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【誰でも通園制度】を試行している栃木市【認定こども園さくら】を訪問しました

【誰でも通園制度】を試行している栃木市【認定こども園さくら】を訪問しました

栃木県栃木市役所を訪問して、「こども誰でも通園制度」の試行について、自治体の立場からの実態や課題についてお話を伺った後、市のご紹介で、栃木市内で「こども誰でも通園制度」を実施している【認定こども園さくら】と併設されている子育て支援センター【ゆめふうせん】を訪問しました。
まず、園長の堀昌浩さんと【ゆめふうせん】主任の小倉由紀子さんにお話を伺いました。
認定こども園さくらは、今年で開園46年目を迎えています。

さて、2015年に制度化されたのが【子ども子育て支援新制度】です。
これは、幼児期の学校教育や保育、地域の子育て支援の量の拡充や質の向上を進めるための制度です。
この新制度の実施には、消費税率引き上げによる増収分が活用されています。
制度を進めるのは、市町村です。市町村は地域の子育て家庭の状況や、子育て支援へのニーズをしっかり把握し、5年間を計画期間とする「市町村子ども・子育て支援事業計画」をつくります。
都道府県や国は、こうした市町村の取組を制度面、財政面から支えます。
自治体はニーズ調査等に基づき、こどもの年齢や親の就労状況などに応じた多様な支援を用意し、幼稚園や保育所、認定こども園などの職員配置の改善や処遇改善に努めることで、幼児教育・保育の「量」だけでなく「質」の向上を図るものです。
私は、この制度の検討に際して、国が設置した「子ども子育て新制度ワーキング・グループ」「幼保一体化ワーキング・グループ」に市長の立場の構成員として参加しました。
堀園長は、日本保育協会青年部 全国青年部長や保育問題検討委員会委員をされていて、日本保育協会の代表を支える立場から、積極的に参画されていました。
ご縁を感じました。

お話を伺った子育て支援センター【ゆめふうせん】は、保育園や幼稚園に入園されていないこどもについての「子育て相談」「各種イベントへの参加」など情報交換や保護者間ネットワークづくりを支援しています。
【ゆめふうせん】にはロフトがあって、小倉さんに案内していただきました。
天井の低いその場がこどもたちの心を安定させるようで、ちょうど来ていた赤ちゃんも朗らかに笑顔を向けてくれました。
ひたすらかけまわる幼児も少なくないそうです。
園の保育スタイルは、0歳〜2歳の前半までは、育児担当制で一人ひとりの心身の安全と安定確保を図っているとのことで、3歳からはクラス担任制を行い「協同性」「社会性」「協調性」などを身につけるようにしているとのことです。
園内を見学させていただくと「しゅういち先生」というポスターが目に留まりました。
従来の一方通行の要素が強い乳幼児教育・保育の在り方から離れ、先生だけでなく、保護者や地域社会、企業などさまざまな大人との出会いを通してこどもたちが生きる喜びを感じる取組で、多様な人財がこどもたちに新しい世界をしめしているとのことです。
【こども誰でも通園制度】については、認定こども園で保育士2人を増員し、0歳から2歳の子どもを週に1日から2日程度預かっているそうです。
子どもを預かるのは平日の午前9時から午後3時までで、1日最大3人を預かっていて、保護者は育児の相談もできることが歓迎されています。
希望者が定員を超える日が多いという反響があるようです。

堀園長は、2016年から一般社団法人Learning journeyの代表を務められています。
「楽しく自己実現が出来る保育者」の研修を主宰されています。
Learning journey発足の理由は、2002年より日本保育協会の役員を務められて、全国の乳幼児教育機関、各種団体と多く関わるなかで、こどもと保育者や保護者の関わり方について、おたなががこども達に何かを「させる」経験が多いことが気になったそうです。
それが【自己肯定感】を低くしているのではないかと考え、こどもたちの声を傾聴し、自主性、自発的な活動を促す保育者の育成に向けた研修体系をつくられたそうです。

この日は、堀園長のご協力で、【こども誰でも通園制度】をお子さんが利用している5名のお母さんに集まっていただき、生の声をお聴きすることができました。
いずれも、2歳までのお子さんが短時間でも保育を受けることで、こどもが他のこどもや保育者との交流から楽しい時間を過ごしていること、母親はこどもがよい保育を受けていることから、不必要な罪悪感をもたずに通院や介護などに専念できることなどが報告されました。
そして、保育士に相談できることの意義も語られました。
いずれにしても、こどもも、親も、それぞれに有意義な時間を過ごすことができていることや、夫婦二人きりで昼食をとるなど夫婦関係にもよい影響を与えているといった、率直な実感が印象的です。
【こども誰でも通園制度】の利用によって、親子それぞれが活動を充実し、こどもも親も、他者とのよい交流が行われていることの意義は重要です。
また、保育者の目にみえるこどもの個性が、家庭での子育てに与える意義などもわかりました。
こうして、ここでは全てを紹介できませんが、率直な体験や感想をお聴きすることができました。

堀園長は、【だっこママ】構想として、子育てを終えた世代のこども・子育て支援の場での活躍の場を増やしたいと構想しています。
また、土日は子育て支援センターを中高生に公開しているとのことですし、今後は小山工業高等専門学校との協働を具体的に計画されているそうです。
堀園長は、乳幼児を対象にしたこども園や子育て支援センターでの【こどもまんなか】の取組みを基盤としつつ、保護者支援、若者支援、保育士の改革的な専門性の向上、【シュウイチ先生】や子育て終了世代の参加の拡充による【多世代交流】の促進に向けて、今後もユニークな取組みをされていくことと期待しています。
こうして、私たちの姿が見えなくなるまでずっと見送ってくださった堀園長、小倉主任のまごころに感謝しつつ、栃木市を後にしました。
 

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