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【絵本の読み聞かせ】から始まる【情報教育】の在り方

【絵本の読み聞かせ】から始まる【情報教育】の在り方

6月25日の中央教育審議会総会で、委員である東京学芸大学大学院教職大学院教授の堀田龍也先生とお久しぶりに再会しました。
堀田先生は、「清原さんは、小学校で絵本の読み聞かせをしているんですって。三鷹市立東台小学校で」と声をかけてくださいました。
私は「はい、その通りです。スクールサポーターとして取り組んでいるんですが、GIGAスクールの時代に絵本についてもこどもたちの多様な反応があって、とても楽しいです。でも、どうして、そのことをご存じなのですか?」と申しますと、
堀田先生は、「とてもよいボランティアですね。実は、東台小学校の大木美香校長とは親しいんですよ」とのことでした。

そして、7月3日、私は東台小学校の1年のあるクラスで絵本の読み聞かせをしました。
この日、読んだのは、「中川李枝子・作、山脇百合子・絵の『ねことらくん』(福音館:1981年月刊『こどものとも』発行・2006年『こどものとも絵本』)です。
主人公の【ゆうじ】が遊んでいると、ねこがやってきて、「ぼくがきみになるから、きみがぼくになれ」としっぽとチョッキを交換します。【ゆうじ】はしっぽをつけて、強い「ねことらくん」に変身して、カラスをびっくりさせ、くまのおばあさんの手伝いをして、うさぎの子どもが風船と共に木にひっかかってしまったのを助けるといった具合に大活躍するお話です。
『ぐりとぐら』などを執筆した中川李枝子さんと山脇百合子さんのコンビの作品です。
実は、私はこどもを産む前から「こどものとも」を毎月購入していて、長女が1980年に生まれて翌年に発行された『ねことらくん』を1歳の娘に読んだところ、大好きとなり、何度も読み聞かせているうちに、文字が読めないのに、絵本をめくりながら内容を内容を暗記して話し出した絵本なのです。
そこで、小学校1年生に読み聞かせをする絵本として、選書しました。
読み終わるとすぐに、「あー、面白かった!」という声が次から次とあがって、読み手としては、本当に嬉しかったです。

読み聞かせの後で、校長室を覗くと、大木校長が在席していましたので、堀田先生と中央教育審議会委員をご一緒していることと、先日の会話を紹介しました。
すると、大木校長の専門は「情報教育」であり、1998年頃、台東区の根岸小学校で教員をしていることから、前任の中野区の小学校での取り組みまで、一貫して「情報教育」の取組みを進めてきているそうです。
そこで、情報教育が専門の堀田教授とのご縁も深まってきているとのことでした。

実は、私は東京工科大学メディア学部教授をしていたころ、文部科学省の『情報教育の手引き』において、「情報活用能力」「批判的視聴能力」など「情報リテラシー」について執筆した経験があります。
私は、「情報活用能力」とは、情報機器の利活用やプログラミング等の能力だけでなく、情報機器を活用して入手した「情報」の真偽を見極め、適切な情報を活用して、それをもとに考察を加え、わかりやすく編集するとともに、犯罪や他者への誹謗中傷に使用しないなど「情報モラル」の醸成を含む総合的な能力を指す概念と認識しています。

また、2017・2018年に告示された『学習指導要領』では,「情報活用能力」は言語能力,問題発見・解決能力と並ぶ「学習の基盤となる資質・能力」の一つと位置付けられ,教科等横断的な視点から教育課程の編成を図り,各学校のカリキュラム・マネジメントの実現を通じて育成することとされています。
すなわち、「各学校においては、児童の発達の段階を考慮し、言語能力、情報活用能力(情報モラ
ルを含む。)、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう、各教科等の特質を生かし、教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとする。」とされています。
まさに、情報社会を生きるうえでの基本的な能力の醸成が求められているのです。

大木校長が、こうした視点から、教科を横断して通底する基本的な能力である「情報活用能力」を培う広義の「情報教育」について実践を重ね研究をされていること、そして、この分野の第一人者である堀田先生と研究活動をご一緒されていることを知り、大変に頼もしく思いました。
児童・生徒に1人1台タブレットの【GIGAスクール構想】が普及し、間もなく機器の更新時期を迎える今、タブレットを使用すれば「情報教育」が実現するわけではないことは明白です。
大木校長の、よりよい授業の実現に向けた広義の「情報教育」の有意義な実現を目指した、「チーム学校」による今後のお取組みに期待したいと思います。

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