業アンケートより読み解くDXの経済的影響に関する⼀考』についての報告をしていただき、傾聴しました。
JIPDECは、プライバシーマーク制度や認定個人情報保護団体事務局を務めている団体です。
山内さんは、「紙ベースで当事者間でやり取りをしていた取引文書(見積書、契約書、請求書、領収書等)を電子化したもの」である【電子契約】の現状についての報告を通して、【内向きのDX(社内を対象に業務のデジタル化や従業員体験を向上させるDX)の方が、外向きのDX(顧客や市場に新たな価値を提供するDX)よりも取組が進み成果が出ている企業の割合の方が大きい】との現状の報告があり、共有しました。

松下さんからは、【⽇本は、内向きのDXに該当する項⽬についての成果は⽶国に引けを取らない一方、外向きのDXに該当する項⽬では⽶国の成果に及ばない】という実態報告がありました。
すなわち【物的労働生産性は高いが、付加価値労働生産性が相対的に低い】とのことです。
したがって、 【品質改善の把握】【業務効率化の効果の把握】【業務効率化以外の外部要因の把握】【売上や利益が増加した際の要因把握】などのデータの把握が必要であることを提起されました。

これまで、人間の【生活】は主として【生産】と【消費】で把握されてきましたが、本日の報告を受けて、改めて【注文・配信・配達】や【支払い】方式の多様化の進展をもたらしているデジタル化の中にあっては、【デジタル経済】を的確に把握することなしに、【国民生活】の実態を明らかにできないのではないかと、その課題の持つ複雑さに直面した想いです。
今後の、【国民本位】の視点での【デジタル経済】の把握をはじめとする、統計委員会デジタル部会での丁寧な検討を進めたいと思います。

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