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東京都【子供政策連携室】を訪問し、【日本版DBS】について報告しました

東京都【子供政策連携室】を訪問し、【日本版DBS】について報告しました

東京都には、2022年度に「子供政策連携室」が設置され、こども政策を、各局のヨコ連携で推進しようとしています。

さて、6月19日に『学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案(いわゆる性暴力防止法案・日本版DBS法案)が、衆議院に引き続いて、参議院で満場一致で可決されました。
その日の午後、私はこども家庭庁長官官房の岩﨑企画官(当時)と一緒に、「子供政策連携室」の田中愛子室長と山本総合政策部長を訪問しました。
そして、その日に可決されたいわゆる日本版DBS法を中心に説明しました。
この法律制定の趣旨は「こどもを対象にした性暴力が、生涯にわたって回復しがたい重大な影響を与えるとして、学校だけでなく民間の事業者を含め広く、教員や保育などの従事者による性暴力を防止することを義務づける」ものです。

その内容を私なりに以下のように整理して説明しました。
●性暴力を防止する手段のひとつとして、事業者に、特定の性犯罪の前科の有無を確認することを義務付け、違反した場合、公表などの対象にする仕組みが、いわゆる「日本版DBS」:DBS(Disclosure and Barring Service):教育・保育施設等やこどもが活動する場等において働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組み。
●義務となる施設は、学校や認可保育所など、法律上、認可の対象となっている施設であり、児童養護施設や障害児の入所施設、児童発達支援なども義務。
●その他については「認定制度」を設けて、研修や相談体制の整備など、一定の条件をクリアした場合は、前科の確認の対象とする。
たとえば、放課後児童クラブ=いわゆる学童クラブや認可外の保育施設のほか、学習塾やスイミングスクール、ダンスなどの芸能を教えるスクールなど、民間事業者も一定の体制があれば対象となり、認定を受けた事業者は国が公表。
また、派遣や委託、無償のボランティアなどであっても、子どもに接する業務の性質によって対象。
●確認する性犯罪の対象期間
確認する性犯罪は、不同意わいせつなどの刑法犯だけでなく、痴漢や盗撮などの条例違反も含み、性犯罪歴の確認の対象となる期間は最長で20年(拘禁刑で実刑の場合は刑の執行終了から20年、執行猶予の場合は裁判の確定日から10年、罰金刑の場合は 刑の執行終了から10年)
●具体的な性犯罪歴の確認手順
事業者がこども家庭庁に申請、その際に業務に就く予定の人が戸籍情報などの必要書類を提出するなど、本人も関わる。照会した結果、対象の性犯罪歴がなければ「犯罪事実確認書」をそのまま事業者に交付し、犯罪歴があった場合は、まず本人に事前に通知し、2週間以内であれば訂正を請求できるほか、結果を受けて本人が内定を辞退すれば、事業者には犯罪歴が通知されることなく申請が却下される。
●施行は約2年半後とされていることから、今後、国では法律に基づいた適切な手続きについて丁寧に準備を行い、自治体の取組みが円滑に進むようにガイドライン等を作成する予定。

田中室長は直前まで東京都教育庁次長でいらしたことから、この法案には教育現場の視点からも大変に関心をもって注目していました。
そして、本法律の着実な実現には、東京都では子供政策連携室と教育庁・教育委員会の連携が必要であることを認識されていて、大変に心強く思いました。

さて、今年の4月、新たに「子供政策連携室長」に就任された田中室長は、着任直後に、山本総合推進部長、小松企画調整部長、吉川少子化対策担当部長とともに、こども家庭庁の渡辺由美子長官、小宮義之官房長(当時)を訪問されました。
当日、田中室長は2024年2月に策定した『こども未来アクション2024』について、説明をされました。
これは、「子供目線で捉え直した政策の現在地と、子供との対話を通じた継続的なバージョンアップの指針」であると位置づけています。
概要版については、小学生版 / 中高生版も作成しています。
『こども基本法』に規定されているこどもに関することがらについては、こどもの意見を反映する責務を果たすためにこども家庭庁が進める『こども若者意見ぷらす』の取組みと同じように、東京都でも、「令和5年度には、18,000人のこどもから意見を聴き、様々なこどもの声や思いを反映してこども政策のバージョンアップに取り組んでいること、こども基本法が施行され、子供の意見反映のために必要な措置を講ずることが国及び地方公共団体の義務とされたことから、都が取り組んできた子供へのヒアリング事例やそのノウハウを広く共有し、都庁内外で子供との対話を進めるため、『子供へのヒアリングを通じた意見聴取に関する実践事例集』を作成したことなどが報告されました。

こども家庭庁の取組みは、都道府県、市区町村と密接な関係を持っています。
むしろ、多様なこども政策の現場は自治体です。
今後も、それぞれの自治体の政策や具体的な取組みについて国と自治体が相互に情報共有しながら、着実に「こどもまんなか社会づくり」が進められる必要があります。

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