群馬県西部教育事務所で、主として指導主事の皆さんを対象にした研修講座の講師をつとめました
群馬県高崎市にある群馬県西部教育事務所を訪問して、【2024年度西部地区社会教育行政職員等研修講座兼西部管内指導主事等会議】で講師を務めました。
西部教育事務所の池田所長、関口管理主監、大塚次長はじめ幹部の皆様、職員の皆様が歓迎してくださり、先日紹介した美味しいお弁当を含めて、温かいおもてなしを受けたことに感謝します。
研修講座の参加者は西部教育事務所管内の高崎市、藤岡市、富岡市、安中市、甘樂町の教育委員会の学校教育課、教育センター、健康教育課、生涯学習課、社会教育課などの管理職や指導主事、社会教育施設の職員の皆さんで、約60名ですが、ほとんどの方が【指導主事】でした。
【指導主事】とは、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に規定されている【都道府県及び市町村の教育委員会に置かれる専門的職員】です。一般には、「教育公務員特例法」上の【専門的教育職員】に位置づけられています。
そして、もっぱら学校教育を担当します。
具体的には、教育課程が適切に行われているかどうか把握し、適切でない場合は指導します。そこで、【指導主事】という職名がついているのかもしれません。
学校運営の責任を果たす校長、副校長・教頭や教員に対する研修を行ったり、研究指定校に対して助言などを行う役割を持っています。
そして、教員の指導力不足や体罰などの課題や、児童・生徒の不登校、非行、校内での多様な事故に対応する校長、副校長・教頭を支援して、適切な解決にあたるという役割も持っています。
そこで、小中高等学校の教員が任命されることがほとんどです。
それでは、教育事務所とは何でしょうか?
都道府県教育委員会が,全県域を幾つかの区域に分けて,区域ごとにその区域の教育事務を執行するために置いているのが教育事務所です。
教育事務所は,教職員人事に関する市町村との連絡調整や,指導主事の派遣など,域内の市町村教育委員会に対する支援機関です。
最近では、小規模市町村に対する支援が重要性を増していますし,域内の多様な情報交換の活性化をはかりる機能が期待されます。
そして、地域で活動する多様性を増す教育研究団体の育成をはじめとして,市町村相互の、あるいは市町村を超えた教育活動への支援が重要性を増しています。
今回私が協力した研修講座の担当者は群馬県の教育事務所で主任指導主事をされている長井のり子さんです。
私は、長井さんと相談して、最近、西部教育事務所管内の各市がコミュニティ・スクールの取組みを本格化していることから、講演テーマは【これからの教育が目指す方向性やウェルビーイングの実現の理念に向けた学校・地域の在り方等について】という長いものになりました。
私は参加者の皆様が、学校教育・生涯学習・社会教育の専門職として、諸課題の共有と課題解決の取組みを【自分事】として考えるきっかけを提起したいと思って、熟慮して次のような構成にしました。
1.教育がめざす【ウェルビーイング】の概念について
2.教育を考える起点となる【人口構造等】について
3.これからの学校教育、生涯学習・社会教育をめぐる方向性について(最近の【中央教育審議会の諮問・答申等】から考える)
4.地域に開かれた教育、コミュニティ・スクールについて
5.ウェルビーイングの指標と調査について
指導主事の皆様は、校長、副校長・教頭や教職員からの相談事も少なくないことから、私が参画した「第4期教育振興計画」や中央教育審議会の大学分科会、初等中等教育分科会、生涯学習分科会の最近の諮問・答申や、こども基本法などの最新の情報について総計150頁の資料を作成してPDFで提供しました。
講演は、要点をしぼってお話して、項目の1と2を話したところで質疑応答の時間を設けました。
そして、3から5を説明した後で最期の質疑応答の時間を設けました。
講演をする舞台が高かったので、質疑応答の際は、壇から降りて、参加者の皆様と近しくやりとりさせていただきました。
質疑は、主としてコミュニティ・スクールや市民向けの講座を含めて、日常的な学びの充実を実質的なものにするためのかなり具体的な内容でしたので、自身の経験を含めて、なるべく具体的にお答えしました。
研修の翌日には、長井さんから、参加者の感想が寄せられました。
私がお伝えしたかったことを受け止めていただけたことが、感想に表れていて、私こそ、力づけられました。
●国の資料や先生ご自身の経験を根拠に、わかりやすい講義をしていただきました。
●学校、家庭、地域、すべてのウェルビーイングを実現するために、それぞれの組織が連携して、一枚岩で課題解決を図る必要があるとわかりました。
●コミュニティ・スクールでの地域と学校の連携について、考えることができました。
●子どもたちが主役の学校として、地域とどう協力していくか、本当に考えさせられました。
●他の自治体の事例を知ることができて有意義な研修でした。
●教職員のウェルビーイングは、その学校に通う子供たちのウェルビーイングにつながることというのは、意味深いと感じました。
●市長部局、教育委員会、地域(企業、大学等)が連携・協働していくことで、地域に開かれた教育につながっていくと思いました。
●卒業生も保護者もどう巻き込んでいくかが課題だと感じました。
●市長経験者ということで、教員の視点ではない角度からお話をしてくださったので、目から鱗の部分が多く大変勉強になりました。
●学校と地域の方々の思いを汲み取りながらコーディネートすることで、相互に活性化するのだということ、そのために参加が大事ということ、人と人とのつながりが大事なのだと感じました。
などなどです。
濃密な2時間の研修に向けて準備をした私のメッセージが、日々の教育現場に直面している参加者の皆様に、私の想定以上に伝わったのではないかと大変に心強く思います。
群馬県西部の教育関係者の皆様との出会いに感謝します。